プログラミングの写経はするな!記憶力が弱くても上達する「神経衰弱式コーディング」

「プログラミングの勉強には写経がおすすめ」
そんな話を聞いて、教材のコードを一生懸命書き写していませんか?
確かに、プログラミング初心者がコードに慣れるために、サンプルコードを自分で入力することには意味があります。
しかし、
- 写経したコードなら動かせる
- 教材を見ればコードが分かる
- でも教材を閉じると何も書けない
- 次の日になると昨日覚えたコードを忘れている
- プログラミングの用語や関数を覚えられない
- 何度勉強しても「自分は記憶力が悪い」と感じる
という状態なら、単純な「写経」を続ける必要はありません。
むしろ重要なのは、
「見ながら書く」ことではなく、「見ないで思い出して書く」ことです。
テックジムでは、この学習方法を「神経衰弱式コーディング」と呼んでいます。
この記事では、プログラミングの写経がなぜ「やったつもり」になりやすいのか、記憶力が弱い人でもプログラミングを身につけるためにはどうすればいいのか、そして2026年のAI時代におすすめしたい学習法を解説します。
プログラミングの「写経」とは?
プログラミングにおける「写経」とは、教材やWebサイトなどに掲載されているコードを見ながら、自分のパソコンに同じコードを入力する学習方法です。
例えば、教材に次のコードが掲載されているとします。
name = "Taro"
print(name)
これを見ながら自分のエディタにも入力します。
実行すると、
Taro
と表示されます。
このように、
お手本を見る → コードを入力する → 実行する
というのが、一般的なプログラミングの写経です。
初心者がプログラミングの文法やコードの形に慣れるという意味では、写経にも一定のメリットがあります。
しかし、ここで注意したいことがあります。
「見ながら書ける」ことと「自分でコードを書ける」ことは同じではありません。
なぜ「写経しているのにプログラミングが身につかない」のか?
写経で起こりやすい問題は、
お手本を見ながら問題を解いている状態になること
です。
例えば、教材に次のコードが書いてあれば、そのまま入力できます。
for i in range(10):
print(i)
ところが教材を閉じて、
「0から9までの数字を表示してください」
と言われた途端、
「for文は使うと思うけど……どう書くんだっけ?」
となることがあります。
これは、プログラミングができないのではありません。
「見れば分かる」という状態から「見なくても再現できる」という状態に移っていないのです。
「記憶力が弱いからプログラミングができない」は本当?
プログラミングを学んでいると、
「自分は記憶力が悪いからプログラミングに向いていない」
と考えてしまう人がいます。
しかし、プログラミングでは、すべての関数や構文を頭の中に暗記している必要はありません。
実際の開発でも、公式ドキュメントや検索、AIなどを使いながらコードを書くことは珍しくありません。
問題なのは、
「全部暗記すること」
ではありません。
重要なのは、
必要なときに、自分でコードを組み立てられること
です。
例えば、
for文を使う
↓
繰り返す対象を決める
↓
処理を書く
↓
実行する
↓
エラーが出る
↓
原因を調べる
↓
修正する
という思考の流れが身についていれば、細かい文法を忘れても、調べながら復元できます。
プログラミングで本当に必要なのは「暗記力」ではなく「再現力」
プログラミングでは、
「知っている」
だけでは不十分です。
例えば、
「for文を知っています」
という状態と、
「この処理にはfor文を使えばいい」
と判断できる状態では、大きな違いがあります。
さらに、
「では、実際に書いて動かしてみよう」
までできれば、実践的なスキルになります。
つまり、
暗記 → 再現 → 応用
という段階があります。
テックジムでは、この中でも特に「再現」を重視します。
「写経はするな」の本当の意味
ここでいう、
「プログラミングの写経はするな」
とは、
「コードを手で入力するな」
という意味ではありません。
また、
「写経にはまったく意味がない」
という意味でもありません。
問題なのは、
お手本を見ながら、そのままコードを書き写し続けること
です。
例えば、
教材を見る
↓
そのまま写す
↓
動いた
↓
分かった気になる
これでは、教材がなくなった瞬間に手が止まってしまうことがあります。
そこで、
教材を見る
↓
理解する
↓
教材を閉じる
↓
思い出す
↓
自分で書く
↓
実行する
↓
エラーを修正する
という方法に変えます。
これが神経衰弱式コーディングです。
神経衰弱式コーディングとは?
神経衰弱では、カードをめくって、
「このカードはどこにあった?」
と記憶を頼りに探します。
プログラミングも同じです。
最初にコードを確認します。
その後、お手本を隠します。
そして、
「さっき見たコードはどうだった?」
と記憶を頼りにコードを再現します。
つまり、
見る → 隠す → 思い出す → 書く
という学習方法です。
さらに、
実行 → デバッグ → 再挑戦
まで行います。
神経衰弱式コーディングの具体的なやり方
STEP1:まずお手本を見る
最初から何も見ずに書く必要はありません。
まず教材を読みます。
ここではコードを丸暗記する必要もありません。
確認するのは、
- 何をするコードなのか
- どんな関数を使っているのか
- どんな処理の流れなのか
- なぜこのコードになるのか
です。
STEP2:お手本を閉じる
コードを理解したら、お手本を閉じます。
ここが写経との最大の違いです。
コードを見えない状態にします。
STEP3:思い出しながら書く
ここで、
「あれ?どうだったっけ?」
となるはずです。
それで構いません。
むしろ、ここが重要です。
思い出そうとすることで、
コードを自分の頭から取り出す練習
になります。
STEP4:実行する
書いたらすぐに実行します。
正しく動けばOKです。
エラーが出ても問題ありません。
STEP5:エラーを読む
例えば、
SyntaxError
NameError
TypeError
などが出たら、
「なぜエラーになったのか?」
を考えます。
ここでデバッグの経験が積み上がります。
STEP6:分からなければ答えを見る
どうしても分からなければ、教材を見ます。
AIに質問しても構いません。
答えを見ることは禁止しません。
ただし、答えを確認したら、
もう一度お手本を閉じて書く
ことが重要です。
「忘れる」ことは悪いことではない
記憶力が弱い人ほど、
「忘れてしまった……」
と落ち込んでしまいます。
しかし、プログラミング学習では、
忘れること自体が問題なのではありません。
重要なのは、
忘れたあとに思い出すこと
です。
例えば、
「rangeってどう使うんだっけ?」
と考える。
思い出せなければ調べる。
そして、
「ああ、こうだった」
と確認する。
その後、もう一度自分で書く。
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ再現できるようになります。
だから「神経衰弱式」なのです
神経衰弱では、一回で全部覚える必要はありません。
カードをめくって、
「違った」
「ここじゃなかった」
「あ、ここだった」
と繰り返します。
プログラミングも同じです。
思い出せない
↓
調べる
↓
分かる
↓
もう一度書く
↓
また忘れる
↓
もう一度思い出す
この繰り返しによって、
「見れば分かる知識」から「自分で使える知識」
へ変えていきます。
写経と神経衰弱式コーディングの違い
| 項目 | 写経コーディング | 神経衰弱式コーディング |
|---|---|---|
| お手本 | 見ながら書く | 最初に見る |
| コードを書く | お手本を模倣 | 記憶から再現 |
| 記憶 | 見れば分かる | 見なくても書ける |
| 思考 | 少なくなりやすい | 必要 |
| 実行 | 正解確認 | 動作確認 |
| エラー | 避けがち | 学習材料 |
| デバッグ | 少ない | 重視 |
| AI | 答えを出してもらう | ヒント・説明・デバッグに活用 |
| 目標 | コードを覚える | コードを使えるようになる |
記憶力が弱い人ほど「全部覚えよう」としない
プログラミング初心者が陥りやすいのが、
「まず関数を全部覚えよう」
という勉強方法です。
例えば、
print()
input()
len()
range()
enumerate()
map()
filter()
などを一覧にして暗記しようとします。
しかし、これではなかなか定着しません。
重要なのは、
「必要になったときに使う」
ことです。
例えば、
「リストの要素数を取得したい」
という問題が出たときに、
「len()だったかな?」
と考える。
分からなければ調べる。
そして使ってみる。
こうした実践の中で覚えていけばいいのです。
2026年は「写経」よりも「再現・デバッグ」が重要
2021年ごろと現在では、プログラミング学習を取り巻く環境が大きく変わっています。
現在はChatGPTなどの生成AIを使えば、
「PythonでCSVを読み込むコードを書いて」
と質問するだけで、コード例を得られます。
そのため、
「コードを見ながら入力する」こと自体の価値は相対的に下がっています。
一方で、
- AIが生成したコードを読める
- コードが何をしているか説明できる
- 自分で一部を書き換えられる
- 実行結果を確認できる
- エラーの原因を考えられる
- AIに適切な質問ができる
といった能力が重要になっています。
AIによってコード生成が簡単になったからこそ、コードを理解して再現し、修正できる力が重要になっています。
だからこそ、
AIにコードを書いてもらう → 自分で理解する → AIを閉じる → 自分で再現する → 実行する → デバッグする
という学習方法が重要になります。
AI時代に「写経」は不要なのか?
では、AIがコードを書いてくれるなら、写経は完全に不要なのでしょうか?
そうとも限りません。
コードを実際に入力することで、
- コードの構造を知る
- エディタの操作に慣れる
- エラーを体験する
- プログラムの実行方法を知る
といったメリットがあります。
ただし、問題は、
「AIや教材から出てきたコードを、そのままコピーして終わる」
ことです。
これでは、
「AIが作ったから動いた」
だけになってしまいます。
AI時代だからこそ、
コピーした後に、自分でコードを再現する
という一手間を加えることが重要です。
AIを「答えを出す機械」ではなく「先生」として使う
例えばAIに、
Pythonでじゃんけんゲームを作ってください。
とだけ頼むのではなく、
このコードの勝敗判定部分を説明してください。
と質問します。
さらに、
このコードを見ずに自分で書き直したいので、ヒントだけください。
と聞く。
そして自分で書いてみます。
エラーが出たら、
このエラーの原因を教えて。ただし修正コードを全部出さず、ヒントをください。
と質問する。
この使い方なら、
AIを使いながら自分の思考力も鍛えられます。
神経衰弱式コーディングはAI時代と相性がいい
神経衰弱式コーディングは、
AIを禁止する学習方法ではありません。
むしろAIと組み合わせることで、より実践的になります。
おすすめの流れは、
① AIや教材からコード例を得る
↓
② コードを理解する
↓
③ コードを閉じる
↓
④ 自分で再現する
↓
⑤ 実行する
↓
⑥ エラーを確認する
↓
⑦ 自分で原因を考える
↓
⑧ AIにヒントを求める
↓
⑨ 修正する
↓
⑩ もう一度自分で書く
です。
これなら、
AIの便利さと、人間の学習を両立できます。
「プログラミングが向いていない」のではなく、学習方法を変えてみる
もしあなたが、
「何度写経しても覚えられない」
「昨日勉強したことを今日忘れている」
「コードを見れば分かるのに、自分では書けない」
という状態なら、
「自分はプログラミングに向いていない」と結論を出すのはまだ早いかもしれません。
単純に、
「見ながら書く練習」ばかりしていて、「思い出して書く練習」が足りない
可能性があります。
今日から、
見る → 隠す → 思い出す → 書く → 実行する → デバッグする
という学習方法に変えてみてください。
神経衰弱式コーディングで目指すのは「暗記」ではない
ここは非常に重要です。
神経衰弱式コーディングは、
コードを丸暗記するための方法ではありません。
目指しているのは、
「必要なコードを自分で再現できる状態」
です。
もちろん、プログラミングでは何度も使う構文や関数は自然に覚えていきます。
しかし、
「全部暗記してからプログラミングを始める」
必要はありません。
むしろ、
「使う → 忘れる → 調べる → 再現する → また使う」
を繰り返すことで、必要な知識が自然に定着していきます。
神経衰弱式コーディングの7つのルール
1.お手本を見て理解する
最初から暗記しません。
2.お手本を閉じる
見えない状態を作ります。
3.思い出して書く
分からなくても、まず考えます。
4.すぐ実行する
コードを書いたら動かします。
5.エラーを歓迎する
エラーは学習材料です。
6.分からなければ調べる
教材、公式ドキュメント、検索、AIなどを使います。
7.もう一度再現する
調べて終わりにせず、再び自分で書きます。
テックジム代表のメルマガから
このテーマに関連して、テックジム代表がメルマガ「グラさん通信」で書いた内容をもとにした記事です。
まとめ:プログラミングの写経は「卒業」しよう
プログラミングの写経は、コードに触れるという意味では悪い学習方法ではありません。
しかし、
「お手本を見ながら書き写すだけ」
では、いつまで経っても「自分でコードを書く」状態に到達できない可能性があります。
そして、
「写経しても覚えられない=自分は記憶力が悪い=プログラミングに向いていない」
と考える必要もありません。
大切なのは、すべてを暗記することではありません。
見たコードを一度隠し、自分の頭から再現してみること。
そして、
実行して、エラーを出して、デバッグすること。
これを繰り返すのが、テックジムの考える「神経衰弱式コーディング」です。
2026年はAIによってコードを生成すること自体は簡単になりました。
だからこそ、
「コードを写せる人」ではなく、「コードを理解して、再現して、修正できる人」
を目指しましょう。
プログラミングの写経はするな。
「見ながら書く」から「思い出して書く」へ。
「書いて終わり」から「実行してデバッグする」へ。
これが、記憶力に自信がない人にもおすすめしたい、AI時代のプログラミング学習法です。
テックジムでは「自分でコードを書く」ことを重視しています
テックジムでは、教材を読むだけ、動画を見るだけの学習ではなく、実際にコードを書いて、実行して、エラーを修正するアウトプット中心の学習を重視しています。
「プログラミングを勉強しているのに、自分でコードを書けるようにならない」という方は、学習方法そのものを見直してみてください。







