本当に買うべきなのはどれ?お掃除ロボット大比較(家庭用・業務用)
すっかり年の瀬の今日この頃。みなさん、今年やり残したことはありませんか?今年最後の仕事といえば、そう、大掃除ですね。
しかしワタクシ、掃除が大変苦手でして。こういう苦痛な仕事こそロボットに代わってもらいたい!と言うのは人の普遍的な欲求。世の中には様々な家庭用掃除ロボットや業務用清掃ロボットが出てきています。早く掃除から開放される世の中になって欲しい!ということで今回は掃除ロボット・清掃ロボットをレポートします。
目次
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【鉄板】掃除ロボットの代名詞、ルンバ【ハズレ無し】
掃除ロボットと聞いて誰もが思い浮かべるのが「ルンバ(Roomba)」でしょう。2002年に米国のiRobot社によって発売されたルンバはその後も改良を重ね、2018年9月に発売(日本では2019年2月発売)された最新型のルンバi7(税込み109,868円)ではスマートマッピング機能によって部屋の状況を学習して記憶、最適なルートを選んだり、どの部屋をいつ掃除するかスケジューリングできるようになりました。上位機種のルンバi7+(税込み142,868円)では、充電用のホームベースが、ルンバ本体のダスト容器のゴミを自動で排出して回収する機能が追加されたクリーンベースへと進化しました。
iRobot社は2018年10月にグーグルとの提携を発表し、ルンバがグーグルのスマートスピーカー「Google Home」を通じた音声操作に対応するほか、Googleアシスタントに対応したスマート家電などと、ルンバが収集した家の間取りや空間情報を共有できるようになるそうです。ルンバi7で追加されたスマートマッピング機能がその第一歩といえますが、今後スマートホームの目や足といったハブ機能になっていく事が期待されます。
【ほんまに?】世界で最も売れている掃除ロボット?エコバックス【中国最強】
エコバックス(Ecovacs Robotics)は1998年に中国の蘇州で設立されたロボット家電メーカーで、床掃除ロボット「DEEBOT」や窓拭きロボット「WINBOT」、ロボット空気清浄機「ATMOBOT」を展開しています。第三者調査機関調べにより、エコバックスは2018年1月~12月の1年間でヨーロッパ、アジア、オセアニア、中南米、中東、アフリカの世界52の国と地域のロボット掃除機販売台数の累計で1位になったとのことです。中国では11月11日は「独身の日」と呼ばれる1年で最大のセール日(ブラックマンデーやサイバーマンデーの中国版)なのですが、エコバックスは2019年11月11日の1日で1億1300万米ドルを超える総売上を記録したとのことです。
ラインナップの幅広さが特徴で、2万円を切る廉価モデルから、7万円を超える高機能なハイエンドモデルまで、かなり細かくモデルが分かれています。過去にはMARVELとコラボして「キャプテン・アメリカ」デザインのDEEBOTを販売していたこともあります。iRobotからブラーバという床拭き(水拭き)ロボットが販売されていますが、DEEBOTは1台でゴミの吸引と水拭きできる機能を備えるモデルもあります。また、マッピング機能の他、Amazon EchoやGoogle Homeといったスマートスピーカーとの連携機能にも対応。やはりこの分野でも中国企業は存在感を見せています。
【一家に一台】もはや定番?各メーカーの掃除ロボット【もはや家電】
ルンバ型の掃除ロボットですが、家電量販店やECサイトを見ると、決して珍しいものではない事がわかります。パナソニックは「RULO」、シャープは「COCOROBO」、日立は「ミニマル」といった掃除ロボットを、海外メーカーではサムスンやAnker、ダイソンまで掃除ロボットを発売しています。中国メーカーに目を向けるとそれこそ際限なく様々なメーカーの製品が出ていて、Xiaomiのような大手メーカーからILIFEといった新興メーカーまで価格と性能を武器に目を離せない存在になっています。
ここまでくるともはや掃除ロボットというより、純粋に掃除機のいちジャンルと呼べそうです。昔TVゲーム機を総称して「ファミコン」と呼んだように、このジャンルの掃除機を「ルンバ」と総称するようになるのかもしれません。そして「ファミコン」が「プレステ」に変わっていったように、そのうち画期的なロボット掃除機が「ルンバ」の座を奪うのかもしれません。
【疑惑あり】そう来た?掃除機をかけるロボット、AEOLUS【フェイク動画?】
そんな群雄割拠の掃除ロボットの世界に待ったをかけたのが米・サンフランシスコに拠点を置くAeolus Robotics社がです。CES 2018でお披露目となった同社によるアイオロス・ロボットは、ダイソンの掃除機を片手に登場し、ロボットが掃除機をかけるといったデモで衝撃を与えました。いや、それならロボット本体に掃除機能を付け・・・なくてもいいだろう、ロボットには斬新さが必要だ。ともかく、アイオロス・ロボットは人の作業を代替するというコンセプトで、現在では介護福祉での利用を想定しているようです。
ちなみにこのロボット、公式HPによると技術商社の丸文株式会社が日本の代理店となっているようですが、ケアボット株式会社も代理店のようで、両社ともAeolus Robotics社と業務提携しているそうです。また、グッドタイムリビング株式会社と介護市場でのコンサルティングパートナーシップを構築していて、今後は株式会社学研ココファンホールディングス、メディカル・ケア・サービス株式会社の両社とも、コンサルティングパートナーシップを構築していくそうです。本格的に日本で展開する前から何やらゴチャゴチャしていますが、まずは各社との関係もキレイになっていくといいですね。
【Pepperの負債を一掃】清掃ロボットでも存在感を見せるソフトバンク【孫の一手!】
さて、家庭用掃除ロボットから業務用清掃ロボットに目を移すと、この分野に積極的なのがソフトバンクです。2017年7月に自動運転技術の「Brain OS」を開発している米Brain Corporation社のシリーズCにおける1億1400万ドルの資金調達をソフトバンクビジョンファンドが主導したと発表されました。その後、ソフトバンクロボティクスがBrain Corporation社と提携し、Brain OSを搭載したスクラバー「RS26 powerd by Brain OS」を発表、2018年8月よりレンタルによる業務用掃除ロボットサービス「AI 清掃 PRO」を開始しました。その後、2018年11月に清掃ロボット「Whiz」を発売し、2019年5月からレンタルサービスを開始しました。なお、Whizはソフトバンクロボティクスが企画とデザインを行い、Brain Corporation社の提携先のICE社で製造していて、Brain Corporation社の自動運転技術が搭載されているそうです。また、Whizは香港やシンガポールといった海外でも展開が開始され、本気度が伺えます。
果たしてPepperのイメージを一掃できるか、注目です。
【群雄割拠】既存清掃機メーカーと新規参入メーカー【王者AMANO】
メーカーも各社ロボット化の動きをみせています。アマノは2014年3月に自律走行式のロボット床面洗浄機「SE-500iX」を発売し、日本国内で初めて本格的に業務用ロボット清掃機の事業展開を開始、その後2015年9月に業務用ロボット掃除機「RcDC」、2018年10月にはを障害物回避機能を搭載したロボット床面洗浄機「EGrobo」を発売しました。また、マキタはルンバ型の「ロボットクリーナ RC200DZ」を2015年10月に発売。こちらは2013年に業務提携したシャープと初めて共同開発した商品とのことです。パナソニックも業務用掃除ロボット「RULO Pro(ルーロプロ)」を2018年7月から発売を開始しました。
この分野は既存清掃機メーカー以外にも、新規参入メーカーが存在感を見せています。「F.ROBO CLEAN」を開発するフィグラはもともと化粧品やガラス製品の開発を手がける会社です。ベアリングのリテーナーという部品で世界トップレベルのシェアを誇る部品メーカー中西金属は「ROBO Cleaper」を展開しています。中西金属は掃除ロボット以外にも農業ロボット「アグビー」や無人走行ロボットフォークリフトを開発しています。ロボットスーツHALを手がけるサイバーダインも次世代型清掃ロボット「CL02」を開発すると言うことで、この分野も競争が激化していきそうですね。
【まとめ】この分野を牽引するのは施設側?
ロボットを見る際にどうしてもメーカー側に目がいってしまいますが、ロボットを使う(運用する)側の存在が欠かせません。清掃ロボットでは空港や駅といった交通機関、オフィスビル、ショッピングモールなどの商業施設といった施設側のプレーヤーも積極的に取り組んでいます。
羽田空港はロボット開発者へ空港内での実験の機会を提供し、空港利用者にロボットを活用してもらいながら問題点を洗い出し知見を共有するために、国土交通省および経済産業省との連携のもと「Haneda Robotics Lab」を開設しました。2016年の公募ではフィグラ、中西金属、アマノ、NGP-FOTECの 4社が採択され実証実験を行いました。鉄道では、2020年春の開業を予定しているJR東日本の高輪ゲートウェイ駅にアマノの「EGrobo」が導入される他、各社で導入の動きを見せています。
不動産ディベロッパー大手の三菱地所もこの分野に積極的で、2019年1月には三菱地所本社のある大手町パークビルでソフトバンクの「Whiz」導入に向けた実証実験を行いました。今後はWhizを全国の同社の各施設に導入していくとのことです。三菱地所は清掃ロボット以外にもSEQSENSE社の警備ロボット「SQ-2」、運搬ロボットの「EffiBOT」を導入した他、デリバリーロボットの「Marble」を使った実証実験を2019年5月に行っています。
イオングループのビルメンテナンス企業イオンディライトは業務用フロア清掃機器メーカーのテナントカンパニージャパンとAI搭載清掃ロボット「T7AMR」の共同開発を行いました。なお、T7AMRにはBrain OSが採用されています。
ロボットが社会に実装されていくためには「役に立つ」「課題を解決する」ことが求められます。そのためには具体的な課題を持つ施設のようなユーザーと一緒になって、実運用を踏まえながら最適な形を目指していくのが理想的といえるでしょう。来年はもっといろいろな場所で清掃ロボットが見られますように!