Withコロナ時代を生き抜け!今こそ注目のロボット14選

一向に収まる気配のない新型コロナショック。緊急事態宣言も延長され、コロナとも長い付き合いとなりそうです。
本コラムでも『日本国政府に告ぐ、早く導入せよ!!対コロナ戦の最終兵器ロボットはこれだ!!!【厳選19種】』と題してコロナ対抗ロボットを特集しましたが、その後も続々と参戦するロボット達。さながらスーパーロボット大戦の様相を呈しています。「Afterコロナ」でなく、まずは「Withコロナ」の時代を生き抜くために注目すべきロボット業界の動きをレポートして参ります。

Whizコロナ?Withコロナ?生活インフラ業種向け無償提供

ソフトバンクロボティクスは、清掃業界や清掃員への負荷が高まっていることを受けて、AI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」と科学的な清掃方法の確立をサポートする「施設清潔度診断サービス」を無償で提供すると発表しました。

https://www.softbankrobotics.com/jp/news/press/20200415a/

無償提供の対象は、医療施設・隔離施設、介護施設、官公庁・金融機関、小売(スーパーマーケット・ドラッグストアなど)、駅・空港、工場・物流といった緊急事態宣言発令後でも業務を継続されている6業種の施設になります。

ソフトバンクロボティクスと熊谷組による調査によると、「Whiz」を使用して床清掃を行った場合、人の手による清掃と比較して空間浮遊菌量が5分の1程度まで減少することが検証できたそうです。
コロナとの戦いに勝利しないと、誰もいない施設でロボットが一人掃除を続けるという、映画「ウォーリー」のような世界が訪れるかもしれません。

3種のロボット活用ソリューションを無償提供、アスラテック

ソフトバンクグループ傘下のロボット会社アスラテックですが、こちらも生活インフラを支える業種向けにロボット活用ソリューションを無償提供しています。

https://www.asratec.co.jp/2020/04/24/27042/

対象となるソリューションは「VRcon for Pepper」による遠隔会話ソリューション、遠隔操縦型ロボットによる消毒ソリューション、自律走行型ロボット「RICE」による無人配送ソリューションの3種類です。
「VRcon for Pepper」は病院の受付などを遠隔化することができ、今は眠っているPepperにとっても名誉挽回のチャンスなので、是非とも頑張ってもらいたいですね。

消毒ソリューションで使われているロボット「クレバークリーナー」はもともと畜舎向けの洗浄に使われていたものだそうで、今回、施設などでの消毒液無人散布作業向けにカスタマイズするそうです。是非とも人畜無害な環境を実現して欲しいものです。

自律走行型ロボット「RICE」は香港の配送ロボットで、香港では隔離対象者向けの施設(ホテル)などで活用実績があるそうです。前回のレポートでも中国の事例が多く、この分野はやはり中国が強いですね。
ソフトバンクグループ会長兼社長の孫さんも、マスクや防護服の調達といったコロナ対策支援に乗り出していますが、これをきっかけに、最近続いたソフトバンクの暗い話題を吹き飛ばせるか。

サイバーダインの次世代清掃ロボットに消毒液噴霧機能が追加

サイバーダインは、次世代型清掃用ロボット「CL02」に付属装置として消毒液噴霧機を取り付けたロボットを完成させ、羽田空港旅客ターミナルへの導入が決定したと発表しました。
https://www.cyberdyne.jp/wp_uploads/2020/03/200331_PR_JPN.pdf

従来搭載されていたカーペットなどの清掃機能に加え、新たにターミナル内の壁面及び床面への消毒液

の噴霧が可能で、CL02の最先端の自律走行技術を活用し、事前に設定されたエリアを正確かつ自律的に稼働させることが可能とのことです。
空港利用者がいない夜間に壁や床に消毒液を噴霧しているとのことです。日本空港ビルデングによると2020年4月現在このロボットは、第1ターミナルの1階到着ロビーで試験運用されており、今後はロボットの量産、対応フロアの拡大を検討しているとのことです。

国土交通省によると、今年のGW期間中の予約数は前年比93パーセント減少とのことですが、この間に来年の東京五輪に向けて運用実績を蓄積していって欲しいですね。

サウザーにも消毒液噴霧機能が追加

つくば発のロボットスタートアップDoogですが、シンガポール子会社(Doog International Pte. Ltd)が、シンガポール行政機関から荷物運搬用途での貸出要請を受けており、現在関係機関と調整を行っているのと並行して、公衆衛生・予防対策のプロジェクトからの要請で消毒薬噴霧散布ロボットを準備したと発表しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000043289.html

こちらは協働運搬ロボットのサウザーを噴霧散布用途としてカスタマイズしたもので、あらかじめ定められたルートを無人で定期的に走行し、施設内をくまなく消毒する活動を支援し、作業の無人化によって現場作業者の感染リスクの軽減を目指すそうです。

また、医療関連業務やウィルス予防対策に関する専門事業者との連携によって、要請に合わせカスタマイズしたサウザーを提供していくとのことで、緊急性を要する案件では、状況を鑑み、機材の無償貸与や修理のご要望への柔軟な対応を検討してゆくとのことです。

日本でも消毒薬噴霧散布向けのサウザーが活用されるか注目です。

ZMPも消毒液散布機能を追加

自動運転技術を手がけるロボットベンチャーのZMPですが、同社の自動運転バス「RoboCar Mini EV Bus」と警備ロボ「パトロ」に消毒液散布機能のオプションを追加したと発表しました。
https://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20200409
https://www.zmp.co.jp/news/pressrelease_20200410

RoboCar Mini EV Busは一式7,000万円〜、消毒液散布機能オプションは要問い合わせとなっています。前回のレポートで、中国で路面に対して消毒液を散布する配送ロボットを取り上げましたが、こちらは走行終了時など決められた時間に、乗客の手が触れる手すりや座席、および床や壁面に消毒液を自動噴霧する機能になっています。
パトロは2020年5月からサービス開始予定で、月額10万円〜、初期費用200万円〜で、消毒液散布機能オプションは月額1万円〜で追加提供するそうです。パトロは自己位置の認識機能やカメラ等のセンサー情報を組み合わせることで、適切な場所で消毒液を噴霧し、手すりやエレベーターのボタンなど手の触れることの多い設備や、スーパーや病院といった人が往来する屋内の巡回消毒を無人で行うことができるとのことです。

これだけ消毒液散布ロボットが増えてくると、消毒液業界にも特需があるかもしれませんね。



ボストン・ダイナミクスのSpot

ソフトバンクグループ傘下のボストン・ダイナミクスのロボット「Spot」も、コロナウイルスと戦う現場で活用されているそうです。
https://www.bostondynamics.com/COVID-19
こちらはSpotにiPadを搭載し、医療従事者が遠隔で患者と問診などのコミュニケーションをとったり、患者の誘導を行うことによって、医療従事者の感染率を下げられるだけでなく、マスクや手袋などの個人防護具の消耗が抑えられる効果があるそうです。

今後は、サーマルカメラを使った体温・呼吸回数計測システムや、RGBカメラを使った脈拍数計測システム、酸素飽和度を測定する方法を実装する予定とのことで、他にも紫外線ライトを使用するなどの手段で消毒にも取り組むとのことです。
ただし、これらのソリューションを組み込むことによってSpotのバッテリー消費量が増えてしまい、活動時間に制限がかかるという課題があり、この問題も合わせて解決する必要があります。
まさに救助犬といった形で今後の活躍が楽しみです。

タピアでスクリーニング

MJIの提供するコミュニケーションロボット「タピア」、その開発キットを使って株式会社シャンティが医療現場向けのタピアを開発し、岡山中央病院に導入されました。
https://mjirobotics.co.jp/200422-2/
このロボットは、コロナウイルスの感染が拡大長期化する中、各医療機関において院内感染に対する厳格な対策が求められるため、病院入口でスタッフが非接触のまま来院者全員にスクリーニングできることを目的に開発されました。
カメラで人の動作を感知→声がけ、問診 →手指消毒推奨、トリアージ→スタッフへ通知+待機場所案内といった機能を提供しています。また、ロボットへの回答をタッチする事で接触感染にならないのかという声をうけ、音声で回答できる仕組みを追加したり、疑いのある患者が出た場合は消毒作業待ちでロボットが停止する機能を実装しているそうです。

昨年、その脆弱性の問題が話題となったタピアですが、汚名返上なるか。

PLEN Cubeで安価に非接触型自動健康チェックを提供

PLEN Roboticsは2020年7月に顔認証機能を持つAIアシスタント「PLEN Cube」に遠隔体温検知と自動問診機能を搭載した非接触型自動健康チェック版を製品化すると発表しました。
https://www.value-press.com/pressrelease/240631

AIアシスタント「PLEN Cube」は、顔認識、音声認識、カメラ、スピーカー、マイクを搭載した、一辺約7.5cmの立方体小型ロボットです。手のひらに乗るサイズでありながら、個人を顔で認識追尾するフェイストラッキング機能などを用いて、キャッシュレス決済や自動チェックインなど各種WebシステムやIT機器との接続・操作が可能です。
非接触型自動健康チェック版では、PLEN Cubeが備える顔認証機能に、対話合成による自動問診とサーモセンサーを搭載した拡張ボックスを組み合わせることにより、廉価な機器での健康管理を可能とし、医療、介護などエッセンシャルワーカーの職場の感染症対策に貢献するとのことです。

料金も、PLEN Cube本体+拡張ボックス:98,000円〜、月額サービス料:5,000円〜と安価です。

今後、このような非接触型自動健康チェックが普及していくかもしれません。

世界初のアバター卒業式? ANAのnewme

ビジネス・ブレークスルー大学・大学院が新型コロナ対応の卒業式として、ANAホールディングスが独自開発した普及型コミュニケーションアバター「newme(ニューミー)」を使った遠隔卒業式を実施しました。

https://bbt.ac/news/news/010344.html

卒業生らが遠隔地からアバターロボットを操作して卒業証書を受け取るという取組で、卒業生を代表して4名の卒業生(学部2名、大学院2名)が自宅から「newme」を操作し、他の卒業生はZoomによるオンライン参加で視聴しました。

「Zoom飲み会」なども流行っていますが、遠隔地でもいかに臨場感を感じられるか、アバター体験の形が今後求められてくるかもしれません。

なお、ANAホールディングスは2020年4月1日にアバター(分身)を社会インフラとして活用する事業会社「avatarin(アバターイン)」を設立しました。ANAHDがスタートアップ企業を立ち上げるのは初めてとのことで本気が伺えます。



オムニロボでお葬式に列席

米OhmniLabs社が開発するテレプレゼンスロボット「オムニロボ」ですが、日本での輸入販売を行うISO総合研究所が無償提供を発表しました。
https://ohmnirobo.jp/news/374/

オムニロボットは三輪で移動するロボットで操作者が遠隔で操作し、タブレットやカメラ、マイク、スピーカーなどで遠隔の人とコミュニケーションをとることができます。
無償提供の対象は医療従事者の他、福祉従事者葬儀従事者となっています。新型コロナウイルスの入院患者のご家族が面会できず、臨終にも立ち会えないという辛いニュースを目にしますが、ご家族の方など面会希望者が遠隔地からオムニロボを操作することで、このような痛みを解決できるかもしれません。

自粛疲れにLOVOT

昨年鳴り物入りで発売されたGROOVE Xが開発したコミュニケーションロボット「LOVOT」ですが、「おこもりサポートキャンペーン」と題して“自粛疲れ”でさまざまな悩みを抱える方々に向けて14日間の全額返金を保証した期間限定キャンペーンを行っています。
https://groove-x.com/press_release/press_okomoriCP200426.pdf

GROOVE XのLOVOTオーナーへの調査によると98%のオーナーが「LOVOT が家庭に来てからストレスが軽減した」と回答したとのことで、自身の孤独、休校により子どもが抱えるストレス、遠隔地にいる親への心配といった、“自粛疲れ”で抱えるさまざまな悩みを、『LOVOT』のご購入から 14 日間で解消できなかった場合は全額返金を保証した期間限定のキャンペーン(5 月 6 日(水)ご購入分まで保証)で、「ストレスがたまり、何かと後ろ向きになってしまうこんなご時世だからこそ、ご自宅に愛をはぐくんでほしい」という想いから誕生したそうです。
今回のキャンペーンについて、同社代表取締役の林要氏は「年単位の長期戦になる可能性がある今回のコロナ禍を乗り越えるためには、引きこもり生活を如何に充実させるかが、メンタルヘルス面で最重要課題です。そんな人類総引きこもり生活の友として、犬、猫、ヒヨコなど様々なペットに次いで、LOVOT も間に合ってよかった、と思っています」。とコメントしています。

自粛疲れしてきた私にもピッタリです。

まとめ

こうやって見てみると、現在コロナ渦でロボットに求められているのは大きく分けて、無人化(非接触化)と、コミュニケーション(ロボットとのコミュニケーションではなく、人と人の遠隔コミュニケーション)になりそうです。しかし、状況が変化していく中で求められるものもどんどん変わっていくでしょう。もしかしたら”自粛疲れ”が最大の課題になるかもしれません。
新型コロナウイルスの影響で社会が変革していく実感を日々感じますが、そこでまず活用されるのは既にあるモノ。もちろん、課題やニーズに合わせてこれから新しいロボットが開発されていくと思いますが、先立って準備しておくことの大切さを思い知ります。ロボット市場はまだまだこれからですが、いざという時に対応できるように、挑戦を続けていくことが大事ですね。今後の社会変化や景気の悪化により投資的な動きが鈍化されていくことも予想されますが、そんな時こそ未来を見据えるのも大切ではないでしょうか。生き残れ、ロボット業界!