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訪日外国人や在留外国人の増加に伴い、医療費未払いや国民健康保険（国保）の未納問題が注目を集めています。本記事では、2025年最新の統計データをもとに、実態と誤解、そして取り組まれている対策について詳しく解説します。

1. 在日外国人の国保未納率の実態

最新統計データ（2025年4月公表）

厚生労働省が2025年4月に公表した調査によると、外国人の国民健康保険料納付率は63%でした。この調査は、世帯主が外国人の場合を抜き出して集計できる全国150市区町村を対象に実施されました。

重要なポイント：

• 外国人の納付率：63%（2024年4月～12月）
• 全体（日本人含む）の納付率：93%
• 納付率の差：約30ポイント

地域別の状況

一部の自治体では、さらに深刻な状況が報告されています。

新宿区では2023年度の外国人に係る国民健康保険料の現年分収納率が47.13%、豊島区では73.81%でした。外国人居住者が多い都市部を中心に、未納率の高さが顕著となっています。

2. 医療費未払いの実態

訪日外国人による医療費未払い

2023年9月に外国人患者を受け入れた全国2,813の病院のうち、18.3%にあたる516施設で医療費未払いが報告されています。これは前年度の19.9%からは微減したものの、依然として高い水準です。

未払い金額の規模：

• 未払い1件あたりの平均額は5万円以下が多数を占める
• 100万円以上の未払いも42件発生
• 最高額は1,846万円

未払いの主な原因

外国人患者による医療費未払いには、以下のような要因があります：

1. 旅行保険への未加入

   • 短期滞在者で民間医療保険に加入していない
   • 保険の存在や必要性を認識していない

2. 医療制度の違いへの認識不足

   • 日本の医療費が高額であることの理解不足
   • 事前説明がないことへの戸惑い

3. 支払い能力の問題

   • 予期せぬ高額医療費の発生
   • 緊急搬送などによる想定外の治療

4. 言語・コミュニケーションの問題

   • 医療費に関する説明が十分に理解できない
   • 支払い方法についての情報不足

3. よくある誤解とファクトチェック

誤解①「外国人の国保未納は年間4,000億円」

2022年度の国保の未納額は日本人を含めて全体で1,457億円でした。福岡厚生労働大臣は「外国人の未納額が年間4,000億円という情報は当方の認識とは異なる」と述べています。

誤解②「外国人が医療保険制度を圧迫している」

実際のデータを見ると、違った側面が見えてきます：

国民健康保険における外国人被保険者数は約97万人で全被保険者の4.0%、総医療費に占める外国人の割合は1.39%です。

高額療養費の該当件数に占める外国人の割合は1.04%、支給額に占める割合は1.21%です。

外国人の加入者には若い人が多いため医療費は少ない傾向があり、保険料の納付によって医療保険制度を支える側であるという見方もあります。

4. 政府・自治体の対策

入国審査の厳格化

2025年5月10日から、20万円以上の医療費不払いの経歴がある訪日外国人の情報を収集し、出入国在留管理庁へ提供する仕組みが開始されました。この情報は次回入国時の入国拒否も含む厳格な審査に活用されます。

在留資格審査の厳格化

過去に医療費未払いの経歴がある中長期在留者については、在留資格審査を厳格化する方針が決定されました。また、社会保険料を滞納した外国人の在留資格更新を不許可とする方針も盛り込まれています。

マイナンバーカードとの連携

在留カードとマイナンバーカードの一体化と、在留外国人にマイナンバーカード保険証を義務づけることで、外国人のなりすましによる保険の悪用を防ぐことができます。

医療機関向けの支援

厚生労働省は医療機関向けに以下の資料を提供しています：

• 訪日外国人の受診時対応チェックリスト
• 受付で使える訪日外国人受診者対応簡易手順書
• 医療費不払い発生防止マニュアル

これらは厚生労働省のウェブサイトから無料でダウンロードできます。

5. 医療機関ができる未払い防止策

受付時の対応

1. 保険加入状況の確認

   • 旅行保険や医療保険への加入を確認
   • 保険証や証明書の提示を求める

2. 医療費の事前説明

   • 想定される治療費の概算を提示
   • 支払い方法について明確に説明

3. クレジットカードの確認

   • 有効なクレジットカードの提示を求める
   • 与信枠の確認

コミュニケーション改善

• 多言語対応の医療通訳サービスの活用
• 翻訳アプリの導入
• 多言語の説明資料の準備

前払い制度の導入

高額医療が予想される場合は、デポジット（保証金）の支払いを求めることも有効な対策です。

6. 今後の課題と展望

システム改修の必要性

厚生労働省は保険料の収納状況を国籍情報と結びつけて把握するシステム改修の詳細を検討しており、早期の実態把握に努める方針を示しています。

共生社会の実現に向けて

厚生労働大臣は「日本人と外国人がお互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現を目指す」との方針を示しています。適切な制度運用と、外国人への制度周知の両面からのアプローチが必要です。

短期滞在者への対応

短期滞在で入国する外国人には民間の医療保険への加入義務づけが検討されています。これにより、医療機関の未収金リスクを軽減できると期待されています。

まとめ

在日外国人の医療費未払いと国保未納問題は、確かに存在する課題です。しかし、SNS上で拡散されているような極端な数字は事実と異なります。

重要なポイント：

1. 外国人の国保納付率は63%で、全体の93%より低い
2. 医療費未払いは約2割の医療機関で発生しているが、1件あたりの平均額は比較的小さい
3. 外国人の医療費は全体の1.39%で、被保険者比率4.0%より低い
4. 政府は入国審査の厳格化など、具体的な対策を実施している
5. 医療機関レベルでも、事前説明や多言語対応などの対策が可能

今後は、正確な実態把握のためのシステム整備と、外国人への制度周知、医療機関の受け入れ体制強化を三本柱として、持続可能な医療保険制度の維持と、外国人との共生社会の実現を目指していく必要があります。

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最終更新： 2025年11月（最新データに基づく）

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