ニデック不適切会計問題をわかりやすく解説【2025年最新】株価暴落・監査意見不表明の全容

 

ニデック事件とは?問題の概要

2025年9月3日、精密小型モーター大手のニデックは、傘下のニデックテクノモータの中国子会社で不適切な会計処理の疑いが見つかったと発表しました。この発表をきっかけに、翌9月4日の株価は制限値幅の下限(ストップ安水準)となる前日比700円(22%)安まで急落し、市場に大きな衝撃を与えました。

この問題は単なる子会社の会計ミスにとどまらず、ニデック本体およびグループ会社においても不適切な会計処理の可能性のある事案が見つかり、経営陣が関与または認識した上で不適切な処理に関わったと解釈しうる資料を発見したという深刻な状況となっています。

事件の発端:中国子会社の購買一時金問題

最初の報告

2025年7月22日、子会社のニデックテクノモータからニデック本社の監査等委員会に、中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)において「2024年9月下旬にサプライヤーからの値引きに相当する購買一時金(約2億円)に関して不適切な会計処理が行われた疑いがある」との報告がありました。

社内調査で次々と発覚

これを受けてニデックが社内の監査等委員会の監督の下、メールやパソコンの操作記録などを解析するデジタルフォレンジック(電子鑑識)も含めて調べたところ、テクノ社以外でも不適切会計を疑わせる資料が複数発見されました。

経営陣関与の可能性が浮上

最も深刻なのは、ニデック本体やグループ会社の経営陣の関与・認識のもとで不適切な会計処理が行われていたことを疑わせる資料が複数見つかったことです。

資産の評価損を計上する時期を自社に都合のいいように調整しているとも解釈できる内容が含まれていたとされており、組織的な利益操作の可能性が指摘されています。

第三者委員会の設置

ニデックは監査等委員会による調査では限界があると判断し、会社から独立した第三者委員会に調査を委ねるとして、2025年9月3日付で第三者委員会の設置を決定しました。

第三者委員会は弁護士と公認会計士の計3人で構成され、委員長には西村あさひ法律事務所の平尾覚弁護士が就任しました。

株価への影響:ストップ安の衝撃

9月4日の株価暴落

2025年9月4日の東京株式市場でニデック株は続落し、終値は制限値幅の下限(ストップ安水準)となる前日比700円(22%)安の2420円となりました。日経平均株価採用銘柄の中でもトップの下げ幅を記録しました。

その後の株価推移

ニデック株は9月に入って約20%下落し、調査結果が公表されるまで株価は低迷するとみられています。

有価証券報告書の提出遅延問題

イタリア子会社の関税問題

問題はこれだけではありません。ニデックは2025年6月、イタリアの子会社で生産したモーターの原産国の申告に誤りがあり、関税の未払いが発生した可能性を認識したとして調査に着手したことを公表しました。

これにより「完了に至るまでには相当な長期間を要する」と想定されるとして有価証券報告書の提出期限を9月26日に延長しました。本来、事業年度終了後3カ月以内に提出すべき有報が、大幅に遅れる異例の事態となりました。

監査法人の「意見不表明」

ニデックは9月26日に2025年3月期の有価証券報告書を提出しましたが、監査法人のPwCジャパンは意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手できなかったとして監査意見を表明しませんでした。

この「意見不表明」は極めて異例で、監査法人が財務諸表の適正性について判断できない状態であることを意味します。

上場維持への懸念

東京証券取引所は、監査報告書に公認会計士が「不適正意見」や「意見の表明をしない」と記載した場合などに特設注意銘柄に指定することができます。

指定された場合は、1年後の審査までに内部管理体制などを適切に整備・運用することが必要となり、適切と認められない場合は上場廃止となります。

永守重信代表のコメント

ニデックの永守重信代表取締役グローバルグループ代表は2025年9月7日、不適切会計の疑いを巡り「隠すことなくすべての問題についてオープンにやっていく」と述べました。

「我々は自主的に開示して、考えていることをきちんと伝えていきたい。すべて解決したら会社はもっと良くなる」と話しました。

ニデックの過去の会計問題

実は、ニデックでは近年、会計関連の問題が複数発生しています。

2024年5月には子会社の売上高計算のミスなどが明らかになったとして、過去に公表していた有価証券報告書や決算短信を訂正しました。2023年3月期と2024年3月期の連結純利益を計82億円下方修正しました。

今回の事件は、こうした会計処理の問題が繰り返される中で発生した、より深刻なケースと言えます。

背景:拡大戦略の限界

この問題の背景には、ニデックの積極的な拡大戦略があると指摘されています。

2023年10月、永守会長は電動アクスルの事業について「今期に黒字を見込んでいたが、年間で150億円の赤字が出る」との見通しを明らかにし、すでに2023年度3月期で300億円の営業赤字を計上していた電動アクスル事業の黒字転換が困難な状況となりました。

永守氏は2025年8月に入って、中期経営目標として掲げてきた「2030年度に売上高10兆円」を撤回すると表明しました。

今後の見通しと投資家への影響

調査結果の公表待ち

現時点では第三者委員会による調査が進行中であり、その結果公表を待つ状況です。調査結果が公表されるまで株価は低迷するとみられています。

ガバナンス体制の再構築が課題

ニデックの統治形態は監査等委員会設置会社で、監査等委員は計5人おり、常勤で経済産業省出身の落合裕之取締役と財務省出身の吉井浩社外取締役のほか、京都大学大学院法学研究科の山田文教授、中本総合法律事務所パートナーの豊島ひろ江弁護士、外務省参与の梅田邦夫氏が務めています。

それでも今回のような問題が発生したことから、ガバナンス体制の抜本的な見直しが求められています。

投資家が注目すべきポイント

  1. 第三者委員会の調査結果:不適切会計の範囲と金額の確定
  2. 経営陣の責任:トップマネジメントの関与の程度
  3. 再発防止策:実効性のあるガバナンス改革が行われるか
  4. 上場維持:特設注意銘柄指定や上場廃止の可能性
  5. 業績への影響:過年度決算の修正や今後の業績見通し

まとめ:ニデック事件が示すもの

ニデック不適切会計問題は、日本を代表するグローバル企業でも、組織的な会計不正が起こりうることを示す重大な事件です。

積極的な拡大戦略と高い業績目標の追求が、結果として不適切な会計処理を生み出す土壌となった可能性があります。

投資家にとっては、企業のガバナンス体制と内部統制の重要性を改めて認識させられる事例となりました。今後の調査結果と再発防止策の実効性が注目されます。


最終更新: 2025年10月11日
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