OCRESとは?2026年の受験状況と、組み込みエンジニアが副業で示せる資格(ES・ETEC)

OCRES(OMG認定リアルタイム・組込みスペシャリスト)は、UMLとOMGのリアルタイム・組込み向け仕様の知識を問うOMGの資格ですが、2026年10月15日時点では、OMGの現行の認定プログラム一覧にも、試験を実施するPearson VUEの試験一覧にも載っていません。組み込み系の資格をこれから取るなら、IPAのエンベデッドシステムスペシャリスト試験やJASAのETECが現実的な選択肢です。

この記事では、OCRESの中身と現在の状況を公式ページで確認したうえで、組み込みエンジニアが副業やキャリアで示せる資格を整理します。案件の単価や収入の目安は、根拠を示せないため載せていません。

OCRESとは

OCRESは「OMG Certified Real-time and Embedded Specialist」の略で、ソフトウェア標準化団体のOMG(Object Management Group)と、東京に本社を置くUML Technology Institute(UTI)が共同で作った資格です(OMG公式のOCRESページ)。試験は次の3段階で構成されています。

試験 位置づけ 主な出題範囲(OMGの説明)
OCUP 2 Foundation UMLの基礎資格。OCRESの両レベルの前提 よく使うUML要素と簡単なモデル作成
OCRES Intermediate リアルタイム・組込み開発チームのメンバー向け リアルタイム資源・時間・並行性・スケジューラビリティを含むUMLモデル、静的スケジューリングのReal-time CORBA、CORBA/eの基本、DDSのDCPS部分
OCRES Advanced チームのシニアメンバー・リーダー向け OMGのUMLプロファイルのリアルタイム概念全体、動的スケジューリングを含むReal-time CORBA、CORBA/e全体、軽量CORBAコンポーネントモデル、Deployment and Configuration、DDS全体(DLRLを含む)

OMGの試験情報ページによると、OCRESは仕様の知識を問う試験で、アプリケーションの設計力やプログラムを書く力そのものは試験しないと書かれています。また、IntermediateとAdvancedの違いは問題の難しさではなく、扱う範囲の広さだとしています。

OCRESの現在の状況(2026年10月)

2026年10月15日に次の3つのページを確認しました。

  • OMG Certification Programs:現在の認定プログラムとして挙がっているのは、BPM 2、SysML、SysML v2、UAF、UML 2の5つで、OCRESは含まれていません。
  • Pearson VUEのOMG向けページ:EDM Association名義で、OCEB 2、OCSMP、SysML v2、UAF、UML 2の各試験が案内されていますが、OCRESはありません。
  • OCRESの紹介ページ:ページは残っていますが、新型コロナによる試験会場の休止の告知やコピーライト表記が2020年のままで、更新されていない状態です。

OMGが提供終了を明言した文書は見つけられなかったため、ここでは「現行の一覧に載っていない」という事実だけを書きます。いずれにしても、これから申し込む資格としては見通しが立ちにくいので、受験を考えている場合はOMGに実施状況を問い合わせてから準備を始めてください。すでにOCRESを持っている人は、取得したレベルと出題範囲(Real-time CORBAやDDSなど)を、実務で使った技術と結びつけて説明できるようにしておくと役に立ちます。

以前この記事では「2020年4月以降、日本語版の試験は終了し英語のみ」と書いていましたが、根拠となる公式の記載を確認できなかったため削除しました。OMGのOCRESページには逆に「アジアではUTIが日本語版を実施」と書かれていますが、これも古い記述です。

組み込み系でいま取れる主な資格

資格 実施団体 特徴 2026年度の状況
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) IPA(国家試験) 組込み・IoTシステムの企画から要求仕様の策定、設計・開発を主導する人向けの高度試験。科目A-1・A-2(多肢選択)、科目B-1(記述)、科目B-2(論述) CBT方式で後期に実施。申込受付2027年1月27日〜2月27日、科目A 2月20日〜3月2日、科目B 3月16日〜3月28日。現行制度は2026年度で終了し、2027年度から新試験制度へ移行予定
ETEC 組込みソフトウェア技術者試験 JASA(組込みシステム技術協会) 合否判定ではなく、グレードと分野別の正答率で評価。クラス2(エントリレベル)とクラス1(ミドルレベル) CBT方式。クラス1はクラス2で500点以上のスコアを持つ人が対象
OCUP 2(UML 2) OMG UMLのモデリング知識の資格。OCRESの前提だった基礎資格 OMGの現行の認定プログラムに含まれ、Pearson VUEで受験

出典:IPA 令和8年度 高度試験の申込受付期間及び試験実施期間、IPA 試験制度の見直しについて、JASA ETEC概要(いずれも2026年10月15日確認)。IPAの試験区分と2027年度からの新制度の全体像は高度情報処理技術者試験の区分一覧にまとめています。

どれを選ぶか

  • 設計・要件定義まで担当したい人:エンベデッドシステムスペシャリスト。国家試験なので説明しやすく、出題範囲もハードウェアとソフトウェアの機能分担やRTOSまで広くカバーします。2027年度から新制度になるため、受験時期は新しい試験区分を確認してから決めてください。
  • 自分の知識の弱点を把握したい人:ETEC。分野ごとの正答率が出るので、学習の優先順位を決めやすい試験です。
  • モデリング(UML)を強みにしたい人:OCUP 2。OCRESの前提だった内容で、現在も受験できます。

C言語の基礎力を示す資格を探している場合は、C言語の資格の記事も参考になります。

組み込みの副業で資格をどう使うか

組み込み開発は実機や評価ボード、社内の開発環境が必要になることが多く、副業で受けられる仕事は、設計書のレビュー、テスト設計、ドライバやファームウェアの一部改修、技術文書の作成など、範囲を切り出しやすいものになりがちです。資格は、こうした仕事で「どの範囲の知識があるか」を相手に伝える材料として使います。

  1. 職務経歴を技術単位で書く:使ったマイコンやSoC、RTOS(FreeRTOSなど)や組み込みLinux、通信規格、開発・デバッグ環境を具体的に書き、資格はその裏付けとして添えます。
  2. 公開できる成果物を用意する:本業のコードは出せないので、市販の評価ボードで作った小さなプログラムや、学習記録を公開しておくと説明しやすくなります。
  3. 契約の範囲を最初に決める:実機の貸与、作業場所、成果物の権利、守秘義務の範囲を契約前に確認します。

エッジ側でAIを動かす組み込み案件についてはエッジAIとはで仕組みを解説しています。

副業を始める前に確認すること

勤務先の就業規則

厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)は、企業と働く人が副業・兼業で留意すべき点をまとめたものです。勤務先の就業規則で副業が許可制か届出制か、競業や秘密保持の決まりがどうなっているかを確認してください。組み込み開発は製品の機密に触れることが多いので、本業の取引先と競合しないかは特に注意が必要です。

確定申告

国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人などは確定申告が必要とされています(2026年10月15日確認)。

フリーランス法

個人で業務委託を受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)が関係します。発注者が取引条件を明示する義務などが定められているので、発注内容・報酬額・支払期日が書面やメールで示されているかを確認しましょう。

資格の取り方の順番全体はIT系資格の取る順番ロードマップ、ほかの資格の副業での使い方はCompTIAやG検定の記事、案件の探し方はIndeedでエンジニアの副業案件を探す方法にまとめています。

よくある質問

Q. OCRESは今も受験できますか?

2026年10月15日に確認したところ、OMGの認定プログラム一覧(BPM 2・SysML・SysML v2・UAF・UML 2)と、試験を実施するPearson VUEのOMG向けページの試験一覧に、OCRESは載っていませんでした。OCRESの紹介ページ自体は残っていますが内容は古いままです。受験を考えている場合は、申し込む前にOMGへ実施状況を問い合わせてください。

Q. OCRESにはどんなレベルがありますか?

OCUP 2 Foundation(UMLの基礎資格で、OCRESの前提)、OCRES Intermediate、OCRES Advancedの3つです。OMGの説明では、IntermediateとAdvancedの違いは問題の難しさではなく出題範囲の広さにあります。

Q. 組み込み系で今から取れる資格は?

国家試験のエンベデッドシステムスペシャリスト試験(IPA)と、JASAのETEC(組込みソフトウェア技術者試験)が代表的です。ESの現行制度は2026年度で終わり、2027年度から新しい試験制度に移る予定です。ETECは合否ではなくスコアとグレードで評価する試験です。

Q. 資格があれば組み込みの副業案件は取れますか?

資格は書類や面談で技術範囲を説明する材料にはなりますが、案件は実務経験や扱えるマイコン・RTOS・開発環境で判断されるのが一般的です。資格と合わせて、担当した工程や使った技術を具体的に書けるよう準備してください。

Q. 会社員が副業で収入を得たら確定申告は必要ですか?

国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を1か所から受けていて給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人などは確定申告が必要とされています。副業の所得の区分や金額で変わるので、該当するかを確認してください。

まとめ

OCRESはOMGとUTIが作ったリアルタイム・組込み分野の資格ですが、2026年10月時点ではOMGの現行の認定プログラム一覧にもPearson VUEの試験一覧にも載っていません。これから組み込み系の資格を取るなら、国家試験のエンベデッドシステムスペシャリスト(2026年度はCBTで後期に実施、2027年度から新制度)、JASAのETEC、UMLのOCUP 2が選択肢です。副業では資格を経験の裏付けとして使い、就業規則・確定申告・契約条件を先に確認してから始めてください。

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