フランチャイズ契約書の作成費用|弁護士費用の決まり方・印紙税4,000円と法定開示書面
フランチャイズ契約書の作成費用は、主に弁護士に払う作成の手数料と、契約書に貼る収入印紙代の2つです。弁護士の報酬は弁護士ごとに基準を定める「オープン価格」で公的な相場はないため複数の見積もりで比べ、印紙税は国税庁の事例でフランチャイズ契約書が第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に当たるとされたケースでは1通4,000円です(2026年10月15日確認)。
この記事では、フランチャイズ本部が契約書を作るときにかかるお金の内訳と、契約書と一緒にそろえる法定の開示書面、公正取引委員会が問題にしやすい条項を、法令と公的機関の資料をもとに整理します。加盟を考えている人が契約書を受け取ったときの確認点にも触れます。本記事は一般的な情報で、個別の契約についての法的助言ではありません。
フランチャイズ契約書の作成にかかる費用の内訳
| 費用 | 中身 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 弁護士の手数料 | 契約書の作成・既存ひな形の修正・リーガルチェック | 弁護士ごとの報酬基準で決まる。見積もりで確認 |
| 法律相談料・顧問料 | 作成前の相談、運用中の継続的な相談 | 同上 |
| 収入印紙 | 紙で作る契約書に貼る印紙税 | 文書の種類で決まる(第7号文書なら1通4,000円) |
| 開示書面の準備 | 決算書、加盟店数の推移、既存店の収支などの資料作り | 社内の作業時間、必要に応じて税理士などへの依頼 |
| 改定の費用 | 法改正や制度変更に合わせた見直し | 改定の範囲による |
弁護士費用はどう決まるか
日本弁護士連合会の説明(弁護士費用(報酬)とは)によると、弁護士の費用は個々の弁護士がその基準を定めることになっており、「標準小売価格」のようなものはありません。弁護士は「弁護士の報酬に関する規程」に基づいて報酬を定めます。
同じページでは、弁護士費用の種類として「着手金」「報酬金」「手数料」「法律相談料」「顧問料」「日当」「実費」が挙げられ、契約書などの書類作成は「手数料」の例として示されています。日弁連は中小企業向けの報酬の目安(2009年のアンケート結果)も公開していますが、十数年前の調査なので、現在の見積もりの代わりにはなりません。この記事でも、出典を示せる最新の相場がないため、具体的な金額は載せていません。
見積もりの金額を左右するもの
同じ「フランチャイズ契約書」でも、次の点で作業量が大きく変わります。見積もりを頼むときは、これらを先にまとめて伝えると比較しやすくなります。
- ゼロから作るのか、既存のひな形や旧契約を直すのか
- 業種(商品を卸す小売・飲食か、サービス業か)と、法定開示書面が必要か
- ロイヤリティの方式(売上歩合、定額、粗利分配など)と算定方法の複雑さ
- テリトリー(営業地域)の保護、近くへの出店(ドミナント出店)の扱い
- 商標の使用条件、ノウハウの秘密保持、契約終了後の競業禁止
- 研修・システム利用・広告分担金など、本部に定期的に払うお金の種類
- 作成後の継続的な相談(顧問契約)を含めるかどうか
見積もりでは「何回まで修正に対応するか」「開示書面のチェックも含むか」「加盟者からの質問への対応は別料金か」を確かめておくと、あとで費用が増えにくくなります。
収入印紙は4,000円になることが多い
国税庁の質疑応答事例「加盟店契約書(フランチャイズ契約書)」では、本部と加盟店の間で、継続する2以上の売買(食材・酒類)について目的物の種類と対価の支払方法(銀行振込)を定める加盟店契約書は、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に当たると回答しています。同じ事例で、契約書にある「経営指導」は請負に当たらないとしています。
第7号文書の印紙税額は1通4,000円です(国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表(その2)、令和8年4月1日現在の法令等)。ただし、契約期間が3か月以内で更新の定めのないものは第7号文書から除かれます。本部用と加盟店用に2通作れば、それぞれに必要です。どの号の文書に当たるかは契約書の中身で決まるので、商品の売買を定めないサービス業の契約などは、税務署や税理士に確認してください。
契約書と一緒にそろえる法定開示書面
小売業のフランチャイズ本部には、契約の前に書面を渡して説明する義務があります。中小小売商業振興法(e-Gov法令検索)第11条は、加盟者に特定の商標などを使わせ、加盟時に加盟金・保証金などを取る「特定連鎖化事業」を行う者に対し、契約を結ぶ前に次の事項を書いた書面を渡し、説明することを求めています。ここでいう連鎖化事業は、主に中小小売商業者に商品を販売・あっせんし、経営の指導を行う事業です(同法第4条第5項)。
| 法律(第11条第1項) | 施行規則(第10条)で加わる主な事項 |
|---|---|
| 加盟金・保証金その他の金銭 | 本部の名称・住所・従業員数・役員、資本金と主要株主 |
| 加盟者への商品の販売条件 | 直近3事業年度の貸借対照表と損益計算書 |
| 経営の指導 | 直近3事業年度の加盟店数の推移 |
| 使わせる商標・商号など | 立地条件が似た加盟店の直近3事業年度の収支 |
| 契約の期間・更新・解除 | 直近5事業年度に本部と加盟者の間で起きた訴訟の件数 |
| 営業時間・休業日、近隣への出店の規定、競業禁止・秘密保持の規定 | |
| 定期的に払う金銭、売上金の送金、融資の利率、店舗の内外装の義務、契約違反時の金銭 |
出典:中小小売商業振興法施行規則第10条・第11条(2026年10月15日確認)。施行規則第11条は、加盟金なら「額・性質・徴収の時期と方法・返還の有無と条件」、契約の解除なら「解除の要件と手続、解除で生じる損害賠償金の額や算定方法」のように、各事項に最低限書く内容まで定めています。書面の内容と契約書の条項が食い違うと、加盟者との争いの種になるため、契約書と開示書面は同じ担当者(または同じ弁護士)がそろえて作るのが安全です。
サービス業など同法の対象にならない本部でも、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正)が、加盟者の募集に当たって、商品の供給条件、指導の内容と費用負担、加盟金の性質と返還条件、ロイヤルティの額と算定方法、契約の期間・更新・解除・中途解約の条件、ドミナント出店の有無などを開示することが望ましいとしています。
公正取引委員会が問題にしやすい書き方
同じ考え方では、加盟者の募集で次のような説明をすると、独占禁止法の「ぎまん的顧客誘引」に当たるかどうかの判断材料になると示しています。契約書と募集資料の両方で避けたい点です。
- 予想売上げや予想収益を、合理的な根拠や算定方法なしに示すこと。示すなら、似た環境の既存店の実績などの根拠を加盟希望者に示す必要がある
- ロイヤルティの算定方法を十分に説明せず、実際より低く見せること(売上総利益の定義など)
- 中途解約のときに高額な違約金を取るのに、それを十分に開示しないこと。中途解約の条件は契約で明確にし、募集時に説明することが望ましいとされている
契約書を作る流れ
- 事業の条件を決める:加盟金・保証金、ロイヤリティ、テリトリー、契約期間、研修、仕入れの条件を社内で文章にする
- 法定開示書面の対象かを確認する:商品の販売を伴う小売・飲食か、サービス業か
- 弁護士に見積もりを取る:上の「見積もりの金額を左右するもの」を伝え、複数の事務所で比べる
- 契約書と開示書面を作る:両者の数字と条件がそろっているかを確認する
- 印紙税の扱いを確認する:第7号文書に当たるか、何通作るか
- 運用しながら見直す:法改正、料金の変更、トラブルの内容を反映する
加盟する側が契約書を受け取ったら
加盟を考えている人は、契約書と開示書面を受け取ったら、上の表の項目がそろっているか、特に「解除・中途解約の条件と違約金の算定方法」「近隣への出店の規定」「契約終了後の競業禁止」を読み比べてください。分からない条項は署名の前に本部へ質問し、必要なら自分の側でも弁護士に相談します。加盟者の目線での確認点は「フランチャイズ加盟で失敗しないための注意点」、契約前に必要なお金は「フランチャイズの初期費用(初期投資)はいくら?」、よくあるトラブルは「フランチャイズで失敗する原因とは?」にまとめています。
プログラミングスクールというFCの例
この記事を運営するテックジムは、プログラミングスクールのフランチャイズ校を募集している本部です(利害関係があることをお断りしておきます)。教育系は在庫を持たず、店舗の広さに売上が左右されにくい業種の一つです。プログラミングスクールを運営する場合の考え方はテックジムFC講座、他社を含めた加盟条件の比較はプログラミングスクールのフランチャイズ20社比較で紹介しています。ほかの本部と同じく、契約前には書面で金額と条件を確認してください。
よくある質問
Q. フランチャイズ契約書の作成を弁護士に頼むといくらかかりますか?
弁護士の報酬は弁護士ごとに基準を定めるもので、公的な標準価格はありません。作るのかひな形を直すのか、開示書面のチェックを含むかなどで変わるため、条件を伝えて複数の事務所から見積もりを取って比べてください。
Q. フランチャイズ契約書に収入印紙は必要ですか?
紙の契約書が印紙税の課税文書に当たれば必要です。国税庁の事例では、継続する売買の目的物と支払方法を定める加盟店契約書が第7号文書とされ、その税額は1通4,000円です。契約期間3か月以内で更新の定めのないものは除かれます。
Q. 契約書のほかに本部が用意する書類はありますか?
小売業の本部で加盟金などを取る場合は、中小小売商業振興法により、加盟金や契約の解除条件、直近3事業年度の決算や加盟店数の推移などを書いた書面を契約前に渡して説明する義務があります。
Q. サービス業のフランチャイズにも開示の決まりはありますか?
中小小売商業振興法の対象外でも、公正取引委員会の考え方は、ロイヤルティの算定方法や中途解約の条件、ドミナント出店の有無などを加盟希望者に開示することが望ましいとしています。
Q. ひな形をそのまま使ってもよいですか?
ひな形は出発点にはなりますが、ロイヤリティの方式やテリトリー、仕入れの条件は本部ごとに違います。開示書面と食い違いが出ないよう、自社の条件に合わせて直し、専門家の確認を受けるのが安全です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務上の助言ではありません。具体的な契約については、弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。


