転職のポートフォリオの作り方|守秘義務との付き合い方とファイルサイズの目安
転職のポートフォリオは、前の職場で「何を担当し、どう考え、何が変わったか」を作品や成果物で示す資料です。新卒の就活と違って業務の成果物を扱うため、守秘義務の範囲で載せ方を工夫することが最大のポイントで、形式はWebページかPDFが基本です。PDFをメールで送るなら、添付の上限(個人用Gmailは合計25MB)に収まる大きさにまとめます。
この記事では、転職のポートフォリオに絞って、就活のポートフォリオとの違い、1作品の書き方、守秘義務との付き合い方、形式とファイルサイズの目安を順に説明します。新卒の就職活動向けは就活のポートフォリオの作り方、フリーランスの案件獲得向けはフリーランスエンジニアのポートフォリオで扱っています。
転職のポートフォリオと就活のポートフォリオの違い
| 項目 | 就活(新卒) | 転職(中途) |
|---|---|---|
| 中心になる作品 | 授業・個人開発・研究・課外活動の作品 | 前職の業務での成果物と、それを補う個人の作品 |
| 見られる点 | 伸びしろ、学ぶ姿勢、基礎力 | 任された範囲、判断の質、すぐに担える仕事 |
| 一番の注意点 | 作品の完成度と説明の分かりやすさ | 守秘義務(社名・顧客・画面・数値・コードを出してよいか) |
| 職務経歴書との関係 | 職務経歴書はない(履歴書・エントリーシート) | 職務経歴書の「証拠」として、具体例を見せる役割 |
転職では職務経歴書が主役で、ポートフォリオはその内容を裏付ける資料です。職務経歴書に「〇〇の画面設計を担当」と書いたなら、ポートフォリオではその画面の考え方や改善の過程を見せる、という対応関係を意識すると、面接で話がつながります。
職種別:載せるものの例
| 職種 | 載せるものの例 | 説明で補うこと |
|---|---|---|
| Webエンジニア・アプリ開発 | 個人で作ったアプリとソースコード(GitHub)、業務で担当した機能の設計の考え方 | 技術を選んだ理由、詰まった点と解決の仕方、チームでの役割 |
| Webデザイナー・UIデザイナー | 公開済みのサイトや画面、制作過程のラフやワイヤーフレーム(掲載許可のあるもの) | 誰のどんな課題を解くためのデザインか、検討した別案 |
| マーケティング・企画 | 施策の企画書を一般化したもの、公開されているキャンペーン | 目的と指標、結果の見方、次に何を変えたか |
| ライター・編集 | 署名入りの公開記事、編集を担当した媒体 | 担当範囲(企画・取材・執筆・編集)の切り分け |
エンジニアの職種ごとの違いはエンジニア職種の違い、デザイナーに求められるスキルはWebデザイナーに必要なスキル一覧にまとめています。
1作品の書き方:6つの項目
作品は「見せる」だけでは伝わりません。1作品ごとに次の6項目をそろえると、読む人が短い時間で判断できます。
- 概要:何を作ったか(1〜2文)、期間、チームの人数
- 背景と課題:なぜ作る必要があったのか
- 自分の役割:チームの中で自分が担当した範囲。チームの成果と自分の成果を分けて書く
- やったこと:考えた選択肢と、選んだ理由。使った技術やツール
- 結果:何が変わったか。数値を出せない場合は、変化の方向と規模感を言葉で書く
- 振り返り:今ならどう変えるか
面接では「この部分はあなたがやったのですか」と必ず聞かれます。3の「自分の役割」を曖昧にしたまま大きな成果を載せると、深掘りされたときに答えられず、かえって評価を下げます。
作品数は多ければよいわけではありません。応募先の仕事に近いものを優先して並べ、1作品ごとの説明をしっかり書くほうが伝わります。応募先ごとに並べ順を変えられるよう、作品は1つずつ独立したページやスライドにしておくと便利です。
守秘義務:前職の成果物をどう載せるか
転職のポートフォリオで最も迷うのが守秘義務です。前職の成果物を勝手に公開すると、契約違反になったり、会社の秘密を漏らしたりするおそれがあります。
まず確認するもの
- 雇用契約書・就業規則・秘密保持に関する誓約書:退職後も秘密保持の義務が続く旨や、成果物の権利の帰属が書かれていることがあります
- 取引先との秘密保持契約:受託開発や制作会社では、顧客との契約で成果物の公開が禁じられていることがあります
- 公開されているかどうか:すでに一般に公開されているサイトやアプリ、プレスリリースで発表された内容かどうか
法律面では、不正競争防止法第2条第6項が「営業秘密」を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの、と定めています。社内の売上データ、顧客リスト、非公開のソースコードや設計書は、これにあたる可能性があります。判断に迷うものは載せないのが原則です。
守秘義務を守りながら見せる方法
| やり方 | 具体例 |
|---|---|
| 掲載の許可を取る | 在職中または退職時に、上司や広報に掲載してよい範囲を確認する |
| 公開済みのものに絞る | リリースされたサイトやアプリを、公開されている範囲で紹介する |
| 固有名詞を伏せる | 「大手小売業向けの在庫管理システム」のように業種と規模で表す |
| 画面をダミーデータで作り直す | 実データの写った画面ではなく、構成だけを再現した画面を作る |
| 数値は比率や方向で表す | 社外秘の金額や件数は出さず、出してよい範囲で「処理時間を半分程度に」などと書く |
| 考え方とプロセスを中心にする | 成果物そのものではなく、課題の整理や設計の判断を図にして説明する |
| 個人の作品で補う | 業務で使った技術を使って、自分で一から作った作品を別に用意する |
GitHubに載せるときの注意
業務のソースコードは、多くの場合会社に権利があるため、そのまま公開するのは避けます。個人の作品をGitHubに載せるときも、APIキーやパスワードを含めてコミットしないよう注意します。GitHubのドキュメント「リポジトリからの機密データの削除」は、パスワードやトークンなどのシークレットを誤ってコミットした場合、最初の手順としてそのシークレットを失効させたりローテーションしたりする必要があると説明しています。履歴から消すだけでは不十分だということです。
形式とファイルサイズの目安
| 形式 | 向いている職種・場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| Webページ(自作サイト・ポートフォリオサービス) | エンジニア、Webデザイナー。URLを職務経歴書に書ける | スマートフォンでも崩れずに見られるか確認する |
| デザイナー、企画職。応募フォームへの添付やメール送付 | 添付の上限に収める。表紙と目次を付ける | |
| GitHub | エンジニア | READMEに概要・使い方・技術・画面を書く。機密情報を含めない |
| 紙(印刷) | 対面の面接で持参を求められた場合 | PDFと同じ内容を印刷し、画面で見せる版と揃える |
PDFの大きさ
GoogleのGmailヘルプによると、個人用のGmailアカウントで送れる添付ファイルは合計25MBまでで、25MBを超えるファイルは添付されず、Googleドライブのリンクが自動的にメールに追加されます。仕事用・学校用のアカウントでは管理者が上限を設定します(2026年10月15日確認)。相手の会社のメールサーバーの受信上限はわからないため、PDFはできるだけ小さくまとめ、大きくなる場合は最初からURLで渡すほうが確実です。
複数のファイルをまとめて送る前に、合計の大きさを確かめておくと安心です。次のPythonコードは、フォルダの中のファイルの大きさを合計し、25MBに収まるかを判定します(Python 3.9.6で実行)。
from pathlib import Path
LIMIT_MB = 25 # 個人用Gmailの添付上限(合計)
files = sorted(Path("portfolio").iterdir())
total = 0
for f in files:
mb = f.stat().st_size / 1024 / 1024
total += mb
print(f"{f.name:<22}{mb:6.1f} MB")
print(f"{'合計':<20}{total:6.1f} MB")
print("そのまま添付できます" if total <= LIMIT_MB else f"{total - LIMIT_MB:.1f} MB 超過。PDFを圧縮するか、URLで渡しましょう")
portfolio.pdf 18.4 MB
screenshot_admin.png 3.9 MB
screenshot_top.png 4.2 MB
合計 26.5 MB
1.5 MB 超過。PDFを圧縮するか、URLで渡しましょう
PDFが大きくなる原因の多くは画像です。画面のスクリーンショットは表示する大きさに合わせて縮小し、写真は圧縮してから貼り込むと、見た目をほとんど変えずに小さくできます。
Webで公開する場合
GitHub Pagesで公開する場合、GitHubのドキュメントでは、ソースリポジトリの推奨上限が1GB、公開されるサイトも1GB以下とされています(2026年10月15日確認)。ポートフォリオでこの上限に届くことはまずありませんが、動画を多く載せる場合は動画共有サービスに置いて埋め込むほうが表示も軽くなります。
提出前のチェックリスト
- 職務経歴書に書いた担当業務と、ポートフォリオの作品が対応しているか
- 各作品で「自分の役割」が明確に書かれているか
- 社名・顧客名・実データ・非公開のコードが写り込んでいないか(画像の隅や URL 欄も確認)
- リンク切れがないか、スマートフォンでも見られるか
- PDFの大きさが添付の上限に収まっているか
- 応募先の仕事に近い作品が最初に来ているか
転職活動の進め方全体はエンジニア転職を成功させる進め方にまとめています。
前職の成果物が守秘義務でほとんど出せない場合は、個人の作品を一から作るのが近道です。テックジムは、東京・永田町に東京本校を置く対面・通学型のプログラミングスクールで、自分のペースで課題を進め、詰まったときはその場でトレーナーに質問できます。料金は入会金33,000円+月額22,000円で通い放題(学生は月額16,500円)です。まずは無料講座で試してみてください。
よくある質問
Q. 転職のポートフォリオには前職の業務の成果物を載せてもよいですか?
雇用契約・就業規則・秘密保持の誓約書や、取引先との契約で禁止されていなければ、掲載できる場合があります。すでに公開されているものに絞る、会社に掲載の許可を取る、社名や顧客名を伏せる、画面をダミーデータで作り直すといった方法で、秘密に触れない形にします。判断に迷うものは載せないのが原則です。
Q. 守秘義務で成果物を出せない場合はどうすればよいですか?
成果物そのものではなく、課題の整理や設計の判断などの考え方とプロセスを図にして説明する方法があります。あわせて、業務で使った技術を使って自分で一から作った作品を用意すると、実力を具体的に示せます。
Q. ポートフォリオのPDFはどのくらいのサイズにすればよいですか?
メールで送るなら、添付の上限に収まる大きさにします。Gmailヘルプによると、個人用のGmailアカウントで送れる添付ファイルは合計25MBまでです。相手側の受信上限はわからないため、できるだけ小さくし、大きくなる場合はWebページやクラウドのURLで渡すほうが確実です。
Q. 就活と転職でポートフォリオの作り方は違いますか?
違います。就活では授業や個人開発の作品で伸びしろや基礎力を見せますが、転職では前職で任された範囲と判断の質を見せることが中心になり、職務経歴書の内容を裏付ける役割を持ちます。また転職では業務の成果物を扱うため、守秘義務への配慮が欠かせません。
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