ARKit 3とは?ピープルオクルージョンとモーションキャプチャ、いまのARKit

ARKit 3は、アップルが2019年6月のWWDC19で発表し、iOS 13から使えるようになったARの開発フレームワークです。人の前後関係を判定して3Dの物体を人の後ろに隠す「ピープルオクルージョン」と、人の動きを読み取る「モーションキャプチャ」が目玉で、同時にRealityKitとReality Composerも登場しました。これらの機能は名前を変えずに、いまのARKit・RealityKitにも引き継がれています。

この記事は2019年6月、WWDC19の開催中に速報として公開したものです。2026年10月18日にアップルの公式ドキュメントを確認し直し、ARKit 3で何が加わったのかと、いまARアプリを作るときに何を使うのかを整理しました。

ARKit 3で加わった主な機能

機能できることいまのAPI名(ARKit)
ピープルオクルージョンカメラに映った人の手前・奥を判定し、3Dの物体を人の後ろに自然に隠すpersonSegmentationWithDepth(フレームセマンティクス)
モーションキャプチャ背面カメラで人の体の姿勢を追跡し、3Dキャラクターに同じ動きをさせるARBodyTrackingConfiguration
前面・背面カメラの同時利用背面カメラでARを表示しながら、前面カメラでユーザーの顔を追跡するuserFaceTrackingEnabled
コーチングオーバーレイ平面の検出などに必要な動かし方を、標準の案内画面でユーザーに示すARCoachingOverlayView

表のAPIはいずれも、公式ドキュメントでiOS 13.0/iPadOS 13.0から利用可能と記載されています(Apple Developer Documentation「ARKit」、2026年10月18日確認)。

ピープルオクルージョン

ARで表示したキャラクターの前を人が横切ったとき、それまでのARでは、人の上にキャラクターが重なって表示されてしまいました。ピープルオクルージョンは、カメラに映った人の形と奥行きを推定し、人より奥にある3Dの物体を人の後ろに隠します。公式のサンプル解説では、ピープルオクルージョンはApple A12以降のチップを搭載した端末でサポートされ、有効にする前に端末が対応しているかを確認するよう説明されています(Apple Developer「Occluding virtual content with people」、2026年10月18日確認)。

モーションキャプチャ

モーションキャプチャは、背面カメラに映った人の体の動きを追跡し、その動きを3Dのキャラクターに当てはめる機能です。公式サンプル「Capturing Body Motion in 3D」では、A12チップ以降のiOS端末で実行するよう案内されています(Apple Developer「Capturing Body Motion in 3D」、2026年10月18日確認)。専用のスーツやセンサーなしで、スマホ1台で人の動きをキャラクターに写せるようになったことが、2019年当時に注目された理由です。

RealityKitとReality Composer

ARKit 3と同時に、ARのための3D描画フレームワーク「RealityKit」と、ARのシーンを作るツール「Reality Composer」が発表されました。ARKitが「カメラとセンサーで現実の空間を理解する」役割なのに対し、RealityKitは「3Dの物体をリアルに描き、動かす」役割を担います。

RealityKitは現在、iOS・iPadOS・macOSに加えてvisionOSでも使えるフレームワークになっています(Apple Developer「RealityKit」、2026年10月18日確認)。シーンづくりのツールは、Macで使う「Reality Composer Pro」に発展し、visionOSやiOSのアプリ向けに3Dコンテンツを作り、Apple Vision Proで変更をそのまま確認できると説明されています(Apple Developer「Reality Composer Pro」、2026年10月18日確認)。

ARKit 3のあとに加わったこと

  • iOS 13.4で、LiDARスキャナー搭載端末向けに周囲の形状を3Dで復元する「シーン再構成(sceneReconstruction)」が加わりました。
  • iOS 14で、LiDARスキャナーで取得した奥行きのデータ(sceneDepth)をアプリから使えるようになりました。
  • Apple Vision Pro向けのvisionOSでは、ARKitSessionを入口にしてARKitのデータを受け取る仕組みになっています。

いずれも公式ドキュメントの対応バージョン表記で確認しました(Apple Developer Documentation「ARKit」、2026年10月18日確認)。2019年に「ARグラスが出ればARゲームが熱くなる」と書きましたが、アップルが実際に出したのはゴーグル型のApple Vision Proで、ARKitはiPhone・iPad向けとvisionOS向けの2本立てで続いています。ARグラス全体のその後はAR元年はいつ?2020年に「AR元年」と言われた6つの理由と、ARグラスのその後にまとめました。

WWDC19で話題になったMinecraft Earthのその後

WWDC19の基調講演では、ARKit 3の活用例としてマイクロソフトのAR位置情報ゲーム「Minecraft Earth」のデモが披露され、ピープルオクルージョンで人がマイクラの世界に入り込んだような表現を見せました。しかしMinecraft Earthは、自由に出歩いて大勢で遊ぶことを前提に作られたゲームで、それが難しくなった状況を理由に、2021年6月30日ですべてのコンテンツとサービスのサポートを終了しました(Minecraft「Minecraft Earth is Coming to an End」、2021年1月5日)。現在はダウンロードもプレイもできません。

いまARアプリを作るなら

作りたいもの主な道具
iPhone・iPad向けのARアプリSwift+ARKit+RealityKit(Xcode)
Apple Vision Pro向けのアプリSwift+visionOS SDK+RealityKit、3D素材はReality Composer Pro
iPhoneとAndroidの両方で動くARアプリUnityなどのゲームエンジン

人の動きを使うARアプリを作りたいなら、ARKit 3で入ったモーションキャプチャとピープルオクルージョンがいまも基本の機能です。対応端末がA12チップ以降に限られる点は、企画の段階で確認しておきましょう。ARアプリを企画するときの考え方はARアプリをヒットさせるための7つのヒント、実際のアプリの例は人気ARアプリまとめが参考になります。

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よくある質問

Q. ARKit 3はいつ発表されましたか?

2019年6月のWWDC19で発表されました。主な機能は、公式ドキュメントでiOS 13.0/iPadOS 13.0から利用可能と記載されています。

Q. ピープルオクルージョンとは何ですか?

カメラに映った人の形と奥行きを推定し、人より奥にある3Dの物体を人の後ろに隠す機能です。ARKitではフレームセマンティクスのpersonSegmentationWithDepthで有効にします。

Q. ピープルオクルージョンやモーションキャプチャはどの端末で使えますか?

アップルの公式ドキュメントでは、Apple A12以降のチップを搭載した端末が対象とされています。有効にする前に、端末が対応しているかをアプリ側で確認する必要があります。

Q. Reality Composerはいまも使えますか?

シーンづくりのツールはMacで使うReality Composer Proに発展しています。visionOSやiOSのアプリ向けに3Dコンテンツを作り、Apple Vision Proで変更を確認できます。

Q. Minecraft Earthはいまも遊べますか?

遊べません。Minecraft Earthは2021年6月30日にすべてのコンテンツとサービスのサポートを終了しました。

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あわせて【ARアプリ企画者必見】ARアプリをヒットさせるための7つのヒント、人気ARアプリまとめも参考になります。

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