「素人ドライバー」を生んだUber創業者が次に注目するのは「料理人の民主化」

創業10年で時価総額9兆円の会社を追い出され。アメリカのトラさんが狙う次のビジネスは?

日本の寅さんは、アウトローといっても社会のはみ出し者としての人生でした。

今回とりあげるアメリカのトラさんは、ルールや法律を無視してサービスを提供し既成事実としてしまうとんでもない人物でした。あのイーロン・マスク氏も敬遠するほどやばい人物です。

3回目の起業で大金を手に入れても、ぶっ壊したかったものはなんだったのでしょうか?

Uberの歴史

・2009年3月:トラビス・カラニックとギャレット・キャンプにより設立。
・2014年8月:Uber FRESH(Uber Eats)開始
・2016年7月:中国の事業を滴滴出行に売却
・2017年6月:トラビス・カラニック(CEO)の無期限の休職
・2018年3月:東南アジア事業をGrabに売却
・2019年4月:株式公開

ウーバーのVC投資による調達額は、1.2兆円。
時価総額は6兆円(上場時は9兆円)


Uber(ウーバー)のビジネスモデル

運転手:利用者の支払い金額の80%をもらう

アメリカ合衆国の企業であるウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリ。
世界70カ国・地域の450都市以上で展開。2018年度の売上は1.5兆円。ソフトバンクが筆頭株主。

競合)
Lyft:米国・カナダ300都市・売上1000億円
Grab:8カ国168都市・売上2000億円。トヨタが出資
DiDi:中国400都市。2015年だけで乗車回数14億回を達成(Uberは創業から6年かけて10億回を達成)
Ola:インド・オーストラリア。フードデリバリーのFoodpanda Indiaを買収


タクシー業界の「負」を解消

・領収書を発行しない
・タクシーメーターを倒さず、法外な料金を請求しボッタクる
・わざと遠回りして料金を請求する
・車両オーナーは「簡単な小遣い稼ぎ」ができる


既存のタクシー業界からの反発も根強く、訴訟や運輸当局から営業禁止命令を受けたり、タクシーと同等の規制を課す国、地域もあるほか、企業としては運転手を直接雇用しないビジネスモデルだけに運転手の一部から雇用関係の認定や、損害賠償を求める訴訟を起こされるリスクを抱える。


2020年7月・東京都内でのタクシーサービスを開始(Uber Taxi)

都内ではこれまでハイヤー会社と連携した配車サービスを展開していたが、日の丸リムジン、東京エムケイ、エコシステムの3社との連携でタクシー配車が実現。

・降車後1時間程度でメールが来て請求額が決まる
・利用料金=開始料金(103円)+ 距離料金(308円/km)+ 時間料金(67円/分)
・ハイヤー手配を考えた場合はUberのほうが得

Uber:日本での歴史

2013年9月:日本法人「Uber Japan株式会社」が第2種旅行業者として登録
2015年3月:国土交通省から「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」事業中止
2015年10月:首相「過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」
2016年5月:トヨタ自動車とライドシェア領域における協業を検討する旨の覚書
2020年7月:東京都内でサービスを開始。対象範囲は港区、千代田区、中央区。


Uber Eats (ウーバーイーツ)のビジネスモデル

利用者:配達手数料(50円〜550円)+料理代金(10%ほど高め)を支払う
お店:全売上の65%をもらう
配達員:時給目安1500円(1回ずつの配達報酬・インセンティブあり)

2014年より展開しているオンラインフードデリバリーサービス。2016年には日本でもサービスが開始。
世界45カ国、6000以上の都市でサービスを展開。

Uber不祥事の歴史

2017年2月:幹部社員のセクシャル・ハラスメント告発。社員の薬物使用疑惑。
2017年3月:CEOがタクシードライバーと激しく口論する映像がネットに流れる
2017年3月:元交際者が女性差別を証言(韓国のカラオケ・バーでの接待も)
2017年11月:顧客とドライバーの5700万人の情報漏洩
2018年2月:ウェイモの元エンジニアが持ち出した知的財産等の営業秘密を盗用
2018年3月:Uberの自動運転車が歩行者をはねて死亡(アリゾナ州)
2019年:2年間で性的暴行に関する事件が5981件発生し、うち464件がレイプ事件だったと発表。


地元の警察に通報できるシステムの導入、運転手の身元調査方針を見直し毎年実施


「目的のためには手段を問わないアウトロー」トラビス・カラニック

・2019年末:ウーバー保有株式すべてを売却し取締役も退任(資産6000億円)
・ルールや法律を無視してサービスを提供し既成事実化を狙った。
・安全管理責任や旅客運送法を回避する手法
・大規模なセクシャルハラスメントで告発
・Weymoから自動運転技術を盗んだとして提訴
・「グレイボール」というツールで法執行機関間捜査を妨害
・「ヘル」というプログラムで競合のリフトの営業を妨害
・リコール対象になっていた車を知りつつ貸与し続ける
・イーロン・マスクに提携を持ち掛けてあっさりと袖にされる


トラビス・カラニックの意外な半生

・子供の頃の夢はスパイだった
・運動神経が良かったが年上の生徒からいじめられる
・10代で調理用のナイフを売り歩く
・18歳で起業。最初のビジネスは大学受験の準備講座。
・大学を辞めてネットワーク検索エンジン「Scour」を開発
・複数のエンタメ企業から訴えられ(25兆円)倒産。
・Red Swooshで再起。
・9.11の影響で従業員の所得税分を企業の再投資に回す。
・2007年にRed Swoosh社をアカマイ社へ25億円で売却
・タクシー嫌い。運転手と口論となり動く車から飛び降りた。
・2017年5月:両親がボート事故に遭遇。母親が死亡。1ヶ月後に休職を表明。

彼はおおよその目的を達成したあと、「自分自身の問題と向き合う」と言い残し、ウーバーを去ります。

俺は這い上がるぜ。何度でも!!

そして、2018年3月に「10100」という投資ファンドを設立。

不動産を購入し、新しいサービスや展開を再開発する事業をてがける
City Storage Systems(CSS)を158億円で買収。みずからがCEOに着任。

同社は、フードデリバリー支援サービス「CrowdKitchens」を展開。
フードチェーンや個人経営のレストランオーナーに対し、月額制で設備を貸し出し、データ解析も提供。

・必要な調理道具やキッチン
・ユーザーに料理を安く早く届けるためのロジスティクス
・ビジネスを伸ばしていくために必要なマーケティング

この3つをフードデリバリーを始めたい事業者に提供している。


また、何かをぶっこわしたくなったのでしょうか?


参考)フードデリバリー業界の動向

・Amazonがロンドン発のフードデリバリー「Deliveroo」に出資
 →「かつては単に世界最大の本屋として知られていた企業が、世界最大のレストラン運営企業になる前触れかもしれない」
・熊猫星厨が54億円の調達
・シェアキッチンのKitchen Unitedが10億円の調達
・「レストランから宅配 → シェアキッチンから宅配」という流れ
・立地に囚われない集客。中央集中型キッチンと遠隔管理。
・クイックサーブ・レストランの売り上げは、今後3年から5年の間に50〜60%に。
・デリバリー代行からD2Cへの変貌
 →結局、調理人(素人でもOK)を集めたプレイヤーが勝つ

「CloudKitchensは間接費を減らして売り上げを伸ばす」というレストランオーナー向けの謳い文句の裏で、粛々とテナントに関するあらゆる種類のデータや顧客の好みなどを蓄積している。