レアアース全17元素を徹底解説!用途・特徴・重要性まとめ
「レアアース」とは、スマートフォンや電気自動車、半導体、モーター、航空・宇宙産業など、現代の産業に欠かせない17種類の元素の総称です。
レアアースという名前から「非常に希少な元素」というイメージがありますが、実際には地殻中に比較的多く存在する元素もあります。一方で、採掘・分離・精製が難しいことから、安定した供給が難しい資源として注目されています。
本記事では、レアアース17元素について、それぞれの特徴や主な用途、なぜ重要なのかをわかりやすく解説します。
レアアースとは?
レアアース(Rare Earth Elements:REE)とは、17種類の元素の総称です。
具体的には、以下の15種類のランタノイドに、スカンジウム(Sc)とイットリウム(Y)を加えた17元素を指します。
レアアース17元素一覧
| 元素 | 元素記号 | 原子番号 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| スカンジウム | Sc | 21 | アルミニウム合金、照明 |
| イットリウム | Y | 39 | LED、レーザー、セラミックス |
| ランタン | La | 57 | 光学ガラス、電池、触媒 |
| セリウム | Ce | 58 | ガラス研磨剤、触媒 |
| プラセオジム | Pr | 59 | 磁石、航空機材料、ガラス |
| ネオジム | Nd | 60 | 強力な永久磁石、モーター |
| プロメチウム | Pm | 61 | 原子力・研究用途 |
| サマリウム | Sm | 62 | 高性能磁石、原子炉 |
| ユウロピウム | Eu | 63 | 蛍光体、ディスプレイ |
| ガドリニウム | Gd | 64 | 医療、磁性材料 |
| テルビウム | Tb | 65 | 磁石、蛍光体 |
| ジスプロシウム | Dy | 66 | 高温用磁石、EVモーター |
| ホルミウム | Ho | 67 | レーザー、磁性材料 |
| エルビウム | Er | 68 | 光ファイバー、レーザー |
| ツリウム | Tm | 69 | レーザー、X線関連 |
| イッテルビウム | Yb | 70 | レーザー、材料研究 |
| ルテチウム | Lu | 71 | 医療用診断、触媒 |
レアアース17元素を詳しく解説
1. スカンジウム(Sc)
スカンジウムは原子番号21の元素です。
軽量で強度の高いアルミニウム・スカンジウム合金を作るために利用されています。
主な用途
- 航空機材料
- アルミニウム合金
- スポーツ用品
- 高輝度ランプ
特にアルミニウムに少量のスカンジウムを添加すると、強度や耐熱性などの向上が期待できます。
2. イットリウム(Y)
イットリウムは原子番号39の元素です。
テレビやディスプレイ、LEDなどに使用される蛍光体材料として知られています。
主な用途
- LED
- レーザー
- セラミックス
- 蛍光体
- 光学材料
特にレーザー技術や高性能セラミックスなど、先端技術との関係が深い元素です。
3. ランタン(La)
ランタンは原子番号57の元素です。
光学ガラスや触媒、電池などに利用されています。
主な用途
- カメラレンズ
- 光学ガラス
- ニッケル水素電池
- 石油精製用触媒
- セラミックス
ランタンを含むガラスは屈折率を高めることができ、カメラレンズなどに利用されています。
4. セリウム(Ce)
セリウムは原子番号58の元素です。
レアアースの中でも比較的利用量が多い元素の一つです。
主な用途
- ガラス研磨剤
- 自動車用触媒
- ガラスの脱色
- 紫外線吸収材料
- セラミックス
特に有名なのが酸化セリウムによるガラス研磨です。
スマートフォンのディスプレイなど、精密なガラス加工にも利用されています。
5. プラセオジム(Pr)
プラセオジムは原子番号59の元素です。
磁石や特殊ガラス、航空機用材料などに使用されています。
主な用途
- 永久磁石
- 航空機材料
- ガラス着色
- セラミックス
- モーター
ネオジムと組み合わせて使用されるケースも多く、高性能磁石の材料として重要です。
6. ネオジム(Nd)
ネオジムは、レアアースの中でも特に重要な元素の一つです。
最大の特徴は、非常に強力な永久磁石を作れることです。
主な用途
- 電気自動車
- ハイブリッド車
- 発電機
- スピーカー
- ハードディスク
- 産業用モーター
- 風力発電
ネオジム磁石は、小型でありながら非常に強い磁力を持っています。
そのため、モーターの小型化・高性能化に欠かせない材料となっています。
7. プロメチウム(Pm)
プロメチウムは原子番号61の元素です。
17種類のレアアースの中で、放射性を持つ元素として知られています。
自然界には非常に少なく、主に人工的に作られます。
主な用途
- 原子力関連
- 放射線源
- 研究用途
- 特殊な電池
一般的な工業製品で大量に使用される元素ではありません。
8. サマリウム(Sm)
サマリウムは原子番号62の元素です。
特にサマリウムコバルト磁石の材料として知られています。
主な用途
- 永久磁石
- モーター
- スピーカー
- 航空宇宙分野
- 原子炉関連
サマリウムコバルト磁石は、高温環境でも比較的優れた磁気特性を維持できることが特徴です。
9. ユウロピウム(Eu)
ユウロピウムは原子番号63の元素です。
主な用途は蛍光体です。
主な用途
- LED
- ディスプレイ
- 蛍光ランプ
- テレビ
- セキュリティインク
赤色や青色などの発光を実現する蛍光体材料として利用されてきました。
10. ガドリニウム(Gd)
ガドリニウムは原子番号64の元素です。
磁気的な性質に特徴があり、医療や研究分野でも利用されています。
主な用途
- MRI関連
- 原子炉
- 磁性材料
- 光学材料
- 研究用途
医療分野では、ガドリニウムを利用したMRI用造影剤が知られています。
11. テルビウム(Tb)
テルビウムは原子番号65の元素です。
磁気特性や発光特性を利用して、さまざまな先端材料に使用されます。
主な用途
- 永久磁石
- 蛍光体
- ディスプレイ
- 磁気光学材料
- 電子部品
特に高性能磁石に添加することで、磁石の特性を改善する目的で利用されます。
12. ジスプロシウム(Dy)
ジスプロシウムは原子番号66の元素です。
高温環境で使用される高性能磁石にとって重要な元素です。
主な用途
- EVモーター
- ハイブリッド車
- 風力発電
- 産業用モーター
- 高性能磁石
ネオジム磁石にジスプロシウムなどを添加することで、高温環境での性能維持に役立ちます。
電動化が進む現在、重要性が高まっているレアアースの一つです。
13. ホルミウム(Ho)
ホルミウムは原子番号67の元素です。
非常に強い磁気特性を持つことで知られています。
主な用途
- レーザー
- 磁性材料
- 医療機器
- 原子力関連
- 光学材料
特にレーザー技術など、特殊な用途で利用されています。
14. エルビウム(Er)
エルビウムは原子番号68の元素です。
通信技術において重要な役割を持っています。
主な用途
- 光ファイバー
- 光通信
- レーザー
- ガラス
- 医療
特に光ファイバー通信の光増幅器で利用されるエルビウム添加光ファイバーは、現代の高速通信インフラを支える技術の一つです。
15. ツリウム(Tm)
ツリウムは原子番号69の元素です。
レアアースの中でも比較的希少な元素で、特殊なレーザーなどに利用されています。
主な用途
- レーザー
- X線関連
- 医療機器
- 研究用途
一般消費者が直接目にする機会は少ないものの、専門的な技術分野で利用されています。
16. イッテルビウム(Yb)
イッテルビウムは原子番号70の元素です。
レーザーや精密計測などの研究・技術分野で利用されています。
主な用途
- ファイバーレーザー
- 精密計測
- 光学材料
- 研究用途
- 特殊合金
特に高性能なファイバーレーザーとの関係が深い元素です。
17. ルテチウム(Lu)
ルテチウムは原子番号71の元素です。
レアアースの中でも非常に希少な元素の一つです。
主な用途
- 医療用診断
- PET検査関連
- 放射性医薬品
- 触媒
- 研究用途
ルテチウムを利用した放射性医薬品は、核医学の分野で注目されています。
レアアースはなぜ重要なのか?
レアアースが重要視される理由は、現代のハイテク産業に欠かせないからです。
例えば、以下のような製品・技術にレアアースが利用されています。
- スマートフォン
- 電気自動車
- ハイブリッド車
- 風力発電機
- 半導体関連機器
- モーター
- スピーカー
- ディスプレイ
- 光ファイバー
- 医療機器
- 航空機
- 防衛関連技術
特に重要なのが高性能永久磁石です。
ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムなどは、高性能モーターや発電機に利用されています。
「レアアース=17種類」はなぜ?
レアアースという言葉には「希少な土」という意味があります。
ただし、17元素すべてが地球上に極端に少ないわけではありません。
レアアースとしてまとめられているのは、主に化学的性質が似ており、鉱石中で互いに混在することが多い元素群だからです。
特にランタノイド15元素は、周期表上で隣り合っており、化学的性質がよく似ています。
そのため、採掘した鉱石から目的の元素だけを分離・精製することが難しいという特徴があります。
レアアースとレアメタルの違い
「レアアース」と「レアメタル」は似た言葉ですが、意味は異なります。
レアアース
17種類の元素を指す比較的明確な分類です。
レアメタル
産業上重要でありながら、供給が安定しにくいなどの理由から、希少性が問題となる金属の総称として使われます。
つまり、
レアアース ⊂ レアメタル
と考えると理解しやすいでしょう。
ただし、「レアメタル」の定義は国や機関によって異なる場合があります。
軽希土類と重希土類
レアアースは大きく、軽希土類(LREE)と重希土類(HREE)に分類されることがあります。
軽希土類
- ランタン
- セリウム
- プラセオジム
- ネオジム
- サマリウムなど
重希土類
- ユウロピウム
- ガドリニウム
- テルビウム
- ジスプロシウム
- ホルミウム
- エルビウム
- ツリウム
- イッテルビウム
- ルテチウム
なお、スカンジウムやイットリウムを含めるか、どこからを軽希土類・重希土類とするかについては分類方法によって違いがあります。
レアアースの採掘が難しい理由
レアアースが「重要な資源」とされる理由の一つが、採掘から精製までの難しさです。
レアアースは単独で大量に存在しているケースが少なく、複数の元素が混ざった状態で存在することが多くあります。
そのため、
採掘 → 選鉱 → 分離 → 精製 → 製品化
という複数の工程が必要になります。
特に元素同士の化学的性質が似ているため、分離工程が難しくなります。
レアアースの供給問題
レアアースを語るうえで重要なのが、サプライチェーンの偏りです。
採掘されたレアアースは、さらに分離・精製して利用可能な材料に加工する必要があります。
そのため、単純に「鉱山があるかどうか」だけではなく、次の工程まで考える必要があります。
- 鉱石を採掘できるか
- 分離できるか
- 精製できるか
- 磁石などの材料に加工できるか
特定の国や地域に供給網が集中すると、輸出規制や国際情勢、価格変動などが産業に影響する可能性があります。
日本とレアアース
日本はレアアース資源を海外から輸入する必要性が高い国です。
そのため、日本では以前から、次のような取り組みが進められてきました。
- レアアースの調達先多様化
- リサイクル
- 使用量削減
- 代替材料の開発
- 海洋資源の研究
特に電気自動車やロボット、産業用モーターなどの普及によって、高性能磁石に使用されるレアアースの重要性はさらに高まっています。
レアアースはリサイクルできる?
レアアースはリサイクルすることも可能です。
例えば、以下のような製品からレアアースを回収する研究・技術開発が進められています。
- 使用済みモーター
- ハードディスク
- 電子機器
- 磁石
- 一部の電池
ただし、製品中に含まれる量が少なかったり、他の材料と複雑に組み合わされていたりするため、回収コストや分離技術が課題となります。
レアアース17元素の覚え方
17元素を一度に覚えるのは簡単ではありません。
まずは周期表上のランタノイド15元素を順番に覚えると理解しやすくなります。
ランタン → セリウム → プラセオジム → ネオジム → プロメチウム → サマリウム → ユウロピウム → ガドリニウム → テルビウム → ジスプロシウム → ホルミウム → エルビウム → ツリウム → イッテルビウム → ルテチウム
これに、
スカンジウム・イットリウム
を加えると、レアアース17元素になります。
レアアース17元素の用途を簡単に比較
| 元素 | 特に覚えておきたい用途 |
|---|---|
| Sc | アルミニウム合金 |
| Y | LED・レーザー |
| La | 光学ガラス・電池 |
| Ce | ガラス研磨・触媒 |
| Pr | 磁石・特殊ガラス |
| Nd | 強力な永久磁石 |
| Pm | 放射線源・研究 |
| Sm | 高性能磁石 |
| Eu | 蛍光体 |
| Gd | MRI関連・原子炉 |
| Tb | 磁石・蛍光体 |
| Dy | 高温用磁石 |
| Ho | レーザー |
| Er | 光ファイバー |
| Tm | レーザー |
| Yb | ファイバーレーザー |
| Lu | 核医学・診断 |
今後、レアアースがさらに重要になる理由
今後、レアアースの重要性が高まると考えられる背景には、世界的な電動化・デジタル化・脱炭素化があります。
電気自動車
EVではモーターに高性能永久磁石が使用される場合があります。
再生可能エネルギー
風力発電機などでは、大型発電機の高性能化にレアアース磁石が利用されることがあります。
ロボット
産業用ロボットやサービスロボットでも、小型・高出力のモーターが重要です。
AI・データセンター
AIそのものがレアアースを直接大量に消費するわけではありませんが、データセンターや関連機器の高性能化に伴い、モーター、電子部品、冷却設備などの材料需要にも注目が集まっています。
まとめ:レアアース17元素は現代産業を支える重要資源
レアアースは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド15元素の合計17元素です。
特に重要なポイントを整理すると、以下のようになります。
- レアアースは17元素の総称
- 「レア=地球上にほとんど存在しない」という意味ではない
- 化学的性質が似ており分離・精製が難しい
- スマートフォンやモーターなど幅広い製品に使われる
- ネオジムやジスプロシウムは高性能磁石で重要
- ユウロピウムやイットリウムは発光材料などに利用される
- エルビウムは光ファイバー通信で重要
- ガドリニウムやルテチウムは医療分野でも利用される
- 安定した供給網の確保が世界的な課題
- リサイクルや代替材料の研究も進められている
レアアースは、単なる「希少な金属」ではありません。EV、再生可能エネルギー、通信、医療、ロボット、航空宇宙など、現代社会のさまざまな技術を支える基盤材料です。
今後も技術革新や電動化が進むにつれて、レアアース17元素の安定確保と効率的な利用は、ますます重要なテーマになるでしょう。







