子ども家庭庁の7兆円予算、何が問題?少子化対策が効果を出せない理由
2023年4月に発足した子ども家庭庁。2025年度の予算は過去最大の約7.3兆円に達しましたが、少子化は加速し続け、出生数は70万人を割り込む見込みです。巨額の予算が投じられているにもかかわらず、なぜ効果が実感できないのでしょうか。この記事では、子ども家庭庁の予算の問題点と、少子化対策の課題について詳しく解説します。
子ども家庭庁の予算7.3兆円の内訳
2025年度の子ども家庭庁予算は7兆3270億円で、前年度比で約1.1兆円増加しています。主な内訳は以下の通りです。
- 保育所・放課後児童クラブ運営費: 約2兆4600億円
- 児童手当: 約2兆1700億円
- 育児休業給付: 約1兆600億円
- 虐待防止・ひとり親家庭支援等: 約8500億円
- 大学授業料減免等: 約6500億円
一見すると子育て支援が手厚く見えますが、多くの子育て世帯が「生活が楽になった」と実感できていないのが現実です。
7兆円予算の5つの深刻な問題点
1. 効果が数字に表れない
子ども家庭庁発足後も少子化は加速しています。2022年には初めて80万人を割り込んだ出生数は、2024年には70万人を下回る見込みです。7兆円超の予算を投じても、出生数は減り続けているという厳しい現実があります。
2. 検証体制の不備
2025年5月、三原じゅん子大臣が「検証はこれからしっかり始めていく」と発言し、大きな批判を浴びました。巨額の予算を使いながら、何が効果的だったのか検証されていないことが明らかになったのです。過去20年間で累計65兆円以上が少子化対策に投じられてきましたが、十分な効果検証がなされていません。
3. 中抜き問題による予算の目減り
最も深刻な問題の一つが、大手企業への業務委託による「中抜き」です。
博報堂が370億円規模の広報・データ管理業務を受注し、その多くが下請け・孫請けに丸投げされました。電通も同様に、子会社や関連会社への再委託により、現場に届く予算が大幅に減少しています。
本来なら保育士の給与改善や待機児童解消に使えた予算が、中間マージンとして消えていく構造に、多くの子育て世帯が疑問を感じています。
4. 施策の方向性のズレ
現在の少子化対策は「子育て支援」に偏っており、最大の問題である「未婚化」への対策が不足しています。統計データでは、未婚の最大の原因は「経済的事情」であることが明確なのに、根本的な対策が取られていません。
また、Jリーグとのコラボや「こどもファスト・トラック」(優先レーン)など、少子化対策として効果が疑問視される施策も目立ちます。子育て世帯からは「イベントより保育園や給食を充実させて」という声が多く上がっています。
5. 子どもの幸福度への無関心
ユニセフの調査によると、日本の子どもの精神的幸福度は36カ国中32位と非常に低い結果でした。身体的健康は1位であるにもかかわらず、精神的な幸せは最下位レベルです。
子ども家庭庁は「こどもまんなか社会」を掲げていますが、ブラック校則や部活動での暴力問題など、子どもの人権に関わる課題への対応が不十分との指摘があります。
予算の透明性と説明責任の欠如
7.3兆円という巨額の予算がどこに使われているのか、多くの国民が理解できていません。SNS上では「7.3兆円あれば、赤ちゃん1人に900万円配れる」という計算も話題になりました。
実際、予算の多くは厚生労働省や内閣府から移管された既存の事業であり、子ども家庭庁独自の新規施策は限定的です。「看板を掛け替えただけ」との批判も根強くあります。
子ども家庭庁不要論の背景
これらの問題から、「子ども家庭庁を解体して7兆円を直接給付すべき」という声も大きくなっています。新たな省庁を作ることで生じる人件費や管理コスト、そして中抜き構造を考えると、既存の省庁間で横断的に連携する方が効率的ではないかという指摘です。
今後必要な改革とは
子ども家庭庁が真に機能するためには、以下の改革が求められます。
徹底した効果検証
すべての施策について、出生数や子育て世帯の満足度など、明確な指標で効果を測定する必要があります。効果の薄い施策は速やかに見直すべきです。
中抜き構造の是正
大手企業への丸投げを見直し、予算が確実に現場に届く仕組みを構築することが不可欠です。競争入札の徹底や、直接執行の拡大が求められます。
未婚化対策の強化
若年層の経済的不安定さこそが少子化の根本原因です。奨学金返済支援、住宅支援、正規雇用の促進など、結婚や出産を考えられる経済基盤の整備が必要です。
子どもの声を聞く体制
子どもを政策の客体ではなく主体として位置づけ、当事者である子どもたちの意見を施策に反映させる仕組みが重要です。
まとめ:予算額より質と効果を
子ども家庭庁の7兆円超の予算は、決して少ない額ではありません。しかし、予算の規模だけでは問題は解決しません。重要なのは、その予算が本当に必要なところに届き、実際に効果を生んでいるかどうかです。
少子化は日本の未来を左右する重要課題です。だからこそ、予算の使い道を透明化し、効果を厳しく検証し、現場の声に耳を傾ける姿勢が求められます。子ども家庭庁には、看板倒れに終わらない実効性のある政策運営が期待されています。
この記事は2025年10月時点の情報に基づいています。最新の施策や予算については、子ども家庭庁の公式ウェブサイトをご確認ください。
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