国内スタートアップの大型資金調達ランキング【2026年1〜9月】|公表額20億円以上の30件と分野別の傾向
2026年に入り、国内のスタートアップには1回で100億円を超える大型の資金調達が目立つようになりました。核融合、宇宙、自動運転、AIといった、研究開発に大きなお金がかかる「ディープテック」の分野が中心です。
この記事では、2026年1月〜9月に各社が自ら発表した、1回20億円以上の資金調達を、公表された金額の大きい順に30件まとめました。金額はすべて会社自身の発表(自社サイトのニュースやプレスリリース)で確認し、出典を付けています。
この記事の確認日:2026年10月4日。国内のすべての資金調達を網羅したランキングではありません。網羅的な集計には有料のデータベースが必要で、集計の方法(登記日か発表日か、融資を含むか)によって順位も変わります。この記事は「公式発表で金額を確かめられたもの」に絞っています。2025年8月に公開した旧版(2025年上半期のランキング)の誤りの訂正は、記事の後半にまとめました。
国内スタートアップの資金調達の全体像
国内のスタートアップ全体の調達額は、調査会社ごとに集計の方法が違うため、数字が一致しません。どの集計かを確かめて読むことが大切です。
- Speeda(旧INITIAL)の集計では、2025年(1〜12月)の国内スタートアップ資金調達総額は7,613億円(デット除く)で、前年同時期の集計からほぼ横ばい。(出典)
- STARTUP DBの速報値では、2025年の国内スタートアップ資金調達額は9,727億円(前年比21.1%減、予測値1兆599億円)。デット・補助金なども含む集計で、エクイティだけでは8,280億円(前年比18.3%減)。集計方法が違うため、Speedaの7,613億円とは数字が合わない。(出典)
- Speedaの集計では、2025年上半期(1〜6月)の調達総額は3,399億円(デット除く、前年同期比4%増)、調達社数は1,377社(同2%減)。(出典)
- Speedaの集計では、2026年上半期の調達総額は3,779億円(2026年7月22日時点)で、前年同期の同条件集計3,388億円より12%増。50億円以上を調達した企業は4社から9社に増え、その合計は345億円から780億円へ倍増した一方、50億円未満の合計は1%減った。(出典)
- 政府の「スタートアップ育成5か年計画」(2022年)は、スタートアップへの投資額を2021年の8,200億円から、5年後の2027年度に10倍超の10兆円規模にする目標を掲げている(確認したのは会議資料として公表された計画案の文書)。(出典)
2026年1〜9月の大型資金調達一覧(公表額20億円以上)
金額は各社が公表した総額です。融資(デット)を含むものは「融資を含む」と示しました。内訳は表の下の解説で補足しています。
| 順 | 会社 | 分野 | 公表額 | ラウンド | 発表日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 京都フュージョニアリング | 核融合(エネルギー) | 総額257.2億円(与信枠・融資枠を含む) 融資を含む |
シリーズD(1stクローズ) | 2026年8月24日 |
| 2 | インターステラテクノロジズ | 宇宙(ロケット) | 総額201億円 融資を含む |
シリーズF | 2026年1月16日 |
| 3 | キャディ(CADDi) | AI・製造業SaaS | 総額177億円 | シリーズD | 2026年9月16日 |
| 4 | アスエネ | クライメートテック・SaaS | 総額135億円 融資を含む |
シリーズD | 2026年7月23日 |
| 5 | チューリング(Turing) | AI・自動運転 | 合計126.2億円(エクステンションラウンド) 融資を含む |
シリーズA(エクステンション) | 2026年7月6日 |
| 6 | NOT A HOTEL | 不動産・ホテルテック | 調達額100億円(総額165億円の取引) | シリーズD | 2026年8月6日 |
| 7 | PFN(プリファードネットワークス) | AI・半導体 | 総額100億円 | ― | 2026年9月16日 |
| 8 | Brave group | エンタメ・IP(VTuber) | 約80億円(80億円超) 融資を含む |
シリーズE | 2026年4月22日 |
| 9 | ai&(エーアイ・アンド) | AI・データセンター | シード資金5,000万ドル(約75億円) | シード | 2026年3月25日 |
| 10 | OptQC | 量子コンピュータ | 総額70億円 | シリーズA2 | 2026年8月25日 |
| 11 | ElevationSpace | 宇宙(再突入・回収) | 総額64億円 | シリーズB | 2026年6月19日 |
| 12 | Facilo | 不動産SaaS・AI | 総額64億円 融資を含む |
シリーズB | 2026年9月17日 |
| 13 | Starlight Engine | 核融合(エネルギー) | 総額60.6億円 | ― | 2026年7月15日 |
| 14 | FLUX | AI(企業のAI導入支援) | エクイティ総額60億円 | シリーズC(ファーストクローズ) | 2026年5月29日 |
| 15 | PeopleX | AI・HR SaaS | 54.5億円 融資を含む |
シリーズA | 2026年9月2日 |
| 16 | Neusignal Therapeutics | バイオ(創薬) | 総額約53.2億円 | シリーズB | 2026年6月30日 |
| 17 | Craif | バイオ・AI(がん検査) | 総額約53億円 融資を含む |
シリーズD | 2026年8月18日 |
| 18 | ロボトラック | 自動運転(トラック) | 約52億円(エクイティ) | シリーズA(ファーストクローズ) | 2026年7月31日 |
| 19 | enechain | エネルギー取引・フィンテック | 総額50.5億円 融資を含む |
シリーズB(追加ラウンド) | 2026年1月26日 |
| 20 | 燈(あかり) | AI(建設・製造DX) | 50億円 | ― | 2026年1月29日 |
| 21 | Solafune | 宇宙(衛星データ解析)・AI | 50億円超 融資を含む |
シリーズA | 2026年3月10日 |
| 22 | トリファ | 旅行・通信(eSIMアプリ) | 総額約50億円 融資を含む |
シリーズC | 2026年6月11日 |
| 23 | T2 | 自動運転(トラック物流) | 約50億円 | シリーズB(ファーストクローズ) | 2026年7月21日 |
| 24 | Algomatic Dynamics | AI・ロボティクス | 50億円 | ― | 2026年9月9日 |
| 25 | エレファンテック | 製造業(プリント基板) | 40億円 | シリーズF | 2026年3月12日 |
| 26 | ナレッジワーク | AI・営業SaaS | 35億円 | シリーズC(1stクローズ) | 2026年8月4日 |
| 27 | ミツモア | SaaS・マーケットプレイス | 約30億円(追加調達) | シリーズB(ストラテジックラウンドの延長) | 2026年4月20日 |
| 28 | アトム | AI・ヒューマノイドロボット | 総額30億円 | シード | 2026年5月27日 |
| 29 | Helical Fusion | 核融合(エネルギー) | 約27億円 | シリーズB(1stクローズ) | 2026年4月28日 |
| 30 | ユナイテッド・イミュニティ | バイオ(創薬) | 合計22億円 融資を含む |
― | 2026年9月24日 |
2026年の大型調達に見える3つの傾向
1. 核融合・宇宙・自動運転などのディープテックが上位を占める
上位10件のうち、核融合(京都フュージョニアリング)、宇宙(インターステラテクノロジズ)、自動運転(チューリング)、AI半導体(PFN)など、研究開発に長い時間とお金がかかる分野が多くを占めました。一覧全体でも、核融合が3件、宇宙が3件、自動運転が3件入っています。
2. 大型調達の多くは融資を組み合わせている
30件中12件が、株式による調達に加えて銀行などからの融資を含む金額です。設備や開発に大きなお金が必要な会社ほど、株式だけでなく融資も使う傾向があります。
3. 事業会社からの出資が目立つ
三菱重工業によるPFNへの出資、三菱電機による燈・エレファンテックへの出資、DMM.comによるAlgomatic Dynamicsへの出資など、大手の事業会社が提携とあわせて出資する例が多く見られました。
上位10件の内容
1. 京都フュージョニアリング(総額257.2億円(与信枠・融資枠を含む))
核融合炉の加熱装置などプラントの基盤技術を開発し、日米加で統合実証「UNITY」を進める会社
- 発表日:2026年8月24日
- ラウンド:シリーズD(1stクローズ)
- 主な引受先:GX推進機構、日本政策投資銀行、東日本旅客鉄道、IMM Japan 日韓融合ファンド、SiteGround Capital、Minerva Growth Partnersほか
- 補足:内訳はエクイティ167.2億円+デット90億円。累計エクイティ調達額329.8億円
出典:会社の発表 / 公式サイト:kyotofusioneering.com
2. インターステラテクノロジズ(総額201億円)
小型衛星打上げロケット「ZERO」と通信衛星を開発する宇宙企業
- 発表日:2026年1月16日
- ラウンド:シリーズF
- 主な引受先:ウーブン・バイ・トヨタ(リード)、SBIグループ、野村不動産、B Dash Ventures、SMBC Edge、三井住友銀行ほか
- 補足:第三者割当増資148億円+融資53億円(日本政策金融公庫の新株予約権付融資18億円を含む)。累計446億円。国内の非上場宇宙スタートアップで過去最大と自社発表
出典:会社の発表 / 公式サイト:istellartech.com
3. キャディ(CADDi)(総額177億円)
製造業の図面・調達データをAIで活用する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を提供
- 発表日:2026年9月16日
- ラウンド:シリーズD
- 主な引受先:Moore Strategic Ventures、Coreline Ventures、Salesforce Ventures、Atomico、グロービス・キャピタル・パートナーズほか計8社
- 補足:「シリーズDラウンドの契約を締結」との表現(契約締結の発表)。自社サイトの日付は2026-09-15、PR TIMESは2026-09-16。累計エクイティ調達額363.1億円
評価額(会社の公表):企業価値(バリュエーション)1,820億円
4. アスエネ(総額135億円)
企業のCO2排出量の見える化・削減・報告クラウド「アスエネ」などを提供
- 発表日:2026年7月23日
- ラウンド:シリーズD
- 主な引受先:Decarbonization Partners(BlackRockとTemasekの合弁の脱炭素ファンド、リード)ほか8社、三井住友銀行(借入)
- 補足:内訳は第三者割当増資68億円、既存株主・従業員からのセカンダリー取引37億円、借入。会社に入る新規資金は135億円全額ではない
出典:会社の発表 / 公式サイト:corp.asuene.com
5. チューリング(Turing)(合計126.2億円(エクステンションラウンド))
カメラ映像から運転までを一つのAIで行うE2E完全自動運転システムを開発
- 発表日:2026年7月6日
- ラウンド:シリーズA(エクステンション)
- 主な引受先:AMD Ventures、三菱商事、三菱UFJ銀行、SUPERMICROほか(株式)、三菱UFJ銀行(融資)
- 補足:株式68.2億円+融資58.0億円。2025年11月の1stクローズ152.7億円と合わせシリーズA全体で278.9億円
6. NOT A HOTEL(調達額100億円(総額165億円の取引))
別荘を共同所有し、使わない日はホテルとして貸し出せるサービスを運営
- 発表日:2026年8月6日
- ラウンド:シリーズD
- 主な引受先:トヨタ・インベンション・パートナーズ、SBIホールディングス、セコイア、TT Lion Partners(ジーライオングループ)ほか
- 補足:第三者割当増資100億円+既存株主からのセカンダリー取引65億円=総額165億円の取引。新規資金は100億円
出典:会社の発表 / 公式サイト:notahotel.com
7. PFN(プリファードネットワークス)(総額100億円)
生成AI基盤モデル、AI半導体、計算基盤まで手がけるAI企業
- 発表日:2026年9月16日
- ラウンド:公表なし
- 主な引受先:三菱重工業
- 補足:2026年8月31日に資本業務提携契約を締結。出資は「PFN株主総会での承認など必要な手続きの完了を条件に」行うとされ、発表時点では未実行。三菱重工業による第三者割当増資の引受
出典:会社の発表 / 公式サイト:preferred.jp
8. Brave group(約80億円(80億円超))
VTuber事業を中心にIPの創出・展開を行うエンタメ企業
- 発表日:2026年4月22日
- ラウンド:シリーズE
- 主な引受先:16社(第三者割当増資)、3社(融資)。REALITY(グリーホールディングス子会社)の追加出資で同社グループが筆頭株主に
- 補足:累計調達額約140億円
出典:会社の発表 / 公式サイト:bravegroup.co.jp
9. ai&(エーアイ・アンド)(シード資金5,000万ドル(約75億円))
AIデータセンターの構築からAIモデル開発、推論サービスまで一体で手がけるAI企業(横浜市)
- 発表日:2026年3月25日
- ラウンド:シード
- 主な引受先:民間機関投資家(社名の公表なし)
- 補足:金額は米ドル建てで、円は会社の換算。別に「インフラ構築資本20億ドル超(約3,000億円)」を確保と発表しているが、これは本表の調達額に含めない
10. OptQC(総額70億円)
東京大学の研究を基盤に光量子コンピュータを開発(2024年設立)
- 発表日:2026年8月25日
- ラウンド:シリーズA2
- 主な引受先:NTT(リード)、キヤノンマーケティングジャパン、京セラ、島津製作所、三菱電機、KDDIほか計21社
- 補足:累計調達額91.5億円(補助金を含めると200億円超と自社発表)
資金調達のニュースを読むときの注意
- 「総額」に融資が含まれることがある:株式で集めたお金(エクイティ)と、借りたお金(デット)は性質が違います。内訳が書かれているか確かめましょう。
- 既存の株の売買(セカンダリー)が含まれることがある:既存の株主が持ち株を売った分は、会社に新しいお金が入るわけではありません。
- 「契約締結」と「払込完了」は違う:発表の時点では、まだ手続きが終わっていない場合があります(例:PFNへの三菱重工業の出資は、株主総会の承認などが条件)。
- 集計元によって順位が変わる:登記をもとにした集計と、会社の発表をもとにした集計では、金額も時期もずれます。
旧版(2025年上半期のランキング)の訂正
2025年8月に公開した旧版の上位の記載を、各社の公式発表と照らし合わせました。金額や順位に誤りがあったため、ここに訂正します。
| 旧版の記載 | 判定 | 公式発表との照合 |
|---|---|---|
| Gaudiy(第1位):91.5億円(2025年4月調達)、シリーズB 2ndクローズ(エクステンション)、ソニー・バンナムHD(追加100億円を5月に調達) | 誤り | 公式発表は2025年5月8日の「プレシリーズCラウンド」で、ソニーグループとバンダイナムコHDを引受先に総額100億円(マイルストーン出資分を含む)。91.5億円・4月・シリーズB 2ndという公式発表は見当たらず、91.5億円はSTARTUP DBが登記ベースで集計した数字とみられる。(出典) |
| キャディ(第1位タイ):91億円(2025年3月調達)、シリーズCエクステンション、累計調達額257億3,000万円 | 正しい | 2025年3月27日発表の91億円は正しいが、内訳はエクイティ40億円+長期デット51億円で半分以上が融資。257.3億円は「累計エクイティ調達額」。91億円が91.5億円の「1位タイ」とする順位付けは矛盾している。(出典) |
| Preferred Networks(第3位):50億円(2025年4月調達)、シリーズD、累計調達額240億円 | 正しい | 2025年4月30日に総額50億円(第三者割当増資+金融機関からの融資)は正しい。ただし公式には「昨年末のラウンドのエクステンション」で「シリーズD」の表記はなく、240億円は会社の累計ではなく2024年12月の190億円と合わせた「本ラウンドでの累計」。(出典) |
| アキュリスファーマ(第4位):35億円(2025年3月調達)、シリーズC、累計調達額140億円超 | 誤り | 2025年3月24日の発表は「シリーズCラウンドで総額44億円の資金調達契約を締結」で、35億円ではない。140億円は「シリーズCラウンド完了時」の累計見込み額。会社サイトは閉鎖済みで、確認できたのは投資家(キャタリスパシフィック)のサイトに転載された同社リリース。(出典) |
| ブルーモ証券(第5位):20億円(2025年3月調達)、シリーズA、累計調達額28億5,000万円 | 正しい | 2025年3月20日、グローバル・ブレインをリードとする第三者割当増資でシリーズA総額20億円、累計約28.5億円。公式発表と一致する。(出典) |
| アークエッジ・スペース(第6位):80億円(2025年2月調達)、シリーズB、累計調達額107億円 | 正しい | 2025年2月4日発表のシリーズB総額80億円(15社)、累計107億円と一致する。ただし80億円が第6位で、20億円のブルーモ証券(第5位)より下にあり、順位と金額が逆転している。(出典) |
| エネコートテクノロジーズ(第7位):63億円(2025年2月調達)、シリーズC、累計調達額80億円超 | 誤り | 2025年2月20日の発表は「シリーズCラウンドの最終の資金調達」で、63億円は2024年7月の約55億円を含むシリーズC全体の総額。2月の調達分そのものは63億円ではない。累計は約87億円。(出典) |
| STORES(第8位):28億円(2025年1月調達)、調達方法:登記簿から推計 | 確認できず | 会社の公式発表は見当たらない。旧記事自身が「登記簿から推計」と書いており、STARTUP DBの推計値の転記とみられる。公式発表で確認できた金額だけを載せる方針なら外すべき。 |
| インフォボックス(第9位):16.5億円(2025年1月調達)、シリーズA | 正しい | 2025年1月21日発表のシリーズA 16.5億円(第三者割当増資+金融機関からの融資)と一致する。融資を含む金額で、20億円未満のため新記事の基準(1回20億円以上)には入らない。(出典) |
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