120枚の名刺を持つ男。「歩く顧問業」の珍妙なビジネスモデルとは?
月間訪問者数は100社。会う人はほぼほぼ社長。
モバイル黎明期に、ガラケー向けCRMを1万社に導入させたモバイルバリュージャパンの社長は、「歩く顧問業」に変わっていました。
世界一、億万長者を生んだ男。レイクロック
映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を見た。
一度飛行機の中で見たことがあるが、「FC本部の学校」というスクールのオリエンテーションで、塾長の竹村さんがバイブルだから絶対読んでおけというので、まずは映画版を見ておこうと思ったのだ。
後に本「成功はゴミ箱の中に」を全て読んだわけだが、映画を見るだけで十分だし、なんなら、立ち読みでユニクロの柳井さんによる後書きの部分をみておけばなお効率的だ。
レイクロックいわく、競合店なんかゴミ箱を漁れば何がどれくらい売れているかがわかるもんだ。俺もやったよ。一度や二度じゃないよ。というクダリが題名になっている。でもそこがレイクロックの真髄ではない。
本を読んでて感じたのが、レイクロックのすごさは徹底的な現場主義。全てのオペレーションを自分で行う。少なくとも200店舗まではリクルーティングから教育、スーパーバイジングまで彼が一人でおこなっている。そりゃロイヤリティ1.4%じゃ人も雇えない。彼らは小所帯で本部をまわしていたのだ。
日本で200店舗といえば英会話Novaの規模感だ。
その全ての出店を社長一人が最初から見ている人は日本にはいないだろう。
なんせ、日本人は奈良時代から偉くなると都に住みたがる。
偉くなると地方の現場を蔑ろにする。愚かな貴族文化はまだこの街(東京)に蔓延っている。
この映画を1回目見た時に印象に思ったのは、ビジネスモデルの意外さで、マクドナルドは世界有数の不動産を持っている会社だということだったが、今こうしてフランチャイズビジネスに携わっていると他にも色々と気づくことがあった。
この映画のオチは、「マクドナルド」という名前を買ったのが成功したポイントだということで、我々も名前には相当気を揉んで「テックジム」にしたわけだが、それについては動画で語っておこうと思う。
フランチャイズビジネスというのは、グローバルビジネスと対極にあると思っていて、東京にやってくる優秀とされる人材は今更、地方周りなんかしたくないはずなので、俺にとっては好都合だと思っている。
失われた30年みたいな言い方がされるが、日本の経済なんか、東京に人がマックスまで移動した30年前で既に終わりである。これはほとんどの発展途上国の経済成長に当てはまる。田舎から首都に人が集まり、貨幣経済に取り込まれ、そして田舎も首都からのマネー漬けになる。これだけだ。
ご多分に漏れず、この俺も広島の三原という片田舎で生まれ、小学生に上がった時に東京経済に飲み込まれた。すでに地元に知人もないから戻りたくても戻れない。そういう人が日本にはたくさんいる。
それでも、生まれた土地を愛し、居残る人がいる。だから日本も捨てたもんじゃない。そんな中で、フランチャイズビジネスというのは地元で産業を作り人を集めることができる。首都圏や都市部から全国津々浦々に人々を流すチャンスだ。
各地方にエンジニアが集まる仕組みを作れば、もっともっと日本はハッピーになる。こうして創業したのがテックジムである。
エンジニアはどこでも仕事ができるはずだが、辺鄙な土地には仲間がいないから行きたくでもいけない。その土地で収益をあげ、ネットワーキングができなければ、移住は無理である。ただ、エンジニアの移住が実現できれば、地元の企業は東京の業者に発注しなくても済むし、そこでいいサービスができれば、全国からお金が流れることになる。この事業をつうじて、この問題を解決していきたいと思う。
話が逸れたが、この映画を通じて思ったのは、フランチャイズの質の管理は難しいということである。これは今も昔も変わらない。
この映画では、夫婦をフラインチャイジーにして、さらに研修制度を作ってクオリティを守ったということになっている。他にも、コカコーラの協賛で看板を立てたり、アイスクリームを粉ミルクにすることで原価を抑えることなど、色々とマクドナルド兄弟と揉めている。レイクロックはFCオーナーの味方で、マクドナルド兄弟は堅物だという描き方をされている。
実際、マクドナルド兄弟は自分たちでFC事業をやっていて失敗しているのだ。自分たちの店は潰れたが、レイクロックのおかげでマクドナルドは全世界チェーンになれたのだ。創業者のこだわりが足枷にもなるということを示唆している。
ガチガチの契約書に縛られたレイクロックだが、不動産リース会社を立ち上げることで、立場が逆転する。
ロイヤリティ収入では食っていけないから、不動産をフランチャイジーに貸し出すビジネスをメインに持ってきたのだ。
そして、フランチャイジーが老齢などで手放すときには事業を買い取る。
こうして直営も増えていき、今の帝国ができたということだ。
紙コップのセールスマンで飲食業界を知り、それをもとにミキサーの販売代理店を経営。ミキサー導入を増やすためにハンバーガーショップのFCを手がけるが、それがメインになり、多くのFCオーナーを億万長者を生み出した。
さて、彼は何を売ったのか?
ミキサーなのか? ハンバーガーなのか? 不動産なのか?
いや、アメリカンドリームを売ったのだ。
全国各地を渡り歩いて、ビジネスの裏側を知り得たからこその成功物語である。この映画をみて、また日本各地を回りたくなった。
億万長者を生み出せるかはわからないけど、東京に行けなくても最新の技術で世界中の人と仕事ができて、地元から愛されるIT会社であれば、我々がプレゼントできるかと思う。
フランチャイズビジネスの本質
先日、竹村学長から課題図書に、元ベンチャー・リンクの社長小林氏の本「フランチャイズビジネスの本質」をあげられたので、早速読んだ。
内容は、竹村学長から聞いたことばかりだったので、新しい知識は得られなかった。FC本部の学校の生徒は読まなくていい事案であろう。
とともに、何か胡散臭い臭がした。
社長が、FC本部の細かいことを把握しているのであれば、自社が潰れるわけないだろと。
ベンチャー・リンクの失敗原因をネットで調べたところ、
・加盟契約の空売り
・成功本部の脱退
・集団訴訟
こんなところがあげられた。
加盟金、ロイヤリティともに折半モデルだから、成功本部に逃げられるのも仕方ないなと思うが、融資実行前の入金とかはやばいだろと思った。
そういう経験を踏まえての、この本の内容なのかもしれないが、しくじり先生みたいな書き方をしていなかったので、やっぱり胡散臭かった。
社長業をやっている方ならわかると思うが、さも自分が全ての采配を動かしているような言い方ってのがある。まさにそのタイプだ。
調べていくうちにわかったことは、もともとのベンチャーリンクのビジネスモデルはビジネスマッチング。具体的には信用金庫・地銀などへの紹介での手数料ビジネスだったそうだ。
つまり、創業当初のビジネスアイデアはフランチャイズではないことになる。
これも起業家のみなさんならわかることだが、創業当初のコアビジネスは変わることはない。ピボットしたとしてもコアは残る。ベンチャー・リンクのコアは名簿商売であり、フランチャイズではない。
中小企業のリストはたくさん持っているのが、当初のビジネスの源泉であり、それを利用した加盟店開拓代行という横展開でのビジネスが、フランチャイズだったのである。
さも、代表の小林さんが発明したかのごとくな書き方ではあるが、これもまた違う。
ベンチャー・リンクの最初のFC本部コンサル事案はサンマルクであり、当時の担当者と担当部長は現在「アセンティアホールディングス」という海外FC展開支援の会社を経営している。
本には、「新規事業には代表自ら現場の音頭を取れ」と書いてあるが、実際は現場に任せっぱなしの可能性がある。
まあ大将が手柄を総取りするというのは今に始まったことではないが、
せめて本に残すときは、もうちょっと等身大になってくれてもよかったなと思う。
歴史は勝者が塗るかえるという点では、これもまた正しいのであるが。
こういうタイプの人にコンサルをお願いすると、
とんでもないアドバイスをするというのは、IT業界でも「あるある話」なので備忘録として、書いておいた。
本にまとめるぐらいの総論なら矛盾はしないが、
神が宿るはずの細部にはボロが出ることだろう。
良い子の皆さんは、気をつけましょう。
モバイルバリュージャパン株式会社 代表取締役 野下義幸氏
東京都出身、西武百貨店、日本IBM、三井物産情報通信現ティーガイヤにて、デジタルホン基地局工事、携帯キャリアショップの運営、代理店構築等々を従事。その後、営業支援、IT支援サービス事業を手掛けるモバイルバリュージャパン株式会社を創業。
また1回の参加人数が毎回500名を超える、IT&モバイル企業の方々の交流会も主催し、企業と企業のリアルマッチングの場も提供。
つなぎ屋本舗とは?
自社サービスや商品の販売、新規取引先を「つなぐ」マッチングサイトです。自社サービスを展開したい企業様と、新規事業や独立される方やアップセル商材を探している企業様をつなげます。
IT・モバイル企業参加型 交流会/デジタル・オフライン・クラブとは?
2005年から合計23回開催されているIT周辺業界の交流イベント。
毎回、数十人の企業経営者が幹事となり、集客を手伝う。
このようにして、毎回300名以上、累計1万人を動員した。
次回開催はオリンピック終了以降を検討しているという。
IT起業家との対談番組「みんなのグラさん」とは?(Youtube)
テックジム東京本校