国産スマートグラスまとめ|日本メーカー・日本発の注目製品を紹介
国産スマートグラスとして今いちばん注目したいのは、jig.jp・Cellid・ボストンクラブが鯖江で共同開発した「SABERA(サベラ)」です。長年の国産代表だったエプソンの「MOVERIO」は、2026年10月15日に国内販売の終了が発表されました(販売終了予定は2027年3月30日)。
スマートグラスは、メガネのように装着して、映像・文字・音声・AIなどの情報を利用できるウェアラブルデバイスです。
これまでは海外メーカーの製品が中心でしたが、2026年には日本企業が開発したスマートグラスも登場しています。その代表が、福井県鯖江市の眼鏡メーカーなどと共同開発された「SABERA(サベラ)」です。
一方で、日本企業のスマートグラスとして長く知られてきたエプソンの「MOVERIO(モベリオ)」は、国内販売を終えることになりました。この記事では、国産・日本発のスマートグラスを中心に、
- 「国産スマートグラス」とは何を指すのか
- SABERAの特徴と、いま買えるかどうか
- MOVERIOの販売終了の内容と、使っている人・検討していた人が知っておくべきこと
- 国産ではないが日本で導入できる製品との違い
- 用途から見た選び方
についてまとめます。
国産スマートグラスとは?
「国産スマートグラス」と一口に言っても、実際にはいくつかの意味があります。
例えば、
- 日本企業がブランドを持ち、企画・開発している
- 日本の眼鏡メーカーがフレームの設計に参加している
- 光学部品(レンズ・導光板)を日本企業が開発している
- 日本国内の工場で組み立てている
などです。
そのため、「日本企業が開発に参加していること」と「すべての部品を日本国内で製造していること」は別と考える必要があります。この記事では、日本企業が開発・販売の主体になっている製品を「国産・日本発」として扱います。
2026年10月時点で、国産スマートグラスとして特に注目されているのが、jig.jp、Cellid、ボストンクラブが共同開発した「SABERA」です(SABERA公式サイト、2026年10月18日確認)。
国産スマートグラス一覧(2026年10月時点)
代表的な日本発・日本企業関連のスマートグラスを整理すると、次のようになります。
| 製品・ブランド | 関係する企業 | 主な特徴 | 販売状況(2026年10月18日確認) |
|---|---|---|---|
| SABERA | jig.jp・Cellid・ボストンクラブ | AI・文字起こし・翻訳・原稿表示など | Makuakeの先行販売は終了・発送完了。一般販売は「まもなく公開」 |
| MOVERIO(BT-45CS/BT-45C・BT-35ES/BT-35E・BT-40/BT-40S) | エプソン | 映像表示・遠隔支援・モニター用途 | 国内販売終了を発表。販売終了予定は2027年3月30日 |
| Vuzix製品(LX1など) | Vuzix(米国)・ビュージックスジャパン | 業務用(倉庫・作業現場) | 国内販売中。ただし国産ではない |
Vuzixは米国のVuzix Corporationの100%子会社が日本で事業を行っているもので、Vuzixを「国産メーカー」と分類するのは適切ではありません(ビュージックスジャパン 会社概要)。
また、XREALなども日本で広く販売されていますが、日本企業の製品ではありません。
この違いは「国産スマートグラス」を選ぶ際に重要です。
1.SABERA(サベラ)
2026年に国産スマートグラスとして特に注目されているのが「SABERA」です。
SABERAは、2003年に福井県鯖江市で創業したソフトウェア企業のjig.jp、AR光学技術を手掛けるCellid、1984年創業の鯖江の眼鏡メーカーであるボストンクラブが共同開発しています。名前は「Sabae(鯖江)」と「Era(時代)」を掛け合わせた造語です(SABERA 私たちについて、SABERA よくある質問)。
SABERAの特徴
SABERAの大きな特徴は、一般的な「ゴーグル型ARグラス」とは異なり、普通のメガネに近い外観を目指していることです。公式サイトによると、重さは約38g、カメラとスピーカーは搭載せず、マイクだけを載せています。
表示は右眼側だけの単眼式で、色はグリーン単色です。レンズにはCellidのプラスチック製ウェイブガイド(導光板)が使われています(SABERA よくある質問、SABERA プロダクト、2026年10月18日確認)。
主な用途として、公式サイトでは次の機能が挙げられています。
- 文字起こし・議事録・AI要約
- スマートフォンの通知の表示
- AIアシスタント(音声で質問し、回答を視界に表示)
- 原稿表示(テレプロンプト)
- リアルタイム翻訳(42言語)
- ナビゲーション
特に面白いのが、プレゼンテーションなどで原稿を確認できるテレプロンプター用途です。公式サイトでは、話すペースに合わせて原稿を自動でスクロールすると説明されています。
「スマートグラスをかけていることを目立たせたくない」という人にとって、メガネに近いデザインは大きなメリットになります。カメラがないので、職場や店舗でも周囲に気を遣わずに使いやすい設計です。
SABERAはいま買える?
SABERAは2026年にMakuakeで先行販売を行い、プロジェクトはすでに終了しています。Makuakeの活動報告では、2026年10月16日付で応援購入者への発送完了が告知されています(Makuake SABERAプロジェクト)。
一方、公式オンラインストアは「まもなく公開」、店舗での本体の取り扱い開始日は「Coming Soon」となっていて、2026年10月18日時点では一般販売の開始日は公表されていません。視力補正用レンズは9月1日から提携店で取り扱いが始まっています(SABERA 店舗一覧、2026年10月18日確認)。
なお、販売は日本国内向けのみで、技術基準適合証明は日本国内でのみ有効と公式FAQに書かれています。
2.エプソン「MOVERIO」は国内販売を終了
日本企業が長年スマートグラスに取り組んできた代表例が、セイコーエプソンの「MOVERIO」です。
ただし、エプソンは2026年10月15日に、MOVERIOの国内販売を終了すると発表しました(エプソン「スマートグラス MOVERIO販売終了後のサポート対応について」、2026年10月18日確認)。
| 対象 | 型番 | 販売終了予定 |
|---|---|---|
| スマートグラスMOVERIO | BT-45CS/BT-45C、BT-35ES/BT-35E、BT-40/BT-40S | 2027年3月30日 |
| 周辺機器 | ヘッドバンドパック、コントローラーホルダー、コントローラー、シェードユニットパック、鼻パッドなど | 2027年3月30日 |
発表のポイントは次の3つです。
- 販売終了予定時期は、直近の販売状況により前後する可能性がある
- 修理とお問い合わせの対応期限は、エプソンのサポート&ダウンロードのページで確認できる
- OSおよびファームウェアに関して追加対応の予定はない
つまり、これからMOVERIOを新しく買うと、在庫があっても今後のOS・ファームウェアの更新は期待できません。パートナー企業のソフトウェアについては、各提供企業へ問い合わせるよう案内されています。
MOVERIOはどんな製品だったのか
MOVERIOは、一般的なAIスマートグラスとは少し方向性が異なります。
エプソンの製品ページでは、シースルー型の映像表示を生かし、
- 遠隔での作業支援、指示書・図面の閲覧(BT-45C/BT-45CS、BT-35E/BT-35ES)
- 測定機をコントロールするPCのモニター(BT-45C、BT-35E)
- 映画や観劇での字幕や多言語表示(BT-40)
- 自宅・移動中・宿泊先での映像視聴(BT-40)
などの用途に推奨機種を示しています(エプソン スマートグラス製品情報、2026年10月18日確認)。
つまりMOVERIOは、「AIメガネ」というより「メガネ型の映像ディスプレイ」として考えると分かりやすい製品でした。
業務用途で使っている場合
エプソンは、遠隔支援・作業支援をMOVERIOの重要な用途として位置付けてきました。現場作業員がスマートグラスを装着し、遠隔地の専門家から指示を受けるといった使い方です。両手を塞がずに情報を確認できることも、スマートグラスのメリットです。
製造業、保守、建設、医療、教育など、業務中にPCやタブレットを持ちにくい現場では、すでにMOVERIOを導入している企業もあるはずです。そうした場合は、
- 手持ちの機種の修理対応期限をサポートページで確認する
- 使っている業務アプリの提供企業に、今後の対応を問い合わせる
- OS・ファームウェアの更新がない前提で、後継の機器を検討する時期を決める
という順番で確認しておくと安心です。
3.Vuzixは国産ではないが日本市場で重要
国産スマートグラスを調べていると、Vuzixも候補として出てくることがあります。
ただし、Vuzixは日本企業ではありません。そのため、Vuzix=国産スマートグラスと考えるのは間違いです。
一方で、ビュージックスジャパンは米国本社の100%子会社として日本で事業を行い、岡山と京都にも拠点を置いています。倉庫作業や作業現場向けの「LX1」(Android 15搭載、IP54の防水・防塵)を販売しているほか、ウェーブガイドなどの光学部品のOEMも手掛けています(Vuzix LX1、ビュージックスジャパン OEM、2026年10月18日確認)。
MOVERIOを業務で使っていた企業が後継機を探す場合、このような業務用製品も候補になります。ただし、アプリの対応状況は製品ごとに違うため、使っているソフトウェアの提供企業に確認してから選びましょう。
「日本で購入・導入できるスマートグラス」と「国産スマートグラス」は分けて考えましょう。
国産スマートグラスと海外製の違い
スマートグラス市場では海外メーカーも非常に多く存在します。
例えば、
- 映像表示型のARグラス:XREAL(旧Nreal、2017年創業)など
- AI・翻訳型のスマートグラス:INMO GO 3など
- 業務用スマートグラス:Vuzix LX1など
などがあります(XREAL About)。
2026年には日本国内でも多くの製品が販売されるようになっています。ただし、これらの多くは国産製品ではありません。
例えば、2026年7月30日からはINMO XRの「INMO GO 3」の日本国内販売がTD SYNNEXから始まりました。約58gの本体にMicroLED表示とカメラを搭載し、リアルタイム翻訳、AIアシスタント、撮影、文字起こしなどに対応した製品ですが、こちらも国産製品ではありません(TD SYNNEXのお知らせ)。
主要メーカーを横並びで比べたい場合は、スマートグラスメーカーまとめも参考にしてください。
国産スマートグラスを選ぶメリット
国産・日本企業関連のスマートグラスには、いくつかのメリットがあります。
日本語環境との相性
日本企業が開発する製品では、日本語による操作や日本国内での利用シーンが考慮されていることがあります。
特に、
- アプリや説明書が日本語で用意されているか
- 日本語の文字起こしや翻訳の使い勝手
- 国内のサポート窓口や修理の受付
- 日本の技術基準適合証明(技適)への対応
を重視する場合はチェックする価値があります。
ただし、MOVERIOの例のように、日本企業の製品でも販売やサポートが終わることはあります。「国産だから長く使える」とは限らないので、OSやファームウェアの更新方針、修理の受付期限も確認しておきましょう。
日本の眼鏡文化との相性
SABERAのように、福井県鯖江市の眼鏡メーカーが開発に参加する製品も登場しています。
スマートグラスが普及するためには、電子機器としての性能だけではなく、「毎日メガネとしてかけられるか」も重要です。
その点で、眼鏡産業の技術を持つ日本企業がスマートグラスに参加することには大きな意味があります。
国産スマートグラスを選ぶときのポイント
国産かどうかだけで製品を決める必要はありません。次のポイントを確認しましょう。
1.映像を表示したいのか
映画やゲーム、PC画面を大画面で表示したいのであれば、映像表示型ARグラスが向いています。これまで国産ではMOVERIOがこの役割を担っていましたが、国内販売が終わるため、今後は海外製の映像表示型ARグラスが主な選択肢になります。
一方、通知や翻訳、AI情報を確認したい場合はAIグラス・情報表示型の製品が候補になります。国産ではSABERAがこちらに当たります。
2.AIを使いたいのか
最近のスマートグラスではAI機能が重要になっています。
例えば、
- 会話の文字起こしと要約
- リアルタイム翻訳と字幕表示
- 音声で質問し、回答を視界に表示するAIアシスタント
などです。
「スマートグラス=映像を見るもの」と考えず、AIグラスという新しいカテゴリーも考慮すると選びやすくなります。
3.カメラが必要か
カメラ付きスマートグラスなら写真・動画撮影や画像認識などが可能になります。
一方で、職場や店舗などではカメラの利用が問題になるケースもあります。そのため、カメラ付き=高性能とは限りません。
利用場所によってはカメラなしの製品のほうが使いやすい場合もあります。SABERAはあえてカメラを載せていない製品です。
4.メガネとして使えるか
毎日装着するなら重量やデザインも重要です。スマートグラスは電子機器であると同時に「顔に装着する製品」です。
そのため、
- 重さ(長時間かけても疲れないか)
- 度付きレンズに対応しているか
- 鼻パッドやテンプルのかけ心地
- バッテリーの持ち時間と充電方法
などを確認しましょう。
5.更新とサポートが続くか
MOVERIOの販売終了で分かるように、スマートグラスは本体だけでなく、OS・ファームウェア・アプリの更新があってはじめて使い続けられる製品です。業務で導入する場合は特に、更新方針と修理の受付期限を確認してから選びましょう。
国産スマートグラスは今後どうなる?
2026年は、日本国内でもスマートグラスの選択肢が増えている時期です。一方で、エプソンのMOVERIOが国内販売を終えることになり、国産の顔ぶれは入れ替わりつつあります。
特に注目したいのが、AI × メガネという方向性です。
従来のARグラスは「目の前に大画面を表示する」という用途が中心でした。一方、AIグラスでは、
見る → 聞く → 話す → AIに質問する → 必要な情報を表示する
という使い方ができます。
SABERAのような日本企業による製品が登場したことで、日本の眼鏡産業・光学技術・ソフトウェア技術を組み合わせたスマートグラスにも注目が集まっています。
スマートグラスのアプリを自分で作ってみたい人は、開発キットや開発言語をまとめたスマートグラスの開発環境と開発言語も参考になります。
まとめ|国産スマートグラスはSABERAに注目、MOVERIOは販売終了に注意
「国産スマートグラス」を探しているなら、まずチェックしたいのがSABERAです。
SABERAは、日本企業が共同開発したAI・情報表示型スマートグラスです。先行販売分の発送は完了し、一般販売の開始が待たれている段階です。
一方、エプソンのMOVERIOは長年培ってきた光学技術を生かした映像表示型スマートグラスでしたが、2027年3月30日(予定)で国内販売を終え、OS・ファームウェアの追加対応も予定されていません。
両者は同じスマートグラスでも方向性が異なります。
AI・翻訳・通知・日常利用を重視するならSABERA。
映像表示・業務支援・遠隔作業を重視するなら、MOVERIOの販売終了を踏まえて、更新とサポートが続く後継機を探す。
というように、用途から選ぶと分かりやすいでしょう。
今後は日本企業からも、AI、AR、眼鏡、光学技術を組み合わせた新しいスマートグラスが登場することが期待されます。
「国産」という条件だけでなく、何を表示したいのか、AIを使いたいのか、仕事で使うのか、普段のメガネとして使いたいのか、そして長く使い続けられるのかを明確にして選ぶことが重要です。
よくある質問
Q. 国産のスマートグラスにはどんな製品がありますか?
2026年10月時点で注目されているのは、jig.jp・Cellid・ボストンクラブが共同開発したSABERAです。エプソンのMOVERIOも日本企業の製品ですが、2026年10月15日に国内販売の終了が発表されました。
Q. MOVERIOはいつまで買えますか?
エプソンの発表では、BT-45CS/BT-45C、BT-35ES/BT-35E、BT-40/BT-40Sと周辺機器の販売終了予定時期は2027年3月30日です。ただし直近の販売状況により前後する可能性があるとされています。
Q. MOVERIOのサポートはどうなりますか?
修理とお問い合わせの対応期限は、エプソンのサポート&ダウンロードのページで確認できます。OSおよびファームウェアの追加対応の予定はないと発表されています。
Q. SABERAは今すぐ買えますか?
Makuakeでの先行販売は終了しており、2026年10月18日時点で公式オンラインストアは「まもなく公開」、店舗での本体の取り扱い開始日は未定となっています。
Q. VuzixやXREALは国産ですか?
どちらも日本企業の製品ではありません。Vuzixは米国のVuzix Corporationの日本法人が国内で販売しており、XREALも海外のブランドです。
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