ニューノーマル時代は寅さんに聞け。「お帰り寅さん」徹底解説。
山田洋次監督は、戦後の均一化した東京中心の競争社会のアンチテーゼとして、社会の逸脱者を多く描いてきました。
とはいえ50年たっても日本は変わらずで失われた30年を費やします。
ところが、ここにきて、コロナ。そしてニューノーマル。さらにはSDGsが叫ばれるようになりました。
地球に優しい。そして人に優しいといえば寅さんです。震災で多くの元気にしたのも寅さんです。
コロナで職を失った人も生き方を変えた人も寅さんに救われることでしょう。
というわけで、今回はフーテンのグラさんがフーテンの寅さんの最新作を徹底解説いたします。
目次
山田洋次監督をつくりあげた要素
・豊中市出身。15歳で満洲引き上げ
・東大卒業後、新聞社勤務、松竹へ
・1968年(37歳)までヒットに恵まれず
・「釣りバカ日誌」の全脚本も担当
・小津安二郎の影響をうける
・流れ者や社会の逸脱者を多く描く
・「学校」「幸せの黄色いハンカチ」
「男はつらいよ」の意外な側面
・東映のヤクザ映画のパロディとして
・テレビドラマ版では死んでいる
・49作では泉と満男が結婚
・50作で最期を描く予定だった。
・金親子は寅さんの大ファン
・震災と寅さん。そしてコロナ。
・消えゆく日本風景を残す貴重な資料
満男と泉のなれそめ(旧5作品)
・泉を追いかけ、名古屋→佐賀
・泉と一緒に父親に会いにいく(日田)
・泉が家出。鳥取砂丘で再会
・友達の結婚式で宮崎へ。満男も合流。
・泉の結婚を阻止(津山)
→奄美大島で再会
→熱田神宮で一緒に初詣
満男と泉の失われた30年
【満男】
・サラリーマンを辞めて小説家に。
・娘と2人暮らし。7年前に妻をなくす
【泉】
・ヨーロッパ暮らし。夫と2人の子供。
・難民を救う団体の職員。
満男と泉の再会(本作品)
・満男のサイン会にたまたま遭遇
・リリーのジャズ喫茶店に行く
・柴又の実家につれていく(泉泊まる)
・翌朝、車で一緒に介護施設へ
・その翌日、成田空港で見送る
この作品のテーマ
リリー
「寅さんのそういうところが好き」
泉
「満男さんのそういうところが好き」
回想シーン「生きる意味」
満男
「人間は何のために生きてんのかな」
寅
「難しいこと聞くな、お前は・・・何と言うかな、あー生まれてきてよかった。そう思うことが何べんかあるだろう。人間そのために生きてんじゃねえのかな」
<参考>回想シーンになかった「勉強する理由」
甥っ子の満男に「何のために勉強するのかな?」と問われた寅さんは、こう返した。
「人間、長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。そんな時、俺みてえに勉強してないヤツは、振ったサイコロの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。
ところが、勉強したヤツは自分の頭で、きちんと筋道を立てて、“はて、こういう時はどうしたらいいかな?” と考える事が出来るんだ。だからみんな大学行くんじゃないか、そうだろう」
すでに答えのない時代に突入していることは山田監督もわかっている。
先述の「生きる意味」とセットで取り上げられる当シーンが割愛され、満男もまたサラリーマンを辞めて不透明なキャリアを選ぶこととなった。
ニューノーマル時代の学習法
・3ヶ月で1勝負
・過度な期待をしない
・あせらない
・人と比べない
・まずはちっちゃなゴール
・そこから新たな目標
・人間としての成長を着実に得る
・読み書きそろばん(江戸時代)→英語(戦後)→お金(平成)→幸せ(令和)