高度情報処理技術者試験の区分一覧|8試験の内容と2026年度CBTの日程・2027年度の新制度
IPA(情報処理推進機構)の「高度試験」は、ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ネットワークスペシャリスト・データベーススペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリスト・ITサービスマネージャ・システム監査技術者の8区分です。2026年度はすべてCBT方式で、ST・SA・NW・SMが前期(2026年10〜11月)、PM・DB・ES・AUが後期(2027年2〜3月)に実施され、2027年度からは新しい試験制度に移る予定です。
この記事では、IPAの試験区分一覧、各区分のページ、令和8年度の申込受付期間・試験実施期間、試験制度の見直しのページをもとに、高度試験の全体像を整理します(いずれも2026年10月15日確認)。日程や制度は変わることがあるため、申し込む前に必ずIPAの最新の案内を見てください。
IPAの試験区分の全体像
IPAが実施する国家試験は、「情報処理技術者試験」の12区分と「情報処理安全確保支援士試験」の1区分、合わせて13区分です。試験区分一覧では、レベルごとに次のように分けられています。
| 位置づけ | 試験区分(略号) | 2026年度の実施時期 |
|---|---|---|
| ITを活用する全ての社会人 | ITパスポート試験(IP) | 随時(CBT) |
| ITの安全な利活用を推進する者 | 情報セキュリティマネジメント試験(SG) | 随時(CBT) |
| 情報処理技術者・基本 | 基本情報技術者試験(FE) | 随時(CBT) |
| 情報処理技術者・応用 | 応用情報技術者試験(AP) | 前期・後期(CBT) |
| 情報処理技術者・高度 | ST/SA/PM/NW/DB/ES/SM/AU の8区分 | 前期または後期(CBT) |
| サイバーセキュリティを推進する人材 | 情報処理安全確保支援士試験(SC) | 前期・後期(CBT) |
「高度試験」と呼ぶのは上の8区分の総称です。情報処理安全確保支援士試験(SC)はレベル感は高度試験と近いものの、別の試験として扱われ、合格後に登録すると国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」を名乗れます。
高度試験8区分の一覧
各区分の「対象」は、IPAの区分ページに書かれた紹介文を短くまとめたものです。実施時期は2026年度のものです。
| 試験区分 | 略号 | 2026年度 | どんな人向けか(IPAの紹介文の要約) |
|---|---|---|---|
| ITストラテジスト試験 | ST | 前期 | 経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを活用した事業革新を進める人 |
| システムアーキテクト試験 | SA | 前期 | システム開発の上流工程を主導し、業務に合ったシステムのグランドデザインを描く人 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | NW | 前期 | 目的に合った大規模で堅牢なネットワークを設計・構築・運用する人 |
| ITサービスマネージャ試験 | SM | 前期 | 安全で信頼性の高いITサービスを継続的に改善しながら提供する人 |
| プロジェクトマネージャ試験 | PM | 後期 | 環境の変化や関係者の要求に対応しながらプロジェクトを成功に導く人 |
| データベーススペシャリスト試験 | DB | 後期 | 大量のデータを管理し、性能の高いデータベースシステムを構築する人 |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | ES | 後期 | ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた組込み・IoTシステムを企画・開発する人 |
| システム監査技術者試験 | AU | 後期 | 情報システムのリスクを分析し、コントロールを検証・評価する監査人など |
2025年度まではペーパー方式で、春期(4月)と秋期(10月)に分かれていました。2026年度からはCBT方式になり、呼び方も「前期」「後期」に変わっています。どの区分が前期・後期かは、旧制度の春期・秋期の割り振りとは一致しないので注意してください(たとえばデータベーススペシャリストは2026年度は後期です)。
2026年度(令和8年度)の試験日程
2026年度の応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験は、前期・後期ともCBT方式で行われます。会場ごとに試験日と時間帯が異なり、受験者は空いている予約枠から選びます。申込みの際は、科目A群(科目A-1・A-2)と科目B群(科目B-1・B-2)を同時に予約します(2026年10月15日確認)。
| 区分 | 申込受付期間 | 科目A-1・A-2の実施期間 | 科目B-1・B-2の実施期間 |
|---|---|---|---|
| 前期:ST・SA・NW・SM | 2026年10月6日10時〜10月24日17時 | 2026年10月17日〜10月27日 | 2026年11月11日〜11月23日 |
| 後期:PM・DB・ES・AU | 2027年1月27日〜2月27日 | 2027年2月20日〜3月2日 | 2027年3月16日〜3月28日 |
合格発表は、前期が2027年2月頃、後期が2027年6月頃の予定とされています。科目A群の得点は試験終了後に端末とマイページで確認できますが、科目B群の得点・評価ランクは端末には表示されず、マイページでの成績照会は前期が2027年1月頃、後期が2027年5月頃からの予定です(IPA、2026年10月15日確認)。
前期試験の受験申込みのページには、次の注意点も書かれています。
- 申込みは1回のみで、複数の試験区分や複数回の申込みはできない
- 受験票は送られず、試験当日は本人確認書類が必要
- 試験画面のメモ機能・電卓機能に加え、入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配られる
- 支払いはクレジットカード、コンビニ・銀行ATM(Pay-easy)、バウチャーチケットから選ぶ
なお、IPAは2026年10月6日の前期申込受付開始時にアクセスが集中して障害が起きたことを公表しています。申込みは締切直前を避け、早めに済ませるほうが安全です。
受験手数料
受験手数料は7,500円です。情報処理技術者試験は消費税込み、情報処理安全確保支援士試験は非課税です(IPA、2026年10月15日確認)。この金額は2021年の政令改正で5,700円から引き上げられたものです(IPA:受験手数料の改定について)。
試験の構成と時間
CBT化に合わせて科目名が変わりました。午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱは、それぞれ科目A-1・科目A-2・科目B-1・科目B-2になっています。IPAによると試験時間は変わらず、科目A-1と科目A-2の間、科目B-1と科目B-2の間に10分の休憩が入ります(IPA:CBT方式での実施について)。
| 科目(旧名称) | 試験時間 | 出題形式 | 出題数・解答数 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1(午前Ⅰ) | 50分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問出題・30問解答 |
| 科目A-2(午前Ⅱ) | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問出題・25問解答 |
| 科目B-1(午後Ⅰ) | 90分 | 記述式 | 3問出題・2問解答 |
| 科目B-2(午後Ⅱ) | 120分 | 区分により論述式または記述式 | 2問出題・1問解答 |
科目B-2が論述式の区分と記述式の区分
「高度試験は全部論文がある」と思われがちですが、各区分のページを見ると違います。
- 論述式(いわゆる論文):ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、エンベデッドシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者
- 記述式:ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト
論文を書くのが苦手な人にとって、NWとDBは論述式がない点で準備の方向が変わります。逆に、論述式の区分では、自分の実務経験をもとに設問に沿って書く練習が中心になります。
科目B-2が論述式かどうかは、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、ITストラテジスト試験など、各区分のページの「試験時間・出題形式・出題数」で確認できます。
科目A-1の免除
一定期間内に応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験に合格した人や、高度試験・支援士試験で午前Ⅰ(科目A-1)の基準点を取った人は、科目A-1の免除を申請できます。2026年度前期では、令和6年度春期〜令和7年度秋期の該当者が対象です。後期では、令和6年度秋期〜令和8年度前期の該当者が対象になります(IPA、2026年10月15日確認)。自分が対象かどうかは、申込み前に必ず確認してください。
2027年度からの新試験制度
IPAは、2027年度から新しい試験制度に移る予定だと案内しています(試験制度の見直しについて)。経済産業省が2026年3月31日に公表した見直し案のポイントは次のとおりです。
- 応用情報技術者試験と高度試験を大くくりにし、「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3領域・3試験に再編する(3試験の総称は「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」)
- データを活用できる状態に整備・管理するスキルを評価する「データマネジメント試験(仮称)」を新設する
- 2027年度の見直し後の試験では、記述式・論述式をCBTに適した出題形式へ見直す。論述試験のあり方は2028年度以降に向けて検討を続ける
- 開始時期の見込みは、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者が2027年度春頃、データマネジメント試験(仮称)、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)、情報処理安全確保支援士試験が2027年度夏頃から秋頃
- プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)には、現行の高度試験と同等の免除制度を設けることや、経過措置として現行試験の一部科目免除要件を一定期間引き継ぐことを検討する
これらは「案」「検討」の段階として公表されたもので、経済産業省も準備状況によっては開始が遅れる可能性があるとしています。IPAは2026年9月30日に新制度のシラバス案の追加分を掲載するなど、情報を順次出しています。今の区分名のまま合格を目指すなら、2026年度の前期・後期が具体的な目標になります。
どの区分から受けるか
区分を選ぶときは、合格しやすさより「今の仕事や、これから担いたい役割に近いか」で考えるのが現実的です。論述式の区分は実務経験をもとに書くことが前提なので、経験のない領域の論文はどうしても書きにくくなります。
- インフラやネットワークの設計・運用をしている:ネットワークスペシャリスト(論述式なし)
- アプリ開発でテーブル設計やSQLを日常的に扱う:データベーススペシャリスト(論述式なし)
- 要件定義や基本設計を担当している:システムアーキテクト
- プロジェクトの計画・進捗管理をしている:プロジェクトマネージャ
- 運用部門でサービス品質を管理している:ITサービスマネージャ
- 組込み機器やIoT製品の開発をしている:エンベデッドシステムスペシャリスト
- 経営企画やIT戦略の立案に関わる:ITストラテジスト
- 監査・内部統制に関わる:システム監査技術者
まだ応用情報技術者試験に合格していない場合は、先に応用情報で科目A-1の免除資格を得てから高度試験に進む方法もあります。応用情報に合格すると、一定期間は高度試験の科目A-1を免除申請できるため、受験日の負担が軽くなります。
合格率などの数字は、IPAの統計情報で区分ごとに公開されています。CBT化の初年度は前年までと条件が違うため、過去の合格率をそのまま当てはめないほうがよいでしょう。
勉強の進め方
どの区分でも、出題範囲はIPAが公開している試験要綱・シラバスで決まっています。まず区分ページから試験要綱とシラバスを確認し、IPAの過去問題で出題の形式に慣れるのが基本です。
- 科目A-1・A-2:過去問題で四肢択一に慣れる。免除対象なら科目A-2に集中する
- 科目B-1:問題文が長いので、設問が何を聞いているかを読み取る練習をする
- 科目B-2(記述式の区分):設計や設定の根拠を短い字数で書く練習をする
- 科目B-2(論述式の区分):自分の担当業務を、背景・課題・取った手段・結果の順に整理し、設問ごとに組み替えて書く練習をする
CBTでは画面上で問題を読み、キーボードで解答を入力します。紙に書く場合と比べて、長い論述を時間内に入力する感覚は練習しておかないとつかめません。IPAの委託先である株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズのページで、試験画面の操作説明が公開されています(前期申込ページからリンクあり)。
実務の幅を広げてから受けたい人は、プログラミングを手を動かして学ぶ方法もあります。テックジムは東京・永田町に本校がある通学型のプログラミングスクールで、自分のペースで課題を進め、詰まったときにトレーナーに質問できます。まず試したい場合は無料講座があります。
よくある質問
Q. 高度情報処理技術者試験は何区分ありますか?
ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者の8区分です。情報処理安全確保支援士試験は高度試験とは別の試験区分です。
Q. ネットワークスペシャリスト試験はいつ受けられますか?
2026年度は前期に実施され、申込受付は2026年10月6日から10月24日17時まで、科目A-1・A-2は10月17日から10月27日、科目B-1・B-2は11月11日から11月23日の間で、会場ごとの予約枠から選びます(2026年10月15日確認)。
Q. データベーススペシャリスト試験は何が変わりましたか?
2026年度からCBT方式になり、実施時期は後期(科目A群が2027年2月20日から3月2日、科目B群が3月16日から3月28日)です。科目名も午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱから科目A-1・A-2・B-1・B-2に変わりましたが、試験時間は変わっていません。2027年度からは試験制度そのものの見直しが予定されています。
Q. 受験料はいくらですか?
受験手数料は7,500円です。情報処理技術者試験は消費税込み、情報処理安全確保支援士試験は非課税です(2026年10月15日確認)。
Q. 2027年度から高度試験はなくなるのですか?
経済産業省の見直し案では、応用情報技術者試験と高度試験を3領域・3試験の「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」に再編するとしています。開始は2027年度夏頃から秋頃の見込みで、内容は検討中のため、IPAの「試験制度の見直し」のページで最新情報を確認してください。
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