コマツ(小松製作所)の歴史を徹底解説|創業から世界的企業への100年の軌跡
はじめに
株式会社小松製作所、通称「コマツ」は、建設機械・鉱山機械の分野で世界第2位のシェアを誇る日本を代表するグローバル企業です。1921年の創業から100年以上の歴史を持ち、石川県小松市の小さな鉄工所から世界的企業へと成長を遂げました。本記事では、コマツの創業から現在に至るまでの歩みを詳しく解説します。
コマツ創業期(1921年~1930年代)
竹内鉱業から独立、小松製作所の誕生
コマツの歴史は1921年(大正10年)5月13日に始まります。石川県小松市に本社を置く竹内鉱業株式会社の機械修理部門が独立する形で、「株式会社小松製作所」が設立されました。初代社長は竹内明太郎が務め、資本金は100万円でスタートしました。
創業当初の主要事業は、鉱山機械の製造と修理でした。親会社である竹内鉱業の設備を支えることが主な目的でしたが、やがて独自の製品開発へと舵を切っていきます。
初の国産農業用トラクター開発
1931年(昭和6年)、コマツは日本初の国産農業用トラクターの開発に成功します。これは日本の機械工業史における画期的な出来事であり、コマツが単なる修理工場から製造メーカーへと進化した重要な転換点となりました。
戦前・戦中期の発展(1930年代~1945年)
ブルドーザー製造への参入
1943年(昭和18年)、コマツは初の国産ブルドーザー「G40」を開発しました。これは軍の要請に応える形で製造されたもので、戦時中の日本において重要な役割を果たしました。この時期の経験が、戦後のコマツの建設機械事業の基礎となります。
戦時中は軍需産業として戦車や航空機部品の製造にも従事し、技術力を蓄積していきました。
戦後復興期とターニングポイント(1945年~1960年代)
戦後の再出発
終戦後、コマツは民需への転換を図ります。1947年(昭和22年)、戦後初のブルドーザー「D50」を完成させ、日本の復興需要に応えていきました。戦災からの復興、インフラ整備が進む中で、建設機械の需要は急速に高まっていきます。
技術提携とグローバル化の萌芽
1950年代、コマツは海外企業との技術提携を積極的に進めます。アメリカのカミンス社とディーゼルエンジンの技術提携を結ぶなど、欧米の先進技術を吸収しながら自社の技術力を高めていきました。
1955年(昭和30年)には、日本初の国産対向ピストン式ディーゼルエンジンの開発に成功。この技術革新により、コマツ製品の性能は飛躍的に向上します。
「マルA運動」による品質革命
1960年代初頭、コマツは深刻な経営危機に直面します。1963年(昭和38年)の資本自由化を控え、世界最大手のキャタピラー社が日本市場に参入することが決まったためです。
この危機に対し、当時の社長・河合良成が始めたのが「マルA運動」です。これは「マルAを取ろう(A級品質を達成しよう)」というスローガンのもと、全社的な品質改善運動を展開したもので、QC(品質管理)活動の先駆けとなりました。この取り組みにより、コマツの製品品質は飛躍的に向上し、キャタピラーに対抗できる競争力を獲得します。
高度成長期からグローバル展開へ(1970年代~1980年代)
海外市場への本格進出
1970年代、日本の高度経済成長を背景に、コマツは海外市場への進出を本格化させます。1967年(昭和42年)にはブラジルに現地法人を設立。その後、アジア、ヨーロッパ、北米へと事業を拡大していきました。
1975年(昭和50年)には、創業以来初めて海外売上高比率が50%を超え、真のグローバル企業への道を歩み始めます。
技術革新とICT化の先駆け
1980年代、コマツは建設機械のエレクトロニクス化を推進します。1982年(昭和57年)には、世界初の無線式遠隔操縦油圧ショベルを開発。建設現場の安全性向上に貢献しました。
また、この時期からGPSを活用した機械管理システムの研究を開始。後の「KOMTRAX」システムの基盤となる技術開発が進められました。
平成期の挑戦と変革(1990年代~2000年代)
バブル崩壊後の構造改革
1990年代のバブル崩壊後、日本国内の建設需要は大きく落ち込みます。コマツも厳しい経営環境に直面しましたが、この時期に徹底した構造改革を断行しました。
2001年(平成13年)、坂根正弘が社長に就任。「ダントツ商品」「ダントツサービス」「ダントツソリューション」を掲げ、差別化戦略を推進します。
KOMTRAXの革命
2001年、コマツは建設機械の遠隔管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」を標準装備として導入します。これは機械の稼働状況、位置情報、メンテナンス情報などをGPSと通信技術で一元管理するシステムで、世界の建設機械業界に大きな衝撃を与えました。
KOMTRAXにより、盗難防止、予防保全、稼働管理が可能となり、顧客の生産性向上に大きく貢献。コマツの競争力を決定的に高める要因となりました。
中国市場での成功と苦闘
2000年代、中国の急速な経済成長に伴い、建設機械の需要が爆発的に増加します。コマツは中国市場で大きなシェアを獲得し、2000年代半ばには業績が急拡大しました。
しかし、リーマンショック後の2010年代前半には中国市場が急激に冷え込み、コマツも大きな影響を受けます。この経験から、特定市場への依存度を下げ、グローバルでのバランスの取れた事業展開の重要性を再認識しました。
現代のコマツ(2010年代~現在)
スマートコンストラクションの展開
2015年(平成27年)、コマツは「スマートコンストラクション」を発表します。これはICT(情報通信技術)を活用し、建設現場全体の生産性を向上させるソリューションです。
ドローンによる測量、3D設計データの活用、ICT建機による施工、そしてKOMTRAXによる管理を統合することで、建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進。日本の建設業界が抱える人手不足や生産性の課題解決に貢献しています。
自動運転・無人化技術
コマツは鉱山向けの自動運転ダンプトラックを2008年から商用化しており、無人化技術では世界トップレベルの実績を持っています。建設現場向けにも、半自動・自動運転技術の開発を進めており、将来的には完全無人化された建設現場の実現を目指しています。
環境対応とカーボンニュートラル
近年、コマツは環境対応にも力を入れています。ハイブリッド建機の開発、電動化の推進、そして2050年のカーボンニュートラル実現を目標に掲げています。
2021年には、建設機械業界で初めて、使用段階を含めたライフサイクル全体でのCO2削減目標を設定。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させています。
コロナ禍での対応
2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済は大きく混乱しましたが、コマツはリモートサービスやデジタル技術を活用して事業を継続。むしろ、デジタル化の重要性が再認識され、スマートコンストラクションの需要が高まりました。
コマツの主要製品ラインナップ
油圧ショベル
コマツの代表的製品である油圧ショベルは、世界中の建設・土木現場で使用されています。小型機から大型機まで幅広いラインナップを揃え、用途に応じた最適な製品を提供しています。
ブルドーザー
創業以来の主力製品であるブルドーザーは、土木工事や鉱山開発に欠かせない機械です。コマツのブルドーザーは耐久性と燃費性能に優れ、過酷な現場でも高い信頼性を発揮します。
ダンプトラック
鉱山用の超大型ダンプトラックは、コマツの技術力の結晶です。積載量が300トンを超える製品もあり、世界中の鉱山で活躍しています。
その他の建設機械
ホイールローダー、モーターグレーダー、クレーン、フォークリフトなど、建設・物流に関わる幅広い機械を製造しています。
コマツの企業理念と経営方針
企業理念「コマツウェイ」
コマツは「品質と信頼性」を最も重視する企業文化を持っています。創業100年を迎えた2021年に制定された「コマツウェイ」では、以下の価値観が掲げられています。
- 社会の要請に応える製品・サービスの提供
- 品質と信頼性の追求
- 技術革新とイノベーションの推進
- 人材育成と働きがいのある職場環境
ESG経営の実践
コマツは早くからESG(環境・社会・ガバナンス)経営を重視してきました。環境保全、安全性向上、ダイバーシティの推進など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを経営の中核に据えています。
コマツの現在と未来
グローバルでの地位
2024年現在、コマツは建設機械・鉱山機械の分野で、アメリカのキャタピラー社に次ぐ世界第2位のシェアを誇ります。売上高は約3兆円規模で、従業員数は全世界で約6万人を超えています。
日本企業でありながら、海外売上比率は80%を超えるグローバル企業として、世界中で事業を展開しています。
今後の展望
コマツが今後注力する分野は以下の通りです。
デジタルトランスフォーメーション(DX): スマートコンストラクションをさらに進化させ、建設業界全体のデジタル化を牽引します。AIやIoTを活用した新しいソリューションの開発を進めています。
脱炭素化: 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、電動化、水素エンジン、バイオ燃料など、多様な技術開発を推進しています。
自動化・無人化: 労働力不足や安全性向上のニーズに応えるため、完全自動化された建設現場の実現を目指しています。
サービス事業の拡大: 機械の販売だけでなく、メンテナンス、レンタル、トータルソリューションの提供など、サービス事業を強化しています。
まとめ
株式会社小松製作所(コマツ)は、1921年の創業から100年以上の歴史を持つ日本を代表する建設機械メーカーです。石川県小松市の小さな鉄工所としてスタートしたコマツは、戦後の復興期、高度成長期を経て、グローバル企業へと成長しました。
「マルA運動」による品質革命、KOMTRAXによるICT化の先駆け、スマートコンストラクションによるDXの推進など、常に時代の先を見据えた経営判断と技術革新により、競争力を維持してきました。
現在、コマツは建設機械業界の世界第2位の地位を確立し、デジタル化、脱炭素化、自動化という新たな挑戦に取り組んでいます。創業から受け継がれる「品質と信頼性」の精神を基盤に、持続可能な社会の実現に貢献する企業として、今後もさらなる発展が期待されます。
コマツの歴史は、日本の製造業の歴史そのものであり、技術革新と挑戦の連続でした。次の100年に向けて、コマツがどのような進化を遂げるのか、今後も注目していきたい企業です。
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