マイクロソフトの歴史完全ガイド|創業から現在まで徹底解説

はじめに

Microsoft(マイクロソフト)は、世界最大級のテクノロジー企業として、コンピューター業界に革命をもたらしてきました。本記事では、1975年の創業から現在に至るまでのマイクロソフトの歴史を、主要な出来事や製品、経営戦略の変遷とともに詳しく解説します。

マイクロソフトの創業期(1975-1980年代初期)

ビル・ゲイツとポール・アレンによる創業

マイクロソフトは1975年4月4日、ビル・ゲイツとポール・アレンによってニューメキシコ州アルバカーキで設立されました。当時、ゲイツはハーバード大学の学生、アレンはハネウェル社の社員でした。

創業のきっかけとなったのは、1974年に発売された世界初のパーソナルコンピューター「Altair 8800」でした。2人はこのコンピューター向けにBASICインタープリターを開発し、MITS社にライセンス供与したことがマイクロソフトの始まりです。

初期の製品展開

1970年代後半、マイクロソフトは様々なコンピューター向けにBASICインタープリターを提供し、急速に成長しました。この時期の主な成果:

  • 1977年:日本のアスキー社と提携し、日本市場に参入
  • 1979年:本社をワシントン州ベルビューに移転
  • 1980年:Steve Ballmer(スティーブ・バルマー)が入社

MS-DOSの誕生

1980年、IBMがパーソナルコンピューター参入を決定し、オペレーティングシステムの開発パートナーとしてマイクロソフトを選択しました。マイクロソフトはSeattle Computer Products社からQDOSを購入し、これを改良して「MS-DOS」として1981年に発表しました。

IBM PCの大成功により、MS-DOSは業界標準のOSとなり、マイクロソフトの基盤を確立しました。

Windows時代の幕開け(1980年代中期-1990年代)

Windows 1.0の登場

1985年11月、マイクロソフトは初のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を持つOS「Windows 1.0」を発表しました。当初は反響が限定的でしたが、WindowsはMS-DOSの延長線上で動作するため、互換性を保ちながら進化できる利点がありました。

Windowsの進化

  • Windows 3.0(1990年):大きな商業的成功を収め、Windowsが本格的に普及開始
  • Windows 3.1(1992年):TrueTypeフォントなど新機能を追加し、さらに人気を博す
  • Windows 95(1995年):スタートメニューやタスクバーを導入し、革命的なUI変更を実現。発売初日に100万本以上を販売

Microsoft Officeの展開

1990年、マイクロソフトはWord、Excel、PowerPointを統合した「Microsoft Office」を発表しました。Officeスイートはビジネスソフトウェアのスタンダードとなり、マイクロソフトの収益の柱の一つとなりました。

株式公開と急成長

1986年3月13日、マイクロソフトはNASDAQに株式を公開しました。公開価格は1株21ドルでしたが、その後の株価上昇により多くの従業員が億万長者となりました。

1990年代を通じて、マイクロソフトは:

  • Windows NTを企業向け市場に投入
  • Internet Explorerを開発し、ブラウザ戦争に参入
  • DirectXを発表し、ゲーム開発プラットフォームを強化

インターネット時代への対応(1990年代後半-2000年代)

インターネット戦略の転換

1995年、ビル・ゲイツは「インターネット津波(Internet Tidal Wave)」と題したメモを社内に配布し、インターネットへの全面的な注力を宣言しました。

主な取り組み:

  • Internet Explorer 3.0以降、Netscapeとの激しい競争を展開
  • MSN(Microsoft Network)を強化
  • Hotmailの買収(1997年)

独占禁止法違反訴訟

1998年、米国司法省と20州がマイクロソフトを独占禁止法違反で提訴しました。Internet ExplorerをWindowsに統合したことが、反競争的行為とされたためです。

2001年に和解が成立しましたが、この訴訟はマイクロソフトの企業文化と戦略に大きな影響を与えました。

Windows XPとOffice製品の進化

2001年に発表されたWindows XPは、家庭用と業務用を統合した画期的なOSとして大成功を収めました。Windows XPは2014年まで広く使用され、マイクロソフト史上最も人気のあるOSの一つとなりました。

新規事業への進出

2000年代初頭、マイクロソフトは新たな市場への参入を積極的に進めました:

  • Xbox(2001年):ゲームコンソール市場に参入し、Sony PlayStationやNintendoと競合
  • Windows Server 2003:エンタープライズ市場での地位を確立
  • .NET Framework:開発プラットフォームの近代化

モバイルとクラウドへの転換(2000年代後半-2010年代初期)

Windows Vistaの課題

2007年に発表されたWindows Vistaは、セキュリティ強化や新しいユーザーインターフェースを搭載しましたが、互換性問題や重い動作により批判を受けました。

Windows 7の成功

2009年のWindows 7は、Vistaの問題点を解消し、高い評価を得ました。パフォーマンスの向上とユーザビリティの改善により、企業・個人ユーザー双方から支持されました。

モバイル市場での苦戦

マイクロソフトはスマートフォン市場で苦戦を強いられました:

  • Windows Mobile/Windows Phoneは、iOSやAndroidに対抗できず
  • 2013年、Nokiaの携帯電話事業を約72億ドルで買収するも、2016年に撤退

クラウドへの舵切り

2000年代後半から、マイクロソフトはクラウドコンピューティングへの投資を本格化:

  • Windows Azure(2010年、後のMicrosoft Azure):クラウドプラットフォーム事業を開始
  • Office 365(2011年):サブスクリプション型のOfficeサービスを展開

サティア・ナデラ時代の革新(2014年-現在)

新CEOの就任と企業文化の変革

2014年2月、サティア・ナデラが第3代CEOに就任しました。ナデラはマイクロソフトの企業文化を「know-it-all(何でも知っている)」から「learn-it-all(常に学ぶ)」へと変革し、オープンで協調的な姿勢を打ち出しました。

クラウドファースト戦略

ナデラのリーダーシップの下、マイクロソフトは「クラウドファースト、モバイルファースト」戦略を推進:

  • Microsoft Azureが急成長し、Amazon Web Services(AWS)に次ぐ第2位のクラウドプラットフォームに
  • Office 365の契約者数が急増
  • Azure AIやCognitive Servicesなど、AI機能を強化

オープンソースへの転換

かつてはオープンソースに否定的だったマイクロソフトですが、ナデラ時代に方針を大転換:

  • 2018年、GitHubを75億ドルで買収
  • .NET Coreなど、主要製品をオープンソース化
  • LinuxをAzureで全面的にサポート
  • Visual Studio Codeをオープンソースで提供

戦略的買収

マイクロソフトは積極的な買収戦略により、事業領域を拡大:

  • LinkedIn(2016年):262億ドルで買収し、ビジネスSNS市場に参入
  • GitHub(2018年):開発者コミュニティを獲得
  • Activision Blizzard(2023年):約687億ドルでゲーム業界史上最大の買収を完了

Windows 10と11の展開

  • Windows 10(2015年):「最後のWindows」として、継続的アップデートモデルを採用
  • Windows 11(2021年):デザインを刷新し、Android アプリのサポートなど新機能を追加

AI時代への対応

2020年代、マイクロソフトはAI分野で大きな投資を実施:

  • OpenAIに数十億ドルの投資を行い、戦略的パートナーシップを締結
  • ChatGPT技術をBing検索エンジンに統合
  • Microsoft Copilotとして、Office製品やWindows全体にAI機能を実装
  • Azure OpenAI Serviceを企業向けに提供

現在のマイクロソフト

2025年現在、マイクロソフトは世界有数のテクノロジー企業として、多岐にわたる事業を展開しています。

主要事業領域

  1. クラウドサービス:Azure、Office 365、Dynamics 365
  2. 生産性ソフトウェア:Microsoft 365、Teams、OneDrive
  3. ゲーミング:Xbox、Game Pass、Activision Blizzardのタイトル
  4. 検索・広告:Bing、LinkedIn広告
  5. AI・開発ツール:Copilot、Visual Studio、GitHub

企業価値の推移

サティア・ナデラのCEO就任以降、マイクロソフトの時価総額は劇的に増加し、一時期は世界で最も価値のある企業となりました。クラウドとAIへの戦略的投資が高く評価されています。

マイクロソフトの歴史から学ぶ教訓

マイクロソフトの50年近い歴史は、テクノロジー企業にとって重要な教訓を提供しています:

  1. 適応力の重要性:MS-DOSからWindows、そしてクラウドへと、時代の変化に合わせて事業モデルを進化させた
  2. 企業文化の変革:ナデラ時代の文化変革が、停滞からの脱却につながった
  3. エコシステムの構築:開発者やパートナーとの協力関係が、長期的成功の基盤となった
  4. 失敗からの学び:モバイル市場での失敗を経て、クラウドとAIに注力する戦略を確立

まとめ

マイクロソフトは1975年の創業以来、パーソナルコンピューター革命の中心的存在として成長し、クラウドとAI時代のリーダーへと進化を遂げてきました。

ビル・ゲイツとポール・アレンが始めた小さなソフトウェア会社は、今や時価総額数兆ドル規模のグローバル企業となり、世界中の企業や個人の生産性向上に貢献しています。

サティア・ナデラのリーダーシップの下、マイクロソフトは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションを掲げ、AI、クラウド、ゲーミングなど多様な分野で革新を続けています。

今後もマイクロソフトは、技術革新の最前線で重要な役割を果たし続けることでしょう。

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