心してください!仕事を生み出すロボット8選

前回、AI時代にはBIもやってくる? 1日三時間労働でOKというこの仕組みってなんだ?でAIやロボットによる失業が訪れる未来をお届けしました。これから訪れる残酷な現実にさぞかし不安を抱いたことでしょう。しかし、そんなあなたに朗報です。新型コロナによるテレワーク化を追い風に、これから仕事を生み出してくれるようなロボットが出てきています。これからの時代、ロボットに使われるのでなく使う側に回ろう!ということで、今回はこれから仕事を生み出すロボット8選をお届けします。

ハイテクコンビニバイトModel-T

その名の通りテレイグジスタンスロボットを手がけるTelexistence株式会社は、小売業界向けロボット「Model-T」を開発しました。Model-Tは、自由度が高く低コスト生産が可能なハードウェア、遠隔で操作するオペレータとロボットの動きの誤差を小さくする制御ソフトウェア、VRによる映像伝送で高い負荷のかかる通信環境でもデータ転送遅延を抑える通信制御、多様な形状の商品に対応して正確かつ迅速な商品陳列を可能にするロボットハンドを備えています。
まずはコンビニからということで、今夏から都内のファミリーマート店舗で、9月から「ローソン Model-T 東京ポートシティ竹芝店」で商品陳列業務を行うそうです。Model-Tが普及すれば、自宅からでも仕事ができるようになり、またアルバイト確保に困る地方のコンビニでも人手不足の解消になりますね。来たる時代に備え、VRに慣れるためにPSVRを買いに行こう!そのためにはまずはバイトしてお金貯めないと!

これぞSDGs OriHimeを使った「ゆっくりレジ」

当コラムでもお馴染みのオリィ研究所が2020年7月27日より8月下旬までの約1カ月間、平日の時間限定でモスバーガー大崎店に実験導入を行う「ゆっくりレジ」は難病による外出困難者が分身ロボット「OriHime」を遠隔操作して接客を行います。実験期間のパイロットは関西に在住の障がいのある2名が担当、ゆっくりとメニューを選びたいお客様向けに、OriHimeと相談しながらメニューが選べる注文方式で、お子様連れやシニアなど、ご相談しながらメニューを決めたいお客様への対応を想定しています。モスフードサービスは、モスフードサービスはダイバーシティの考え方を取り入れた新しい働き方の開拓の一環として今回の取り組みを行い、その成果をもとに、ドライブスルー注文への応用や、自走式ロボットによる配膳業務などを検討し、2020年度内の実験開始を目指すそうです。

難病や障がいなどにより外出困難な方達にロボットで就労の機会を提供する、まさに仕事を生み出すロボットです。

【洗濯から】ugo【トイレ掃除まで】

当初は家事支援サービスとして家庭の洗濯代行をデモしていたミラロボティクスの「ugo(ユーゴー)」ですが、最近はビルメンテナンス業務に注力している様子。ビルの警備や点検、清掃業務、紫外線照射ハンドによる除菌などを行う他、トイレ掃除まで行います。ミラロボティクスは2020年5月に総額1.2億円の第三者割当増資をビルメンテナンス会社の大成などから行ったことを発表しています。
ugoは遠隔操作とAIによる学習機能を組み合わせたロボットで、人が遠隔操作で作業を行い、その作業内容をAIが学習して自動化していきます。言わば半自動ロボットで、人とロボットが協働作業を行う形です。またロボットの作業場所を遠隔で人がチェックしてから作業開始したり、作業完了時に人が遠隔で作業漏れがないかチェックするなど、ロボットの管理を行うことができます。ロボットを教育したり管理していくためのロボットオペレーターという職種が生まれそうですね。

空港から飛び立て!JET

JETはインディ・アソシエイツの遠隔操作ロボットをベースに日本航空が共同開発した、空港での活用を想定したアバターロボットです。ベースとなるロボットは海馬が主なソフトやハードの開発を行い、インディ・アソシエイツが販売と外装のカスタマイズなどを担当していて、初号機がCAIBA、2号機はMORKと呼ばれています。CAIBAはもともと「Airport Concierge」を謳っていて2016年12月に立ち上がった「Haneda Robotics Lab」で実証実験を行い、JETは2020年の一部実用化に向けて2019年4月に羽田空港で実証実験を行いました。
JETはVRによるロボットの遠隔操作やボイスチェンジャーを使った音声通話を行うことができ、在宅勤務や海外からの遠隔操作なども想定しています。CAIBAでは操作者がVR酔いしたという話も聞きましたが、その辺りがどう改善されたか気になります。空港利用者が減ってしまっているご時世ですが、この機会に活躍の場を広げてみては?



パーソナルロボットtemiを活用した住宅販売

「temi」は米国temi USA inc.が開発し、2018に販売開始されたパーソナルロボットで、AIアシスタント機能やテレプレゼンス機能、モビリティ機能を備えています。日本ではハピロボが総代理店を務めています。

2020年4月には「ゴーカンナ君」としてアキュラホームが手がけるAIやIoT、ロボット技術を取り入れたトータルリモートシステムによって運営される無人モデルハウス「ミライモデル」に導入されました。来場したお客をゴーカンナ君の遠隔操作で案内するほか、見学者がモデルハウスをリアルタイム映像でバーチャル見学することができます。営業担当者は、遠隔操作により在宅での勤務が可能となり、安心安全な働き方を実現していくそうです。営業担当者も見学者も両方ロボットで内見を行い、そのままロボットで居住するマトリックス的な未来が訪れるかもしれません。
それにしても、temi自体はシックなデザインのロボットですが、ゴーカンナ君に漂う現場感に恐れ入ります。



名前そのままテレワークロボット

スマートロボティクスの開発する「テレワークロボット」は人による遠隔操作で運搬や会話を可能にするロボットで、2020年5月から提供開始されました。料金は98万円 +月額費2.5万円〜+消費税となっています。搭載されている魚眼カメラから映像を確認しながら操作でき、本体に設置された台に物を置くことで約40kg相当の運搬が可能です。また、ロボットに設置されている画面を通して会話ができます。施設の見回りや、受付・誘導、各種配達、配膳・下膳等での活用を想定しているそうです。

移動しながらコミュニケーションを取れるようなテレプレゼンスロボットは多く出てきていますが、物の運搬が可能なのは珍しいですね。オフィス以外でも広く活用できる可能性があり、人手不足で悩むような業種での活躍に期待したいですね。

建機の遠隔化 ARAVの建機Webコントローラー

2020年6月に東京大学発スタートアップのARAVが、富士建、ビスペル共同で、油圧ショベルをインターネット経由でリアルタイムに遠隔操作する実証実験に成功し、事業化を開始しました。この建機Webコントローラーはは、メーカー、機種を問わずに既存の建設機械に後付けで搭載でき、インターネットに接続したノートパソコン、スマートフォンであればどこからでも遠隔操作が可能とのことです。共同参画している富士建はKanaRoboにも参画している企業ですね。KanaRoboやロボQS、アクティブロボットSAMなど建機を遠隔化するロボットは色々ありますが、ARAVはインターネット経由での遠隔操作に力を入れているようです。
2015年3月に日本建設業連合会が公表した試算によると、建設技能労働者は2014年の340万人から、2025年には128万人が減り、216万人になると予測しています。人材を有効に活用するためにも、遠隔操作によって離れた現場の作業を行うニーズが出てきそうです。遠隔操作であればいわゆる3Kの職場環境からも開放されるので、遠隔建機オペレーターが人気の職種になるかもしれません。

遠隔接客サービスRURA

これまで見てきたようにロボットで生み出される仕事として、ロボットの遠隔オペレーターがありそうです。しかし「ロボットの遠隔オペレーターってどこで見つければいいの」という声が上がりそうです。そんな中、遠隔オペレーターを提供するサービスがあります。ロボット情報WEBマガジン「ロボスタ」の元編集長・望月氏が2019年6月に創業したタイムリープが2020年6月に遠隔接客サービス「RURA」を正式リリースしました。
RURAは、複数のスタッフで複数店舗をまたいで接客できるサービスで、これによって従来は時給1000円前後での店舗スタッフ採用を行なってきていたところを、時給350円から採用できるようになるそうです。RURAのご提供方法は2つあり、RURAのシステムを提供し、提供先企業のスタッフがチェーン店内複数店舗をまたいで接客をする方法と、タイムリープに所属する遠隔接客ワーカー「RURAワーカー」が様々な店舗の接客を代わりに行なうという提供方法があります。RURAワーカーは現在、日本国内だけでなくアメリカ・カナダ・フランス・オーストラリアなど、様々な国から集まってきているそうです。インターフェースは、ロボットやディスプレイ上でのバーチャルキャラクターや顔出しの選択が可能でボイスチェンジ機能を備えます。

これからの時代、こういったロボットのオペレーターを提供するサービスが求められていきそうです。

まとめ

既存の仕事がAIやロボットに置き換えられていくことは避けられません。しかしこれはネガティブな話ではなく、withコロナの時代に人の接触を避けることが期待されますし、テレワークのような新しい働き方にも適しています。仕事が奪われると不安になるより、ロボットを使って仕事を生み出していく方が明るい未来が待っていそうですね。

安心してください(ロボットの中に人が)、入ってます!