学習塾業界の歴史とビジネスモデルの変遷についてまとめてみました。
学習塾といえば、集団受講から個別指導という流れがきて、
近年は自律学習という流れが旬だということみたいです。
それに対して、プログラミングスクールは、
いきなり「自律学習」からはじまっているんですね。
というわけで、独学が難しいなという方は、
熾烈な学習塾業界からうまれたモチベーションコントロール方法を、ぜひ参考にしてみてください。
目次
■塾業界の歴史
・1960年代 第1次塾ブーム
→補習スタイル。高度経済成長時代
・1970年代 第2次塾ブーム
→進学塾。大学進学率の上昇
・1980年代 第3次塾ブーム
→3000名規模の塾
・1990年代 第4次塾ブーム
→私立校人気。校内暴力・いじめ。
少子高齢化で大手進学塾の寡占化(80%)
■元祖受験の神様 戸田城聖
・1923年 上大崎に私塾「時習学館」を設立
・1930年「推理式指導算術」が100万部。創価教育学会を設立
・1943-45年 中野刑務所で服役
・1946年 創価学会に改称
■自学自習の元祖 公文公
・1955年 大阪府守口市にくもん算数・数学教室を開設
・1962年 東京進出1号教室
・1969年 受講生1万人
・1974年 「公文式算数の秘密」が36万部
・2019年 「くもんの幼児ドリル」シリーズ 累計1億冊
■安保闘争と予備校の関係
・1969年1月18日 東大安田講堂事件
学生に加担した東大の教授 → 駿台予備校が招聘
就職を拒否された学生 → 代ゼミ、河合に拾われる
山本義隆氏(東大全共闘議長)→ 駿台の伝説講師に。
■映像(動画)講義の先駆者・東進衛生予備校 永瀬昭幸
・1989年 代ゼミのサテラインゼミ
通信衛星を使用して、講義を全国にリアルタイム配信。1967年のビートルズ宇宙中継「All you need is love 」から22年後。
・1991年 東進衛星予備校「サテライブ」
リアルタイムの授業よりも、ビデオの方が人気が出て、衛星ライブ放送の集団で受ける授業から、録画したビデオで個別に受ける授業に移行。
■学習塾チェーンのパイオニア・明光義塾 渡辺弘毅
・1984年創業
・日本で初めて個別指導塾を始める
・フランチャイズ展開の歴史は55年以上
・生徒数・教室数・売上が業界NO.1の実績
・未経験/素人オーナーでもできる塾
・大学生1 対 受講生3名スタイル
・子供が多かった時代の落ちこぼれ対策
■競合とも共存するスプリックス
・同業者とも商売している共栄型
・教育コンテンツ「フォレスタ」
・求人広告「塾講師JAPAN」
・学習塾「森塾」「自立学習RES」
・個別での1:1の廃止
・生徒の選別。集団への誘導も
■圧倒的安価のヒーローズ
・100人中100人の成績を上げる塾
・1コマ1000円を実現
・安いことで通塾回数をあげている
・独自の自立型指導で講師時間を確保
・クリア基準できない生徒には無償指導
・オーナー様同士が相談ができる勉強会
■親に効果を見せつける「馬淵塾」
・予習動画を見てからの授業
→導入授業を教室から消す
→親はそれを見て感心する
・授業で予習成果を競わせる
→山田弘的なアプローチを仕組み化するのは芸術点たかし。
・呪文体操で信者化
→親はそれも見る。
■塾から授業を無くしたカリスマ・武田塾 林尚宏
・授業なし。教科書はありもの。
→教科書選びと使い倒しのマニア
・登校時に即席テスト。
→山田弘効果
・プロの「授業」より、憧れのお兄さんの「コーチング」
→身近なロールモデル
・各校別ルートをYotubeで紹介
→リルートで戦略コンサル
・教室長のカウンセリングが肝
→教えるスキルよりもビジネススキル
→そりゃ儲かるよね。
■授業型の河合塾と管理型の武田塾の仁義なき戦い
予備校講師がYoutuber化。教育系コンテンツが増えている。
授業動画のコモディティ化のなかでの「授業型の意義」が薄れる。
・SEO対策では河合と武田が拮抗(他は雑魚)
・Youtube対策では武田の一強(他は雑魚)
パイ全体が管理型に移行するのではないか?
■教育業界の売上ランキング
ベネッセ:4344億円
学研:1,021億円
公文教育研究会:734億円・3,069人(日本公文式は433億円)
増進会ホールディングス:684億円・2,781人
ヒューマン:625億円
河合塾:492億円
ナガセ:457億円
ユーキャン:450億円・680人
ECC:410億円
栄光ゼミナール:294億円
代々木ゼミナール:200億円・529名
駿台予備校:200億円
早稲田アカデミー:200億円
日能研:156億円
■大学売上ランキング
日大:1800億円
順天堂:1575億円
慶応:1545億円
4位東海大学、5位近畿大学、6位昭和大学、7位埼玉医科大学
8位早稲田大学:1049億円
9位獨協学園、10位帝京大学 まで1000億円
■プログラミングスクールの規模感
・div(テックキャンプ):売上24億円(推定)
時価総額100億円(推定)
年間4000人×60万円。(全国8校)
社員100名、バイトスタッフ100名
2019年に10億円、2020年に18億円(計30億円)の資金調達。
・キラメックス(テックアカデミー):売上10億円(推定)
当期純利益1.9億円
社員20名程度。外部メンターは数十人
5年前に6億円でユナイテッドに売却、当時売上2億円(推定)
・侍エンジニア塾:売上1.8億円、経常利益2100万円
夢真ホールディングスが出資、51%を保有
・プロゲート:月980円 60万人が登録
・N予備校(ドワンゴ):月1000円
■教育市場の注目トピックス
子ども向けプログラミング教育市場は2024年に 2019年の2.3倍、250億円超に拡大
・2018年には4500教室、2023年には1万1000教室に
・2030年までには1000億円
音楽教室の市場規模 1024億円
・年間10万円だとすると履修者は100万人
外国語教室の市場は3505億円(うち成人向けは2100億円)
・年間10万円だとすると履修者は210万人
全国532教室に広がっている異例のそろばん教室「そろばん塾ピコ」
・全国で1万人の受講生
・フランチャイスの総売上6億円 1教室あたり20人
NOVAの復活劇
・最盛期は600校(15万人)。現在は250店(1校あたり300人)
・5.4万人(22億円)まで減少から17年には8.1万人(88億円)へ。
外資メガベンチャーの日本上陸の可能性
・TALエデュケーション(中国の教育ベンチャー):時価総額2兆円。