エンジニアのデジタルデトックス|目の疲れ・集中力の低下に、厚労省の目安「1時間ごとに10〜15分」から始める方法

エンジニアのデジタルデトックスは、スマホやPCを完全に断つことではなく、画面を見続ける時間に区切りを入れ、仕事の外と寝る前に画面から離れる時間を作ることです。厚生労働省のガイドラインは、画面を使う作業を1時間以内で区切り、次の作業までに10〜15分の休止を取ることを示しており、目の疲れや集中力の低下を感じている人はここから始めるのが現実的です。

この記事は働き方と作業環境についての記事です。医療の専門家による監修は受けていないため、医学的な助言ではありません。目の痛み、視力の変化、頭痛、眠れない状態が続くなど、体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。

この記事では、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」と「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を中心に、仕事中・仕事の後・寝る前に分けて、エンジニアが実際に取り入れやすい方法を整理します。

エンジニアが「疲れた」と感じやすい理由

エンジニアの仕事は、コードを読む・書く、ログやダッシュボードを見る、チャットやレビューに返信する、と1日の大半が画面の前です。厚生労働省のガイドラインの解説では、作業の合間の休止は、画面を見続けること、キー操作、同じ姿勢を長く続けることで生じる目・首・肩・腰・腕などへの負担による疲労を防ぐためのものだと説明しています(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」)。

さらにエンジニアには、次のような事情が重なりやすい傾向があります。

  • チャットや監視の通知が鳴るたびに作業が中断され、集中が細切れになる
  • オンコールやリリース対応で、業務時間外もスマホを手放しにくい
  • 新しい技術の情報を追うため、休みの日もSNSや技術記事を読み続けてしまう
  • 仕事の画面の後に、帰宅後もスマホやゲームの画面を見ている

デジタルデトックスは、こうした「画面を見続ける時間」と「通知で中断される回数」を自分で減らすための工夫です。

デジタルデトックスで期待できること

画面から離れる時間を作ることで、次のような変化が期待できます。ただし効果には個人差があり、出典のある数字で「何日で何%改善する」と言えるものではありません。

悩みデジタルデトックスでできること参考にした公的な情報
目の疲れ1時間ごとの休止で遠くを見る・目を閉じる時間を作る情報機器作業ガイドライン
集中が続かない通知を絞り、中断の回数を減らす。区切りを決めて作業する情報機器作業ガイドライン(1時間を超えると誤入力が増えるなどの研究結果を根拠としている)
寝つきが悪い・眠りが浅い寝室にスマホを持ち込まない、寝る前の強い光を避ける健康づくりのための睡眠ガイド2023
首・肩・腰がつらい休止の間に立ち上がり、ストレッチをする情報機器作業ガイドライン

仕事中にできるデジタルデトックス

1時間ごとに10〜15分、画面から離れる

厚生労働省のガイドラインは、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止時間を設け、さらに1時間の中で1〜2回程度の小休止を取るよう示しています。小休止は1〜2分程度の短い休みで、時間を決めずに自由に取れるようにすることとされています(同ガイドライン)。

ガイドラインの解説では、作業休止時間はいわゆる休憩時間ではなく、遠くの景色を眺める、目を閉じる、体のストレッチをする、画面を使わない別の業務をするための時間だと説明されています。ここでスマホを見てしまうと、目にとっては休止になりません。

エンジニアの場合、次のような区切り方が取り入れやすいでしょう。

  • テストやビルドを流している間は、画面から目を離して立ち上がる
  • 1つのチケットやプルリクエストが終わったら、窓の外を見る
  • タイマーで50分作業・10分休止のように区切る(区切り方はポモドーロテクニックも参考になります)
  • 設計やレビューのコメントを考える時間は、紙とペンで画面から離れて考える

画面の距離・高さ・明るさを整える

同じガイドラインは、画面までの距離をおおむね40cm以上確保すること、画面の上端が目の高さとほぼ同じか少し下になるようにすることが望ましいとしています。書類やキーボードの上の明るさは300ルクス以上を目安とし、画面の明るさと周囲の明るさの差をなるべく小さくするよう求めています。

ノートPCだけで作業していると、画面が低く近くなりがちです。外付けモニターやノートPCスタンド、外付けキーボードで調整できます。机・椅子・モニターの配置はエンジニアのためのエルゴノミクス、目の疲れへの対処とブルーライトカットメガネについてはブルーライトカットメガネの選び方とエンジニアの眼精疲労対策でまとめています。

通知を減らして「集中の時間」を作る

通知が鳴るたびに作業が中断されると、集中を取り戻すまでに時間がかかります。次のような設定から始めると、仕事を止めずに中断を減らせます。

  • チャットはメンションとダイレクトメッセージだけ通知し、チャンネルの通知はオフにする
  • メールはデスクトップ通知を切り、確認する時間を決める
  • 集中したい時間帯は、カレンダーに予定として入れてチームに共有する
  • スマホは机の上に置かず、かばんや引き出しにしまう

深く集中する時間の作り方はディープワークとは?で詳しく扱っています。

仕事の後と休日のデジタルデトックス

仕事用の通知は時間で切る

業務時間外にチャットの通知が届くと、気持ちが仕事から離れません。チャットアプリの通知スケジュールや、スマホの集中モードを使って、業務時間外は仕事用アプリの通知が届かないようにします。オンコール当番の日は例外にして、当番でない日は通知を切る、と決めておくと続けやすくなります。チームで「業務時間外の連絡は緊急時だけ」とルールを決めるのも有効です。

スマホの機能で使い方を見える化する

スマホには、使った時間を確認し、アプリの利用を制限する機能があります(2026年10月15日確認)。

OS機能できること
iPhoneスクリーンタイムどのアプリやWebサイトをどれだけ使ったかを確認し、使用時間の上限やスケジュールを設定する(Appleサポート)
iPhone集中モード仕事・睡眠などの場面ごとに、通知を受け取る相手やアプリを絞る(Appleサポート)
AndroidDigital Wellbeing利用時間・ロック解除の回数・通知の数を確認し、アプリタイマーで1日の利用時間を制限する。おやすみ時間モードでは画面をグレースケールにできる(Androidヘルプ)

まずは1週間、設定を変えずに使用時間だけを記録してみると、どのアプリにどれだけ時間を使っているかが分かり、減らす対象を決めやすくなります。機能の名前や項目はOSのバージョンや機種で変わることがあります。

休日に「画面を使わない時間」を予定に入れる

休日は、半日だけでも画面を使わない予定を先に決めておくと実行しやすくなります。散歩、料理、運動、紙の本を読む、人と会うなど、何をするかを決めておかないと、空いた時間に結局スマホを手に取ってしまいます。技術の情報収集は「平日の決めた時間に読む」とまとめると、休日に追い続けなくて済みます。

寝る前のデジタルデトックス

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながるとしています。デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くこと、寝そべりながら使うと画面との距離が近くなり、寝つきや睡眠の質の悪化につながることも書かれています(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。

同ガイドでは、寝る約2時間前から眠りを促すホルモン(メラトニン)の分泌が始まり、それ以降に照明やスマホの強い光を浴びると分泌が抑えられ、寝つきが妨げられると報告されていると説明しています。一方で、朝に強い光を浴びると体内時計がリセットされ、日中に光を多く浴びると夜の照明の悪影響が減ることも紹介しています。

  • スマホの充電場所を寝室の外にし、目覚ましは別の時計を使う
  • 寝る前に技術記事やSNSを読むのをやめ、読むなら紙の本にする
  • 朝はカーテンを開けて光を入れ、日中に外に出る時間を作る

同ガイドは、成人は適正な睡眠時間に個人差があるとしたうえで、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することを勧めています。また、就寝前1時間以内の激しい運動は睡眠の質を下げる可能性があるとしています。

「休んでも疲れが取れない」ときは

画面から離れる工夫をしても疲れが取れない、気分の落ち込みが続く、仕事のことが頭から離れず眠れない、といった状態が続くときは、デジタルデトックスだけで解決しようとせず、早めに専門家に相談してください。

  • 厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、最近1か月の自覚症状と勤務の状況から疲労の蓄積度を確かめる「働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023」があります。
  • 「働く人の『こころの耳電話相談』」(フリーダイヤル0120-565-455)は、平日17時〜22時、土日10時〜16時に、メンタルヘルスの不調や仕事の悩みについて相談を受け付けています(2026年10月15日確認)。
  • 会社に産業医や相談窓口がある場合は、そちらも利用できます。

エンジニアに多い適応障害の症状、休職や復職の流れについてはエンジニアの適応障害|原因・症状から休職・復職までで詳しく説明しています。

今日から始める3つのこと

  1. 作業を1時間以内で区切り、10〜15分は画面から離れて遠くを見る
  2. チャットとメールの通知を、メンションと業務時間内だけに絞る
  3. スマホの充電場所を寝室の外に移す

どれも道具や費用がかからず、明日の仕事を止めずに始められます。1〜2週間続けて、目の疲れや寝つきがどう変わったかを振り返り、自分に合う形に調整してください。

よくある質問

Q. エンジニアは何時間ごとに休憩を取ればいいですか?

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の作業休止時間を設け、1時間の中でも1〜2回程度、1〜2分の小休止を取ることを示しています。

Q. デジタルデトックスは目の疲れに効果がありますか?

画面から離れて遠くを見る、目を閉じるといった時間を作ることで、画面を見続ける負担を減らせます。厚生労働省のガイドラインも、作業休止時間を目の疲労を防ぐための時間としています。ただし効果には個人差があり、目の痛みや視力の変化が続く場合は医療機関に相談してください。

Q. 寝る前のスマホはどのくらい前にやめればいいですか?

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、寝る約2時間前からメラトニンの分泌が始まり、それ以降にスマホなどの強い光を浴びると寝つきが妨げられると説明しています。寝室にスマホを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが勧められています。

Q. オンコールがあってスマホを手放せないときはどうすればいいですか?

完全に手放す必要はありません。当番の日だけ通知を受け、当番でない日は仕事用アプリの通知を時間で切る、通知はメンションと緊急のものだけに絞るなど、受け取る範囲を決めて調整します。チームで業務時間外の連絡ルールを決めるのも有効です。

あわせて読みたい

長時間の作業に起因する不調は、ひとつだけ対処しても再発しやすいのが特徴です。姿勢・目・睡眠・集中力は互いに影響し合うため、あわせてエンジニアのためのポモドーロテクニックエンジニアのためのディープワークも確認しておくと対策を組み立てやすくなります。

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