【野党下野で終了!?】公明党の岐路|自公連立26年の議席数推移と高市政権下での連立離脱示唆
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2025年10月4日、自民党総裁選で高市早苗氏(64)が第29代総裁に選出された。女性として初の自民党総裁、近く女性初の首相誕生が確実となる歴史的瞬間だが、連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表は同日、高市氏との会談後に**「連立の政策協議を行い、一致すれば連立政権ということになるが、まだ今の段階では何とも申し上げることができない」**と述べ、連立離脱もほのめかして自民党の右傾化をけん制した。
結党以来60年にわたって中道政治を標榜してきた公明党が、今、存亡の危機に立たされている。
目次
斉藤代表が突きつけた「3つの懸念」
高市氏との会談で、斉藤代表は以下の3点を懸念事項として明示した。
1. 「政治とカネ」問題のけじめ
「与党が選挙で大敗した大きな原因の一つに(自民党の)不記載の問題がある。企業・団体献金の規制強化を進めることを、政策協議の中で明確にしてほしい」
2. 歴史認識と靖国神社参拝
「現実に外交問題にこれまで発展してきていることに対して、懸念を抱いている」
高市氏は過去に8月15日の終戦の日に靖国神社を参拝するなど、保守派の立場を鮮明にしてきた。中国との外交関係を重視する公明党にとって、靖国参拝で中国が反発する事態は最も避けたい展開だ。
3. 外国人との共生
多文化共生を重視する公明党と、保守的な外国人政策を掲げる高市氏との間には大きな溝がある。
斉藤代表は「多くの支持者が心配している。それらの解消なくして連立政権はない」と強調した。
「保守中道路線に合わなければ連立は組めない」
実は斉藤代表は、総裁選の期間中から異例の発言を繰り返していた。
9月7日、石破首相の退陣表明を受けて、斉藤氏は「保守中道路線の私たちの理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにいかない」と明言。この発言が高市氏を念頭に置いたものであることは、誰の目にも明らかだった。
この発言はSNS上で大きな波紋を呼び、「高市潰しか」「思いっきり口を挟んでいる」などの批判が殺到。斉藤氏は翌8日にX(旧Twitter)で「あくまで一般論で申し上げたもの。他党である自民党の総裁選に口を挟む意図は毛頭ありません」と異例の釈明に追われた。
しかし、高市氏が総裁に就任した現在、公明党の懸念は現実のものとなった。
議席激減が追い込む公明党
公明党が連立離脱を示唆する背景には、党勢の著しい衰退がある。
2024年衆院選の衝撃
2024年10月27日の第50回衆議院総選挙で、公明党は公示前の32議席から24議席へと8議席減という厳しい結果となった。小選挙区では擁立した11人のうち4人しか当選できず、比例区でも20議席にとどまった。
自民党も191議席と大敗し、自公合計で215議席。過半数の233議席を18議席も下回り、1999年の自公連立開始以来初めて(2009年の政権交代を除く)、連立与党で過半数割れという事態に陥った。
2025年参院選でさらなる打撃
2025年7月20日の第27回参議院選挙では、公明党はさらに厳しい結果を突きつけられた。
- 改選14議席に対し、わずか8議席(選挙区4、比例4)
- 非改選含めた新勢力は21議席(改選前27議席から6議席減)
- 2016年から3回続いた7選挙区完勝が途切れる
- 埼玉、神奈川、愛知で議席を失う
- 参院選の議席数としては過去最低
比例票は521万票で、目標の700万票には遠く及ばず、最多だった2004年の862万票から4割減という惨状だった。
自民党も39議席と大幅議席減で、自公合計で47議席。非改選と合わせても参院でも過半数(125議席)を維持できず、衆参両院ともに過半数割れという前代未聞の事態となった。
1999年以降の議席数推移|栄光から衰退へ
📊 年次別国会議員数一覧
| 年 | 衆議院 | 参議院 | 合計 | 主な出来事 |
|---|---|---|---|---|
| 1999年 | 42 | 24 | 66 | 10月:自公連立政権開始 |
| 2000年 | 31 | 24 | 55 | 第42回衆院選で31議席 |
| 2003年 | 34 | 23 | 57 | 第43回衆院選で34議席 |
| 2005年 | 31 | 24 | 55 | 比例で過去最高898万票 |
| 2007年 | 31 | 20 | 51 | 参院選で苦戦、20議席に |
| 2009年 | 21 | 21 | 42 | 民主党政権で野党転落 |
| 2010年 | 21 | 19 | 40 | 参院選で19議席 |
| 2012年 | 31 | 19 | 50 | 与党復帰 |
| 2013年 | 31 | 20 | 51 | – |
| 2014年 | 35 | 20 | 55 | 現行制度下で最多35議席 |
| 2016年 | 35 | 25 | 60 | 参院選で25議席 |
| 2017年 | 29 | 25 | 54 | 衆院選で29議席 |
| 2019年 | 29 | 28 | 57 | 参院で過去最多28議席 |
| 2021年 | 32 | 28 | 60 | 合計で最多60議席 |
| 2022年 | 32 | 27 | 59 | – |
| 2024年 | 24 | 27 | 51 | 衆院選で24議席に激減 |
| 2025年 | 24 | 21 | 45 | 参院も過去最低、合計45議席 |
ピークと衰退の軌跡
ピーク期(2014年~2021年)
- 2014年衆院選:35議席(現行制度下最多)
- 2019年参院選:28議席(過去最多)
- 2021年:合計60議席でピークを記録
比例得票数の推移
- 2005年衆院選:898万票(過去最高)
- 2022年参院選:618万票
- 2025年参院選:521万票(最多の4割減)
なぜ公明党は議席を失い続けているのか
1. 支持基盤の高齢化
結党時から選挙支援に熱心だった創価学会員の世代が高齢化し、組織力が低下している。この課題は共産党や社民党などの「老舗政党」に共通するが、公明党も例外ではない。
2. 自民党の裏金問題の巻き添え
2024年の衆院選、2025年の参院選ともに、連立を組む自民党派閥の政治資金問題が逆風となった。公明党自身には直接関係がないにもかかわらず、「与党」として厳しい審判を受けた。
3. 大阪・兵庫での日本維新の会との全面対決
かつて「常勝関西」と呼ばれた大阪・兵庫で、維新との「すみ分け」がなくなり激突。2024年衆院選では、擁立した11小選挙区のうち10で維新候補と競合し、大きな打撃を受けた。
4. 政策の独自性の希薄化
自民党との連立が長期化する中で、「公明党ならでは」の政策が見えにくくなっているとの指摘もある。
連立拡大か、連立離脱か|公明党の選択
高市新総裁は連立の枠組み拡大を視野に、日本維新の会や国民民主党との連携を模索する可能性が高い。しかし、これは公明党にとって最悪のシナリオだ。
公明党が恐れる「3つのシナリオ」
シナリオ1:維新が連立入りし、関西で公明党が淘汰される 維新が連立に加われば、大阪・兵庫での選挙協力が崩れ、公明党の伝統的な地盤が失われる。
シナリオ2:国民民主が連立入りし、存在感が薄れる 中道・現実路線の国民民主が加われば、公明党の「要」としての立場が相対的に低下する。
シナリオ3:右傾化した自民党と心中する 高市政権下で自民党がさらに保守色を強めれば、公明党の支持母体である創価学会員との軋轢が深まる。
連立離脱は可能なのか?
結論から言えば、現実的には極めて困難だ。
政権与党でなくなれば影響力が激減:野党時代(2009~2012年)の経験から、与党でなければ政策実現が困難であることを痛感している。
地方での自民党との協力関係:全国の地方議会レベルでの自民党との連携は簡単には切れない。
行き場がない:立憲民主党など野党との連立も現実的ではない。
しかし、斉藤代表の発言は単なる牽制ではない。公明党内には「これ以上自民党の右傾化についていけない」「創価学会員の理解が得られない」との声が強まっている。
60年の歴史が示す公明党のDNA
1964年11月17日の結党時、公明党は「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」との立党精神を掲げた。
公明党が大切にしてきた理念
- 大衆福祉の実現
- 平和主義・非核三原則
- 中道政治
- 国連中心主義
児童手当制度の創設・拡充、軽減税率の導入、幼児教育・保育の無償化など、福祉政策での実績は確かに存在する。しかし、保守色の強い高市政権下で、こうした理念を維持できるのか。
結論|公明党は存続できるのか
公明党は今、結党以来最大の岐路に立たされている。
冷徹な数字が示す現実
- 国会議員数:60議席(2021年)→ 45議席(2025年)
- 比例得票:862万票(2004年)→ 521万票(2025年参院選)
- わずか4年で議席数25%減、比例票は20年で4割減
高市新総裁との政策協議は今週中にも開始される見通しだが、靖国参拝、憲法改正、防衛費増額など、根本的な理念の違いをどう埋めるのか。
もし公明党が連立を離脱すれば、自公連立は26年の歴史に幕を下ろすことになる。しかし、連立を維持すれば、「平和の党」としてのアイデンティティを失う危険性がある。
公明党は今、「政権に留まって影響力を失うか、野に下って存在意義を守るか」という究極の選択を迫られている。
斉藤代表が高市氏に突きつけた「懸念の解消なくして連立はない」という言葉の重みを、日本政治は今、試されている。
【今後の注目ポイント】
- 今週中の自公政策協議で、靖国参拝問題でどこまで譲歩が得られるか
- 企業・団体献金規制の具体策が示されるか
- 連立拡大(維新・国民民主)の動きが本格化するか
- 創価学会の機関紙「聖教新聞」が高市政権をどう評価するか
結党60年を迎えた公明党の決断が、日本の政治の未来を左右する。
データ出典:公明党公式サイト、日本経済新聞、毎日新聞、総務省選挙関連資料、参議院会派別所属議員数資料
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