Raspberry Pi(ラズパイ)とは?できること・モデルの選び方・始め方を解説

Raspberry Pi(ラズパイ)の解説。カードサイズのコンピューター基板のイラスト

Raspberry Pi(ラズベリーパイ、通称ラズパイ)は、手のひらに乗るカードサイズのコンピューターです。モニターとキーボードをつなげば普通のパソコンのように使え、さらにLEDやセンサーを直接つないで、プログラムで動かせるのが大きな特徴です。

プログラミング学習、電子工作、自宅のサーバー、そして最近ではAIまで、幅広い用途で使われています。この記事では、Raspberry Piでできること、モデルの選び方、始めるのに必要なもの、Pythonでの電子工作の始め方、そして2026年の値上げや新製品の動きまで解説します。

Raspberry Piとは?

名前 Raspberry Pi(ラズベリーパイ、ラズパイ)
開発 イギリスのRaspberry Pi財団と、製品を手がけるRaspberry Pi Ltd(Raspberry Pi Holdings傘下)
最初のモデル 2012年
大きさ クレジットカードほど(Raspberry Pi 5の場合)
OS Raspberry Pi OS(Linuxの一種)が標準
主な用途 プログラミング学習、電子工作、IoT、サーバー、AI

Raspberry Piは、もともと子どもたちが安くコンピューターの仕組みとプログラミングを学べるようにと作られました。基板がむき出しのまま売られていて、ケースや電源、ストレージは自分で用意します。

普通のパソコンとの大きな違いは、基板の端に並んだ40本のピン(GPIO)です。ここにLED、ボタン、センサー、モーターなどをつなぎ、プログラムから直接動かせます。「画面の中だけで完結しないプログラミング」ができるのが、ラズパイの最大の魅力です。

Raspberry Piでできること

用途 例
プログラミング学習 Python、Scratch、C言語などを、Linuxの環境で学ぶ
電子工作 LEDを光らせる、ボタンで操作する、温度や湿度を測る
IoT センサーのデータをネットに送る、スマホから家電を操作する
自宅のサーバー ファイルサーバー、Webサーバー、広告ブロック用のDNSサーバー
カメラ 防犯カメラ、定点観測、タイムラプス撮影
AI 画像からの物体検出、音声認識、小さなAIモデルの実行
ロボット モーターやセンサーを組み合わせて、自分で動くロボットを作る

電子工作やIoTを本格的に学びたい人は「IoT・電子工作(ラズパイ・Arduino)のオススメ図書・必読書籍10選」も参考にしてください。

主なモデルと選び方

モデル 特徴 向いている人
Raspberry Pi 5 現在の主力モデル。4コアのCPU(Cortex-A76、2.4GHz)、メモリは1GB〜16GB。PCIeでSSDや拡張ボードをつなげる 初めての人、AIやサーバーに使いたい人
Raspberry Pi 500 / 500+ Raspberry Pi 5をキーボードに内蔵したパソコン型。500+はメモリ16GB、256GBのSSD、メカニカルキーボードを搭載 パソコンとして手軽に使いたい人
Raspberry Pi 4 1世代前のモデル。今も販売されていて、資料や作例が多い 古い作例どおりに作りたい人
Raspberry Pi Zero 2 W とても小さく、消費電力が少ないモデル 小さな機器に組み込みたい人
Raspberry Pi Pico 2 / Pico 2 W OSを動かさない「マイコン」。MicroPythonやC言語で、センサーやモーターを直接制御する 電子工作だけをしたい人
Compute Module 5 製品に組み込むためのモジュール型 製品開発をする人

迷ったら、Raspberry Pi 5を選ぶのが基本です。メモリは、プログラミング学習や電子工作なら2GB〜4GB、デスクトップとして使ったりAIを試したりするなら8GB以上が目安です。

ラズパイとPicoの違い

名前が似ていて紛らわしいのが、Raspberry Pi Picoです。Raspberry Pi 5などはLinuxが動く「小さなパソコン」ですが、Picoはマイコンと呼ばれる部品で、OSはなく、書き込んだ1つのプログラムだけを動かします。画面につないでパソコンとして使うことはできませんが、安くて消費電力が小さく、電子工作の部品として優秀です。

価格について:2026年は値上げが続いている

Raspberry Piは「安いコンピューター」として知られてきましたが、2025年末から2026年にかけて、値上げが続いています。AI向けのデータセンターの需要で、ラズパイに使われているメモリ(LPDDR4)の価格が急騰したためです。

Electronics Weeklyの報道によると、Raspberry Pi 5の16GBモデルは、発売時の120ドルから段階的に値上がりし、2026年4月6日からは305ドルになりました。4GBや8GBのモデルも値上がりしています。その一方で、価格を抑えたメモリ1GBのRaspberry Pi 5(45ドル)や、メモリ3GBのRaspberry Pi 4といった新しい選択肢も追加されています。

日本での販売価格は、販売店や為替によって変わります。購入するときは、国内の正規販売店で最新の価格を確認してください。また、無線LANやBluetoothを内蔵した機器を日本で使うには「技適」の認証が必要なので、国内の販売店で技適マークの表示を確認して買うと安心です。

Raspberry Piを始めるのに必要なもの

必要なもの ポイント
Raspberry Pi本体 Raspberry Pi 5がおすすめ
電源 Raspberry Pi 5はUSB Type-Cの5V・5A(27W)の公式電源が推奨。電力が足りないと動作が不安定になる
microSDカード OSを入れる。32GB以上が目安
モニターとケーブル Raspberry Pi 4・5はmicro HDMI端子なので、micro HDMI→HDMIのケーブルが必要
キーボードとマウス USB接続のものが使える
ケース・冷却 Raspberry Pi 5は発熱が大きいので、冷却ファン付きのケースや公式のアクティブクーラーがあると安心

始め方の流れ

  1. パソコンに、公式の書き込みソフトRaspberry Pi Imagerをインストールする
  2. Raspberry Pi Imagerで、使うモデルとOS(Raspberry Pi OS)を選び、microSDカードに書き込む
  3. microSDカードをラズパイに差し、モニター・キーボード・マウスをつないでから電源を入れる
  4. 画面の案内に沿って、言語、Wi-Fi、ユーザー名などを設定する

Raspberry Pi OSは、Debianを元にしたLinuxです。最初からPythonが入っていて、すぐにプログラミングを始められます。

PythonでLEDを光らせてみよう

ラズパイらしい最初の一歩が、LEDを光らせるプログラムです。Raspberry Pi OSに標準で入っているgpiozeroというライブラリを使うと、とても短く書けます。

from gpiozero import LED
from time import sleep

led = LED(17)      # GPIO17番ピンにつないだLED

while True:
    led.on()       # 点灯
    sleep (1)       # 1秒待つ
    led.off()      # 消灯
    sleep (1)

LEDは、抵抗(330Ω程度)を通してGPIO17番ピンとGND(マイナス)につなぎます。LEDには向きがあり、足の長いほう(プラス側)をGPIOピン側にします。実行すると、LEDが1秒ごとに点いたり消えたりします。止めるときはCtrl+Cを押します。

同じように、Buttonでボタンの入力を受け取ったり、センサーの値を読み取ったりもできます。画面の中の数字だけでなく、現実のモノが動くのが、ラズパイでのプログラミングの面白さです。

※この記事の筆者はRaspberry Piの実機を使っていないため、上のコードは gpiozero の基本的な使い方として紹介しています。配線を間違えるとラズパイが壊れることがあるので、ピンの配置は公式の資料で必ず確認してください。

Raspberry PiでAIは動く?GPUは使える?

Raspberry Pi 5には、VideoCore VIIというGPUが入っています。ただし、これは主に画面の表示や動画の再生のためのもので、NVIDIAのGPUとは別物です。そのため、CUDAや、NVIDIAのGPU向けのライブラリ(CuPyなど)は使えません。

ラズパイでAIを本格的に動かしたい場合は、AI用の拡張ボードを使います。2026年1月に発表されたAI HAT+ 2は、Hailo-10HというAI用のチップ(40 TOPS)と8GBのメモリを搭載し、Raspberry Pi 5の上で、大規模言語モデル(LLM)や、画像と言葉を扱うモデルをインターネットにつながずに動かせるとしています。公式の価格は130ドルです。

GPUを使った計算の仕組みや、GPU向けの言語・環境の選び方は「GPUプログラミングの言語と環境の選び方|CUDA・ROCm・Metal・Pythonでの始め方を解説」で解説しています。ラズパイのCPUでPythonの計算を速くする方法としては、「Python Numbaとは?@njitで高速化する使い方・速度比較・注意点を実測で解説」も参考になります。

Raspberry Pi 6はいつ出る?

次の世代の「Raspberry Pi 6」について、Raspberry PiのCEOであるエベン・アプトン氏は、2026年5月21日のReddit上での質疑応答で、2028年より前には出ない見通しを示しました。これまでの新モデルの間隔(4〜4.5年)に沿ったものだと説明しています。

報道によると、Raspberry Pi 6はRaspberry Pi 5とよく似た形と機能で、CPUの性能やメモリの速さを高める方向になるとされ、AI専用のチップ(NPU)は載せない方針だとしています。つまり、当面はRaspberry Pi 5が主力であり続けます。いまから始めるなら、Raspberry Pi 5を選んで問題ありません。

Raspberry Piでプログラミングを学ぶメリット

  • パソコンを壊す心配がない:失敗しても、microSDカードにOSを書き直せば元に戻せる
  • Linuxに慣れられる:サーバーやクラウドで使われるLinuxの操作を、自然に身につけられる
  • プログラムの結果が目に見える:LEDやモーターが動くので、達成感が大きい
  • 作ったものを実際に使える:温度計、防犯カメラ、自動水やり機など、生活の役に立つものを作れる

ロボットづくりを通してプログラミングを学びたい人は、テックジムのロボットコースもご覧ください。Pythonを基礎から学びたい人は無料のプログラミング講座、AIと一緒にアプリを作る方法はAI駆動開発/生成AIエンジニアコースで学べます。

よくある質問(FAQ)

Q. Raspberry Piは普通のパソコンの代わりになりますか?

Webの閲覧、文書作成、プログラミングなど、軽い作業なら十分にこなせます。ただし、WindowsやmacOSのソフトはそのままでは動かず、重いゲームや動画編集には向いていません。

Q. 初心者はどのモデルを買えばよいですか?

Raspberry Pi 5がおすすめです。プログラミング学習や電子工作が中心なら、メモリは2GB〜4GBで十分です。電子工作だけをしたいなら、より安いRaspberry Pi Pico 2も選択肢になります。

Q. どんなプログラミング言語が使えますか?

Python、Scratch、C/C++、JavaScriptなど、Linuxで動く多くの言語が使えます。電子工作では、ライブラリが充実しているPythonがよく使われます。

Q. Raspberry PiでCUDAやCuPyは使えますか?

使えません。Raspberry PiのGPUはNVIDIA製ではないためです。AIを動かしたい場合は、AI HAT+ 2のようなAI用の拡張ボードを使います。

Q. Raspberry Piは値上がりしていますか?

はい。メモリの価格の高騰を受けて、2025年末から2026年にかけて値上げが続いています。購入前に、国内の正規販売店で最新の価格を確認してください。

Q. Raspberry Pi 6は出ますか?

CEOのエベン・アプトン氏は、2028年より前には出ない見通しを示しています。当面はRaspberry Pi 5が主力モデルです。


参考情報

本記事は2026年10月1日時点の情報をもとに作成しています。価格や販売状況は変わりやすいため、購入前に販売店で最新の情報を確認してください。

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