プログラミングの上達が早い人の特徴|スポーツ・楽器・受験をやり切った人が伸びる4つの理由

プログラミングの上達が早い人に共通するのは、頭の良さよりも「練習の仕方を知っていること」です。筆者(テックジム代表)がプログラミング教室を運営してきた実感では、学生時代にスポーツに打ち込んだ人、楽器を続けた人、受験で成果を出した人は、総じて伸びが早い傾向があります。この記事では、その理由を反復練習・型の習得・できない期間への耐性・ゴールからの逆算という4つの特徴に分けて解説し、そうした経験がない人が同じ習慣を身につける方法も紹介します。
この記事は、テックジム代表が配信しているメルマガ「グラさん通信」の内容をもとに、加筆・再構成したものです。
結論:上達が早いのは「練習の仕方」を知っている人
プログラミングの上達が早い人の特徴を一言でまとめると、「日々の練習に意味を見出せる人」です。
筆者が教室で見てきた限り、スポーツ・楽器・受験のいずれかを「やり切った」経験のある人は、プログラミングでも伸びが早い傾向があります。共通しているのは、次のような感覚が体に染みついていることです。
- 同じ練習を何度も繰り返すことを、退屈ではなく上達の手段だと分かっている
- 自己流より先に、基本の型をまねるほうが早いと知っている
- うまくできない期間があるのは当たり前で、そこでやめないことが大事だと知っている
- 目標から逆算して、今日やるべき練習を決められる
大事なのは、これが才能ではなく「習慣」だということです。後で見るように、楽器やスポーツの経験そのものが頭を良くするわけではありません。経験のない人でも、同じ習慣を意識して取り入れれば、上達の速さは変えられます。
なぜスポーツ・楽器・受験の経験者は伸びやすいのか
筆者がこのことを改めて意識したのは、プログラミング教室とは別の場でした。
筆者は、武田塾の創業者である林尚弘さんや、フランチャイズプロデューサーの竹村義宏さんらが講師を務める「FC本部の学校」(現在は「フランチャイジーの学校」と統合し、「フランチャイズ経営の学校」として運営)に、立ち上げ当初から受講生として参加しています。そこで、受講生である各地のフランチャイズ本部のオーナーと面談する機会がありました。飲食店、美容室、不動産、教育と業種はさまざまで、普段は聞けない話ばかりです。
面談を重ねて気づいたことが2つあります。1つは、どの業種でも、ITによるシステム化やWebマーケティングが成長の原動力になっていたこと。もう1つは、意外にも体育会系の経営者が多かったことです。
元スキージャンプ選手で、サロンのフランチャイズ本部を経営する社長は、「優れたコーチからゴールを逆算する考え方を学び、日々のトレーニングを積んできた。それが今も経営に役立っている」と話していました。
この話を聞いて、筆者は教室で見てきた光景と重なると感じました。学生時代にスポーツに向き合ってきた人は、プログラミングの上達が早い。楽器を続けてきた人、受験勉強で成果を上げた人にも、同じ共通点を感じます。分野は違っても、「上達するための練習」を一度経験しているのです。
プログラミングの上達が早い人に共通する4つの特徴
では、その経験が具体的にどう活きているのか。筆者の観察を4つに整理します。
特徴1:反復練習を退屈だと思わない
スポーツの素振りや楽器の音階練習は、同じ動きを何百回も繰り返すものです。経験者は、反復こそが上達の近道だと体で知っています。
プログラミングでも、同じ問題を何度も解き直すことが大切です。テックジムでは同じ課題を繰り返し解くことを前提にしていますが、スポーツ経験者は「一度解いた問題をもう一度やる」ことに抵抗がありません。一方で、一度理解したら終わりと考える人ほど、2回目、3回目の反復を飛ばしてしまい、いざ自分で書こうとしたときに手が動きません。
特徴2:まず型をまねることから入れる
武道の「型」、楽器の教本、受験の解法パターン。どの分野にも、先人が作った基本の形があります。経験者は、自己流で工夫する前に、まず型を正確にまねるほうが早く上達することを知っています。
プログラミングにも型があります。ファイルを読み込む書き方、リストを順に処理する書き方、エラーに備える書き方など、よく使う形はほぼ決まっています。上達が早い人は、お手本のコードを素直に写して動かし、その型が手に馴染んでから自分なりのアレンジを加えます。いきなりゼロから自力で書こうとして止まってしまう人とは、ここで差がつきます。
特徴3:「できない期間」に耐えられる
どんな分野でも、練習を始めてしばらくは、思うようにできない時期が続きます。試合で負ける、曲が弾けない、模試の点数が上がらない。そうした時期を越えた経験がある人は、プログラミングでエラーが続いても「今はそういう段階だ」と受け止められます。
プログラミングでは、エラーは失敗ではなく、何が違うかを教えてくれる手がかりです。それでも、初めて学ぶ人にとって赤いエラーメッセージが並ぶ画面は心が折れるものです。できない期間をくぐり抜けた経験の有無は、ここで最も大きく効いてきます。最初の数週間を越える具体的な方法はプログラミングが楽しくなるのはいつから?で詳しく解説しています。
特徴4:ゴールから逆算して今日の練習を決められる
先ほどの元スキージャンプ選手の社長が話していた「ゴールからの逆算」も、上達が早い人の大きな特徴です。大会の日から逆算して練習計画を立てる、志望校の合格点から逆算して科目ごとの勉強時間を決める。こうした経験がある人は、プログラミングでも「この機能を作るには、何を覚えればいいか」と考えられます。
逆に、目的がないまま教材を最初から順番に進める人は、どこまでやれば十分なのかが分からず、途中で息切れしがちです。作りたいものを先に決め、そこから必要な知識を逆算すると、一つひとつの練習に意味が生まれます。
楽器をやれば頭が良くなる、わけではない
ここで、誤解のないように補足しておきます。「楽器を習うと頭が良くなる」「スポーツをすると学力が上がる」といった話を耳にすることがありますが、研究の結果は慎重に読む必要があります。
Giovanni SalaとFernand Gobetが2017年に発表したメタ分析では、子どもへの音楽の訓練が、音楽以外の認知能力や学力(読み書きや算数)に広く波及する効果は限られていると結論づけています。楽器の練習そのものが、プログラミングの才能を育ててくれるわけではないということです。
また、練習量の重要性を示した研究として知られるのが、Ericssonらが1993年に発表したバイオリン奏者の研究です。上達の差は、目的を持った練習(意図的練習)の積み重ねでかなり説明できるとされました。ただし、2019年に同じ設計で行われた追試では、練習量で説明できたのは演奏技能のばらつきの26%程度にとどまり、元の研究ほど強い関係は確認されませんでした。練習は大切ですが、練習量だけですべてが決まるわけでもない、というのが現在の慎重な読み方です。
この2つを合わせると、筆者の観察は次のように言い直せます。スポーツや楽器の経験者が伸びやすいのは、特別な能力が身についているからではなく、「練習を続ける習慣」と「練習の組み立て方」を知っているから。そうであれば、経験のない人でも、その習慣は後から取り入れられます。
こうしたプログラミングの学び方や教室で見えた上達のコツを、テックジム代表が毎週メルマガ「グラさん通信」でお届けしています(読者1万人超・登録無料)。
スポーツや楽器の経験がない人が上達を早くする方法
スポーツや楽器、受験で培われる習慣を、プログラミングの学習に置き換えると次のようになります。
| 経験者が身につけている習慣 | プログラミング学習での置き換え |
|---|---|
| 毎日決まった時間に練習する | 1日の時間は短くてもよいので、毎日コードを書く時間を固定する |
| 素振りや音階練習を繰り返す | 同じ問題を、答えを見ずに書けるようになるまで何度も解き直す |
| お手本の型をまねる | お手本のコードを写して動かし、型を手に覚えさせてから自分で変えてみる |
| コーチに見てもらい、直す | 詰まったら早めに人やAIに質問し、自分のコードのどこが違うかを確かめる |
| 試合や発表会に向けて計画を立てる | 作りたいものと期限を決め、必要な知識を逆算して学ぶ順番を決める |
| 練習日誌をつける | その日にできたこと、詰まったことを数行でメモし、翌日の最初に読み返す |
特に効果が大きいのは、「同じ問題を繰り返す」ことと「型を先にまねる」ことの2つです。用語や関数を丸暗記しようとするより、手を動かして何度も書くほうが定着します。暗記に頼らない学び方は暗記に頼らないプログラミング学習法で、試行錯誤を回す方法はトライ&エラーとPDCAサイクルで学習効率を上げる方法で紹介しています。
上達が早い人ほど気をつけたい落とし穴
スポーツや受験の経験は強みになりますが、そのやり方をそのまま持ち込むと、かえって遠回りになる場面もあります。筆者が教室で見てきた例を挙げます。
- 根性で1回で理解しようとする:気合いで一気に覚えようとして疲れ切ってしまう人がいます。プログラミングは、1回目は分からなくて当然という前提で、回数を重ねるほうが楽に身につきます
- 質問せずに一人で抱え込む:「自分で何とかするのが正しい」という感覚が強い人ほど、何時間も同じエラーで止まりがちです。分からないことを調べる、聞くこと自体もプログラミングの技術のうちです
- 正解の暗記で乗り切ろうとする:受験で成果を上げた人は、答えを覚えることに慣れています。しかしプログラミングでは、同じ問題が出ることはまずありません。覚えた答えを、違う問題でどう使うかを練習する必要があります
- 他人と比べて焦る:競争の世界で結果を出してきた人ほど、周りの進み具合が気になります。プログラミングの上達は、昨日の自分と比べるのが一番正確です
悔しさを上達につなげる考え方はプログラミングができなくて「悔しい」と感じる人ほど成長できる理由でも解説しています。
始めるのに遅すぎることはない
上達が早い人の特徴を挙げると、「自分にはそういう経験がないから無理だ」と感じる人もいるかもしれません。しかし、筆者の考えは逆です。
FC本部の学校で出会った経営者の中には、ごく普通の経歴から、短期間で数十店舗規模のフランチャイズ本部を築いた人の話が珍しくありませんでした。彼らに共通していたのは、生まれ持った才能より、目標を決めて日々の練習を積み上げる姿勢です。
プログラミングも同じです。テックジムの無料講座にも、40代・50代から学び始めようとする人が数多く申し込んでいます。年齢や経歴よりも、毎日の練習に意味を見出せるかどうかが、上達の速さを左右すると筆者は考えています。実際の年代構成は無料Python講座の申込者100人を調べたら40代以上が65人だったで紹介しています。
よくある質問
スポーツや楽器の経験がないと、プログラミングは向いていませんか?
そんなことはありません。経験者が伸びやすいのは、練習の続け方を知っているからであって、経験そのものが条件ではありません。この記事で紹介した習慣を一つずつ取り入れれば、誰でも上達の速さは変えられます。自分は向いていないのではと感じている方は、プログラミングが向いていない?諦める前に知っておきたい5つのことも読んでみてください。
文化系の部活や趣味でも同じ効果がありますか?
筆者の観察では、ジャンルは関係ありません。将棋、書道、ダンス、絵、資格試験など、目標を決めて反復練習を続けた経験であれば、同じ習慣が身についています。大事なのは「何をやったか」より「やり切ったかどうか」です。
上達が早い人は、どのくらいの期間で書けるようになりますか?
目指すレベルや1日の学習時間によって大きく変わるため、一概には言えません。ただ、上達が早い人ほど、最初の数週間の「分からない期間」でやめずに反復を続けています。期間を気にするより、毎日書く習慣を途切れさせないことを優先してください。
まとめ:才能より「練習の仕方」が上達の速さを決める
- 筆者の観察では、スポーツ・楽器・受験をやり切った人はプログラミングの上達が早い
- 共通点は、反復を嫌がらない、型をまねる、できない期間に耐える、ゴールから逆算する、の4つ
- 研究では、楽器の訓練が他の学力に広く波及する効果は限られている。効いているのは経験そのものではなく、練習の習慣
- 経験がない人も、毎日書く、同じ問題を繰り返す、型を先にまねる、早めに質問する、を取り入れれば上達を早められる
- 経験者は、根性で一度に覚えようとする、質問しない、答えを暗記する、といった癖に注意
上達の速さは、今日からの練習の仕方で変えられます。手を動かしながら学べる場を探している方は、テックジムの無料講座から試してみてください。
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参考情報
- フランチャイズ経営の学校(旧FC本部の学校)公式サイト
- 株式会社FCチャンネル「メンバー紹介」
- Sala, G. & Gobet, F. (2017) When the music’s over. Does music skill transfer to children’s and young adolescents’ cognitive and academic skills? A meta-analysis
- Macnamara, B. N. & Maitra, M. (2019) The role of deliberate practice in expert performance: revisiting Ericsson, Krampe & Tesch-Romer (1993)






