GraphQLとREST APIの違いを徹底解説!初心者でもわかる特徴・メリット・使い分け方

 

はじめに

Webアプリケーションやモバイルアプリの開発において、API(Application Programming Interface)は欠かせない存在です。特に近年、従来のREST APIに加えて、GraphQLという新しいAPI設計手法が注目を集めています。

本記事では、GraphQLとREST APIの違いを詳しく解説し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、そして実際のプロジェクトでどちらを選ぶべきかについて初心者にもわかりやすく説明します。

GraphQLとは?

GraphQLは、Facebook(現Meta)が2012年に開発し、2015年にオープンソース化したクエリ言語兼API仕様です。従来のREST APIとは異なるアプローチでデータの取得や操作を行います。

GraphQLの特徴

単一のエンドポイント GraphQLでは、すべてのデータ操作を1つのURLエンドポイントで処理します。クライアント側から必要なデータを具体的に指定してリクエストを送信します。

クエリ言語としての性質 SQLのように、欲しいデータの構造を宣言的に記述してリクエストできます。これにより、必要なデータのみを効率的に取得できます。

強い型システム GraphQLスキーマによって、利用可能なデータとその型が明確に定義されます。これにより、開発時の型安全性が向上します。

REST APIとは?

REST(Representational State Transfer)APIは、2000年にRoy Fieldingによって提唱されたアーキテクチャスタイルに基づくAPI設計手法です。現在最も普及しているAPI設計方式の一つです。

REST APIの特徴

リソースベースの設計 URLでリソースを表現し、HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)で操作を定義します。直感的で理解しやすい構造です。

複数のエンドポイント 異なるリソースやデータに対して、それぞれ専用のエンドポイントが存在します。例えば、ユーザー情報は/users、投稿情報は/postsのように分かれています。

ステートレス 各リクエストは独立しており、サーバー側でクライアントの状態を保持しません。これによりスケーラビリティが向上します。

GraphQLとREST APIの主要な違い

1. データ取得の方法

GraphQL 必要なデータを具体的に指定してリクエストするため、過不足のないデータを取得できます。複数のリソースからのデータを1回のリクエストで取得することも可能です。

REST API 各エンドポイントが返すデータ構造は固定されており、不要なデータも含まれることがあります。複数のリソースからデータを取得する場合、複数回のリクエストが必要になることがあります。

2. エンドポイントの数

GraphQL 基本的に1つのエンドポイントですべての操作を処理します。クエリの内容によって取得するデータを制御します。

REST API リソースごと、操作ごとに複数のエンドポイントが存在します。APIが大規模になると、管理すべきエンドポイントの数が増加します。

3. キャッシュの扱い

GraphQL クエリの内容が動的に変わるため、HTTPレベルでのキャッシュが困難です。アプリケーションレベルでのキャッシュ戦略が重要になります。

REST API URLが固定されているため、HTTPキャッシュを活用しやすく、CDNなどのインフラレベルでのキャッシュも効果的です。

4. 学習コスト

GraphQL 新しい概念やツールの理解が必要で、初期の学習コストは高めです。スキーマ設計やクエリの最適化など、専門的な知識が求められます。

REST API HTTPの基本的な知識があれば理解しやすく、多くの開発者にとって馴染みやすい設計です。豊富な学習リソースも利用できます。

GraphQLのメリット・デメリット

メリット

効率的なデータ取得 必要なデータのみを取得できるため、ネットワーク通信量を削減できます。特にモバイルアプリケーションでは、通信コストや速度の改善につながります。

柔軟性の高さ クライアント側のニーズに応じて、同じエンドポイントから異なるデータ構造を取得できます。フロントエンドとバックエンドの開発を並行して進めやすくなります。

強い型システム スキーマによる型安全性により、開発時のエラーを早期に発見できます。また、自動生成されるドキュメントにより、API仕様の理解が容易になります。

リアルタイム機能 サブスクリプション機能により、リアルタイムでのデータ更新を効率的に実装できます。

デメリット

複雑性の増加 スキーマ設計やクエリの最適化など、REST APIと比べて考慮すべき要素が多くなります。

キャッシュの課題 動的なクエリのため、従来のHTTPキャッシュが使いにくく、独自のキャッシュ戦略が必要になります。

セキュリティの考慮 複雑なクエリによるDoS攻撃のリスクがあり、クエリの深度制限やレート制限などの対策が必要です。

サーバー負荷 N+1問題など、非効率なデータベースアクセスが発生する可能性があり、適切な最適化が重要です。

REST APIのメリット・デメリット

メリット

シンプルで理解しやすい HTTPの標準的な概念に基づいているため、多くの開発者が理解しやすく、学習コストが低いです。

キャッシュしやすい 固定されたURLによりHTTPキャッシュを効果的に活用でき、パフォーマンスの向上が期待できます。

豊富なツールとライブラリ 長い歴史により、多様な開発ツールやライブラリが充実しており、開発効率が高いです。

デバッグの容易さ ブラウザの開発者ツールなどで簡単にAPIの動作を確認でき、問題の特定が比較的容易です。

デメリット

Over-fetchingの問題 必要以上のデータを取得してしまうことがあり、ネットワーク効率が悪化する場合があります。

Under-fetchingの問題 一つの画面で複数のAPIを呼び出す必要があり、リクエスト数が増加することがあります。

エンドポイントの増加 機能追加に伴いエンドポイントが増え、API仕様の管理が複雑になる場合があります。

バージョン管理の課題 APIの変更時にバージョン管理が必要になり、後方互換性の維持が課題となることがあります。

どちらを選ぶべき?使い分けのポイント

GraphQLが適している場面

複雑なデータ関係がある場合 複数のリソース間に複雑な関係があり、柔軟なデータ取得が必要なアプリケーションに適しています。

モバイルアプリケーション 限られた通信環境で効率的なデータ取得が重要な場合、GraphQLの恩恵を受けやすいです。

マイクロサービス環境 複数のサービスからのデータを統合する必要がある場合、GraphQLがゲートウェイの役割を果たせます。

チーム開発 フロントエンドとバックエンドチームが並行して開発を進める必要がある場合、GraphQLの柔軟性が活用できます。

REST APIが適している場面

シンプルなアプリケーション 比較的単純なデータ構造で、標準的なCRUD操作が中心のアプリケーションには、REST APIの方が適しています。

キャッシュが重要 パフォーマンス要件が厳しく、効果的なキャッシュ戦略が必要な場合は、REST APIが有利です。

既存システムとの連携 多くの外部サービスがREST APIを提供しているため、既存システムとの連携を重視する場合に適しています。

チームのスキルレベル GraphQLの学習コストを考慮すると、REST APIの経験が豊富なチームでは、初期のプロジェクトではREST APIを選択することも合理的です。

実装時の考慮事項

GraphQL実装のポイント

スキーマ設計 将来の拡張を考慮した柔軟なスキーマ設計を行い、破壊的変更を避けるよう注意します。

パフォーマンス対策 DataLoaderパターンなどを活用してN+1問題を解決し、クエリの実行効率を向上させます。

セキュリティ対策 クエリの深度制限、レート制限、認証・認可の仕組みを適切に実装します。

REST API実装のポイント

RESTful設計 リソースベースの設計原則に従い、一貫性のあるAPI設計を心がけます。

バージョン管理 適切なバージョン管理戦略を採用し、後方互換性を維持します。

エラーハンドリング 適切なHTTPステータスコードとエラーメッセージを提供し、クライアント側での処理を容易にします。

まとめ

GraphQLとREST APIは、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットを持つAPI設計手法です。プロジェクトの要件、チームのスキル、システムの複雑さなどを総合的に考慮して選択することが重要です。

GraphQLは柔軟性と効率性に優れており、複雑なデータ構造や高いパフォーマンス要件がある場合に威力を発揮します。一方、REST APIはシンプルさと安定性が魅力で、多くのプロジェクトで実績のある選択肢です。

どちらを選択する場合でも、適切な設計と実装を行うことで、効果的なAPIを構築できます。技術選択は手段であり、最終的にはユーザーに価値を提供することが最も重要であることを忘れずに、プロジェクトに最適な選択を行いましょう。

現在のWeb開発においては、両者の特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが、優れた開発者としてのスキルと言えるでしょう。

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