暁星学園出身の国会議員一覧|名門校から生まれた政治家たちの系譜と二世議員の伝統

東京・千代田区に校舎を構える暁星学園(暁星中学校・高等学校)は、1888年(明治21年)にフランスのカトリック修道会マリア会によって創設された、日本有数の名門私立男子校である。フランス語教育と国際的な校風で知られるこの学校は、俳優・歌舞伎役者・音楽家・文学者など多彩な分野に人材を輩出してきたが、政治の世界にも注目すべき卒業生を送り出している。
本稿では、暁星学園出身の国会議員経験者を網羅的に紹介し、その経歴と共通する特徴を考察する。
目次
- 1 暁星出身の国会議員は「二世・三世」が多い
- 2 田中龍夫(たなか たつお)|首相の息子から通産大臣・文部大臣へ
- 3 砂田重民(すなだ しげたみ)|防衛庁長官の子から文部大臣へ
- 4 楢橋進(ならはし すすむ)|運輸大臣の子、福岡の地盤を継承
- 5 金子原二郎(かねこ げんじろう)|父子二代の農水大臣、長崎の水産王
- 6 大石正光(おおいし まさみつ)|三代続く代議士の家系
- 7 山本剛正(やまもと ごうせい)|近年の暁星出身議員
- 8 暁星と政治家の関係を読み解く
- 9 まとめ|名門校が映し出す日本政治の縮図
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- 13 ■テックジム東京本校
暁星出身の国会議員は「二世・三世」が多い
暁星学園出身の国会議員として確認できるのは、以下の6名である。注目すべきは、6名中5名が政治家の子弟、いわゆる「二世議員」であるという点だ。首相官邸にほど近い千代田区富士見という立地、上流家庭の子弟が集う校風が、こうした傾向の背景にあると考えられる。
田中龍夫(たなか たつお)|首相の息子から通産大臣・文部大臣へ
生没年: 1910年(明治43年)9月20日 ~ 1998年(平成10年)3月30日
学歴: 暁星中学校 → 浦和高等学校 → 東京帝国大学法学部政治学科
主な経歴:
- 衆議院議員(連続13期当選)
- 山口県知事
- 通商産業大臣(福田赳夫内閣)
- 文部大臣(鈴木善幸内閣)
- 自由民主党総務会長
田中龍夫は、第26代内閣総理大臣・田中義一の長男として山口県萩市に生まれた。父の死去に伴い男爵を襲爵し、華族の身分のまま東京帝国大学に学んだ。
戦後は貴族院議員を経て山口県知事に就任。知事時代には先見性のある活動が目立ち、1947年に知事直轄の「朝鮮情報室」を創設して朝鮮半島情勢の情報収集にあたった。朝鮮戦争勃発時には国連軍の不利をいち早く察知して吉田政権に報告したが、政府はこの情報を軽視した。また、1951年のルース台風では、日本で初めて警察予備隊(後の自衛隊)に災害救援を要請し、これが後の自衛隊災害派遣制度の先例となった。
1953年に衆院選に転じてからは、岸信介・福田赳夫の側近として福田派の重鎮を務め、通産大臣、文部大臣、党総務会長と要職を歴任した。正三位勲一等。
砂田重民(すなだ しげたみ)|防衛庁長官の子から文部大臣へ
生没年: 1917年(大正6年)3月4日 ~ 1990年(平成2年)9月24日
学歴: 暁星学園 → 立教大学経済学部
主な経歴:
- 衆議院議員(通算8期)
- 文部大臣(福田赳夫内閣)
- 沖縄開発庁長官
- 北海道開発庁長官
砂田重民は兵庫県神戸市生まれ。父の砂田重政は自民党総務会長、防衛庁長官を務めた有力政治家で、その政治的基盤を引き継いだ。
1963年に衆議院議員に初当選。同期には後に首相となる小渕恵三、橋本龍太郎、さらに渡辺美智雄ら錚々たる顔ぶれが並んだ。しかし3期目の任期途中で神戸市長選に出馬して落選、同年の総選挙でも議席を失う苦難を経験する。1976年に国政に復帰し、わずか4期目で異例の文部大臣に抜擢された。
河野一郎の秘書を出発点とする政治キャリアを持ち、従弟の砂田圭佑も衆議院議員を務めた政治家一族である。正三位勲一等旭日大綬章。
楢橋進(ならはし すすむ)|運輸大臣の子、福岡の地盤を継承
生没年: 1934年(昭和9年)6月3日 ~ 1990年(平成2年)1月11日
学歴: 暁星中学校・高等学校 → 慶應義塾大学経済学部
主な経歴:
- 衆議院議員(4期、福岡3区)
- 運輸政務次官(第2次大平内閣)
- 農林水産政務次官(第1次中曽根内閣)
楢橋進は福岡県久留米市生まれ。父の楢橋渡は戦前・戦後を通じて活躍した弁護士・政治家で、片山内閣の国務大臣、第3次鳩山内閣の運輸大臣を務めた人物である。
慶應義塾大学卒業後、三井物産勤務を経て父の秘書となり、1973年に父の死去に伴う補欠選挙で初当選した。中曽根派に属し政務次官を歴任したが、1983年の総選挙で保守分裂の煽りを受けて落選。1986年の総選挙では党の公認を得られず惨敗を喫し、政治的に不遇のまま1990年に55歳で死去した。従四位勲二等瑞宝章。
金子原二郎(かねこ げんじろう)|父子二代の農水大臣、長崎の水産王
生没年: 1944年(昭和19年)5月8日 ~
学歴: 暁星高等学校 → 慶應義塾大学文学部
主な経歴:
- 長崎県議会議員(3期)
- 衆議院議員(4期)
- 長崎県知事(3期)
- 参議院議員(1期)
- 農林水産大臣(岸田文雄内閣)
金子原二郎は長崎県北松浦郡生月町(現・平戸市)の生まれ。父の金子岩三は中曽根政権で農林水産大臣を務めた衆議院議員であり、九州の水産業界に君臨する金子漁業グループの総帥であった。
暁星高校から慶應義塾大学を経て日本水産に入社。その後地元に戻り、長崎県議、衆議院議員と政治キャリアを重ねた。1998年に衆議院議員を辞して長崎県知事に転身し3期12年を務めた後、2010年に参議院議員に当選。2021年、岸田内閣で農林水産大臣に就任し、父子二代の農水相という異例の記録を打ち立てた。
兄はテレビ長崎元会長の金子源吉、娘の婿は衆議院議員・谷川弥一の長男という、長崎の政財界に広がる華麗なる一族としても知られる。
大石正光(おおいし まさみつ)|三代続く代議士の家系
生没年: 1945年(昭和20年)1月28日 ~
学歴: 暁星高等学校 → 立教大学文学部史学科 → 米国ウィットワース大学政治学部留学
主な経歴:
- 衆議院議員(5期)
- 参議院議員(1期)
- 参議院財政金融委員長
大石正光は宮城県仙台市生まれ。祖父の大石倫治は戦前の衆議院議員、父の大石武一は農林大臣・初代環境庁長官を務めた文人政治家という三代続く政治家一族に生まれた。
1986年に自民党公認で衆院選に初当選し、中曽根派(後の渡辺派)に所属。しかし1993年に政治改革法案をめぐる造反で自民党を離党し、以後は新進党、民主党と渡り歩く波乱の政治人生を送った。宮城6区では自民党候補との熾烈な攻防を繰り広げ、相手候補が公選法違反で辞職した後の「補選の補選」で返り咲くなど、劇的な選挙戦を何度も経験している。
2004年に参議院に転じて1期を務めた後、2010年の参院選で落選し政界を退いた。2021年に旭日重光章を受章。
山本剛正(やまもと ごうせい)|近年の暁星出身議員
生没年: 1972年(昭和47年)1月1日 ~
学歴: 暁星中学校・高等学校 → 駒澤大学
主な経歴:
- 衆議院議員(1期、福岡2区)
山本剛正は2009年の政権交代選挙で民主党公認により福岡2区から初当選した。暁星出身の国会議員としては比較的近年の人物であるが、上記の5名と異なり政治家の家系ではない。2012年の総選挙で落選し、1期で議席を失った。
暁星と政治家の関係を読み解く
「二世議員の学校」としての暁星
上記6名のうち5名が政治家の二世・三世であるという事実は、暁星学園の特異な位置づけを浮き彫りにしている。戦前から皇居のほど近く千代田区に立地し、外交官・華族・上流階級の子弟が集まる校風があったことが、政治家の子弟にとっても自然な選択肢となっていた。
田中龍夫の場合、父・田中義一が首相在任中に首相官邸に暮らしており、暁星中学への通学には至便であった。金子原二郎は長崎から上京して暁星に通い、砂田重民は神戸から、大石正光は仙台から、それぞれ東京の暁星に進んでいる。地方の有力政治家が子弟を東京の名門校に送り込む選択をした結果、暁星が政治家子弟の受け皿となった構図が見えてくる。
フランス語教育と国際性
暁星学園の最大の特色であるフランス語教育は、今回取り上げた政治家たちの活動にも間接的に影響を与えている可能性がある。田中龍夫が戦前に満鉄調査部や企画院で国際的な視野を活かした仕事をしたこと、金子原二郎が長崎県知事として国際的な漁業行政に取り組んだことなど、暁星で培われた語学力や国際感覚が政治家としてのキャリアに寄与した面はあるだろう。
なお、暁星出身者には政治家のほかにも、外務事務次官・駐米大使を務めた松永信雄、駐仏大使の本野盛幸、財務官の大場智満、大蔵事務次官の谷村裕など、外交・財政の分野で国際的に活躍した官僚も多い。フランス系カトリック校としての教育が、国政だけでなく国際舞台で活躍する人材を幅広く輩出してきたことは特筆に値する。
閣僚経験者の多さ
6名中4名が閣僚を経験している点も見逃せない。田中龍夫は通産大臣・文部大臣の2閣僚、砂田重民は文部大臣と2つの開発庁長官、金子原二郎は農林水産大臣を務めた。大臣ポストに就いた3名はいずれも自民党の有力派閥に属しており、派閥政治全盛期における暁星人脈の存在感を示している。
とりわけ田中龍夫と砂田重民がともに文部大臣を務めたのは興味深い偶然で、カトリック系名門校の出身者が教育行政のトップに立ったことになる。
まとめ|名門校が映し出す日本政治の縮図
暁星学園出身の国会議員たちの顔ぶれは、日本の政治における「学閥」「門閥」の一断面を映し出している。首相の子、大臣の子、代議士の孫——名門校を媒介として形成される政治家一族のネットワークは、戦後日本の保守政治の構造そのものでもあった。
一方で、暁星学園そのものは政治一辺倒の学校ではなく、俳優の香川照之・北大路欣也、ファッションデザイナーの山本耀司・菊池武夫、サッカー解説者の松木安太郎、作曲家の鷺巣詩郎など、芸術・スポーツ・文化の各分野にきわめて多彩な人材を送り出している。政治家を輩出しつつも、その数は他の名門校と比べれば決して多くはない。むしろ暁星の真骨頂は、フランス語教育に象徴される独自の国際性と文化的教養にこそあり、政治家たちもまたその薫陶を受けた人々であったといえるだろう。
本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成しています。
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