プログラミングスクール選びの注意ポイント(受講者の罠)〜みんなのプログラミングチャンネル vol.18〜

事業目線から考察してみました。
受講者にとっては罠となりうるので注意が必要です。

■デザインコースも用意している。

まず、WEBデザインと、WEB開発は別物ですということです。
人材で区切ってもWEBデザイナーとプログラマーは別物です。

パン屋に例えていうならば、サンドウィッチ屋さんが、カレーパンまで手を出すことと同じで、
カリキュラム開発リソースやトレーナーのリソースがそれだけで分散されることになります。

WEBデザインにはデジタルハリウッドというすでに優良老舗企業があります。
その牙城にプログラミングスクールが手を出したところで、歯が立ちません。

マーケティングするにしても、ターゲットが違うのでそこでもコストがかかり、
受講料に跳ね返ってきます。

ワンパッケージに見えて、コスト高な運営をしていることになり、
メインである「プログラミング教育」の方が疎かになっているのではないかと思います。

■人材紹介事業をしている。

よく耳にする「就職保証」です。全員が受かるわけがないので、賢いみなさんだったら怪しいと思うはずです。
まず職業紹介というところで、別事業なので、そこに運営コストがかさみます。
就職斡旋料が支払われるモデルなので、売上があがれば良いのですが、
完全成果報酬というビジネスモデルなので、前金制のスクール事業よりも事業難易度は高いと言えます。
人材紹介業界はすでに20年の歴史があり、猛者がたくさんいます。
キャンディデートの開拓コストがゼロといっても、未経験者ばかりですから、事業として美味しいとはいえません。

実績のある人材紹介会社とアライアンスを組めばよかったのに、なせををそれをしないのか謎です。

次にモラルハザードの問題です。
受講生には就職保証を打ち出し、クライント企業には即戦力をうたう。これじゃサステナブルなビジネスになりません。
本当に優秀な人を斡旋したいのであれば、「未経験者でもエンジニアになって一発逆転」といった謳い文句に乗せられるような人を斡旋してはいけません。

■受託事業をしている。


「スクールに通えば実開発も経験できる」というなんとも甘酸っぱい言葉に惑わされている方もいらっしゃるかと思います。
すでにデザインコースと、職業紹介の事業のために「新たなコストを出す」ということを言いましたが、この受託事業も納品後の着金というビジネスモデルの悪さの上に、開発コスト、ディレクションコストという今までになかった人的コストを捻出させます。

この時点でスクールが受託をやるのはアウトなのですが、それ以上に、アウトなのが、未経験者やビギナーエンジニアをディレクションする難しさです。5人の開発チームに1名くらいビギナーを入れても問題はないのですが、それが逆だともはやカオスです。

こんな会社に開発業務を託したくありません。
目先の利益を求めるあまりに、こんなに危なっかしい橋を渡るのは危険です。

以上、スクールが手を出しそうな新規事業について申し上げましたが、残念なことに一番簡単な事業がスクールだということです。
これらの新規事業はスケールメリットがないという共通点があります。つまり売上をあげるために人材を増やさないといけないからです。

■「3ヶ月で即戦力エンジニアに」という宣伝文句

即戦力といえるレベルとなるには最低2年の実務経験が必要です。
未経験者向けプログラミングスクールでご用意できることは、あくまでもポテンシャル採用枠レベルになります。

■朝○時-夜○時まで○○分以内に質問回答。

一見手厚いサービスに見えますが、その分のメンター稼働コストが受講料に振りかぶります。

わからないところは後で質問と言う形で貯めることもできますし、実際の現場もそのような感じです。
自己解決が求められる現場で、受動的な学習スタイルで鍛えられるとも思いません。

もし付きっきりで教えて欲しい場合は「MENTA」のようなサービスでメンターと定期的に小時間をとってもらうのが経済的です。
その場合も面談時以外での質問回答は時間がかかるのを許容しなければなりません。

■賃料の高い会場

これも受講料に降りかかってきます。
貸し会議室や、定借物件、安く借りれるアライアンスなど、賃料を低くする方法はいくらでもあります。
ネットで集客しているのですから、基本的には場所はどこでもいいはず。
駅前で目のつくところに店を出すなら宣伝効果があるのですが、高家賃のオフィスビルは無駄なコストです。

■プロのエンジニアから学べる

ポイントはカリキュラム以外のことも聞けるかになります。
カリキュラムレベルのものはベテランでなくても教えられますので、上記がダメならベネフィットになりません。

■スクール名が社名ではない

スクール名が社名ではない場合、スクール以外の事業をする可能性があります。

プログラミングスクールは、それだけに特化すべきです。
利益があがれば、カリキュラムや運営に還元して、さらにサービスをよくする。
これしかないと思います。じゃないと、一番難易度の低く安定度の高いスクール事業が疎かになります。


そういうわけで、テックジムは、プログラミングスクールしかやらないと心に決めて創業しました。
だから、当社は社名がスクール名なのです。浮気はしません。これからも。

そのかわり、カリキュラムはどんどん増やしていきます。定額のままで。