実存する世界の夢の巨大ロボット 8選

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みなさんの子供の頃の夢は何ですか?私はパイロットです。飛行機ではなく、巨大ロボットの。いつかニュータイプとして覚醒すると信じて「見えるぞ…私にも敵が見える!」なんて言いながら隠れんぼしていた黒歴史を思い出します。

フィクションの世界では2003年に鉄腕アトム誕生、2015年はバック・トゥ・ザ・フューチャーや新世紀エヴァンゲリオン、今年2019年はAKIRAやブレードランナーの舞台、と21世紀になればSFの世界に近づくんじゃないかと期待を抱いていた少年時代。現実はどこまで近づいたのか、巨大ロボットの今をレポートします。

巨大ロボットの代表格、クラタス

巨大ロボットの代表格とも言える水道橋重工のクラタスは、2012年、ワンダーフェスティバル2012でお披露目されました。全高4m、重量4t、油圧駆動の関節が約30ヶ所、人が搭乗可能、自走可能で物も掴めるクラタスは、鍛冶師・造形作家の倉田光吾郎氏とロボット制御システムV-Sidoの開発者である吉崎航氏によって開発されました。Amazonで1億円2000万円で買えるということでも話題になった他、映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー」でも劇中に登場しています。

2015年には後述の米MegaBotsから決闘の挑戦状が届き、2017年には「GIANT ROBOT DUEL」として、4mオーバーの搭乗型ロボットによるどつき合いの決闘が実際に行われました。バトル終盤にMegaBotsの巨大ロボット「Eagle Prime」によるチェーンソー攻撃で破損したクラタスが、それ以来表舞台にあまり姿を見せていないのは寂しいところ。もうこうなったら自分で買うしかない!ということで、クラタスを購入できる資金力と、1億2000万円を切れるクレジットカード(Amazonはクレジットカード決済)を所有できる信用力を身に付けたい!

 

 

クラタス破壊して自分は破産 MegaBots

前述のクラタスとの決闘で一躍有名になった米国のMegaBots社。その後もイケイケで、世界中から巨大ロボットを集めてトーナメント戦を行う構想をブチ上げ、KickStarterにてプロジェクトを立ち上げました。しかし、95万ドル(約1億円)の目標に対して5万4000ドル(約600万円)の調達に留まり、プロジェクトはあえなく中止。その後、会社の資金繰りも悪化して2019年9月には破産が報じられました。

MegaBotsは3年の月日と650万ドル(約7億円)をかけて3台の巨大ロボットを作ってきましたが、破産に際し、クラタスを倒した全高4.9mで総重量が12tのロボット「Eagle Pime」がeBayでオークションにかけられ話題になりました。オークションは1ドルからスタートし、最終的には17万ドル(約2000万円)で落札。また、全高が約4.5mで総重量が5.4tのロボット「アイアングローリー」は、制御盤メーカーの三笠製作所とクレイモデル製作を手がけるRDSが日本でのイベント活用を行っていくそうです。決闘に勝ってもビジネスで勝てないのが、この世界の厳しいところですね!

 

 

 

ジェフ・ベゾスも搭乗 METHOD-2

韓国のベンチャー企業、Hankook Mirae Technology(韓国未来技術)が開発しているMETHOD-2は、ハリウッド映画『トランスフォーマー4』のロボットデザインを手がけたSFメカデザイナー、ヴィタリー・ブルガロフ氏がデザインし、全高4m、総重量1.6tの搭乗型二足歩行ロボット。2017年に行われたAmazonのAIやロボティクス、宇宙技術開発に関する国際会議MARS 2017でAmazonのCEOジェフ・ベゾスが搭乗し話題となりました。このロボットはマスタースレーブ制御によってロボットに搭乗するパイロットの腕、手、指の動きを模倣できますが、脚の動きは外部からロボットのエンジニアが行うとのことです。

METHOD-2の開発には約200億ウォン(約19億5000万円)が費やされ、次期バージョンも開発中とのことでロボット開発事業全体では最終的に総額1000億ウォン(約97億5000万円)かかると予想しているそうですが、資金は全て韓国未来技術ヤン・ジンホ会長個人が出資しているそうです。韓国のオンライン・ストレージサービス業界1・2位の「WeDISK」と「Filenori」の実質的オーナーと言われるヤン会長ですが、2018年にはパワハラ動画流出が問題となりました。(https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/31/korea-robot-comany_a_23577397/)ロボットはぜひとも平和のために使ってほしいものですね。

 

目指せトランスフォーマー Antimon

トルコのレトロンズ社が開発した車から人型へ変形するトランスフォーマー型ロボット「Antimon」、2016年に動画が公開され話題となりました。同社の技師や技術者16人が11ヶ月間かけて開発したこのロボットはドイツのBMW 3シリーズがベースで、30秒間で全高約4.6mのロボットに変身出来るとのこと。公道での走行許可はなく、搭乗しての運転もできません(リモコン操作で最高時速20キロでの走行可能)。人型のモードでは歩行はできず、腕、指や頭部を動かすことはできるそうです。まさに巨大なラジコンとでも言うべきこのロボットですが、2016年に中東アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで開催された玩具などの国際見本市の競売に出品されました。入札価格は60万ドルからのことでした。同社は、計12台のロボットを製造し、それ以外にも民間から資金を募り、より小型で購入しやすく、道路を走行できるトランスフォーマー型ロボットを製造することも計画しているとのことですが、2016年以降続報がないのが寂しいところ。

 



変形の次は合体!? J-deite RIDE

変形ロボットなら日本も負けてはいません。アスラテック、三精テクノロジーズ、BRAVE ROBOTICSによって設立されたJ-deite Ride LLPは、2018年に人が搭乗できる全長約3.7m、重量約1.7tの人型変形ロボット「J-deite RIDE」を公開しました。こちらはAntimonと違い、人が搭乗した状態で車型で走行(時速60km)したり、変形したり、人型で走行(時速30km)したり歩行(時速100m)したりできるそうです。制御ソフトにはクラタス と同じくV-Sidoが使われています。デザインは、「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」「機動戦士ガンダム」「装甲騎兵ボトムズ」などのメカデザインで知られるメカニックデザイナーの大河原 邦男氏が協力していて、このプロジェクトはトランスフォーマーのタカラトミー公認だそうです。何やら豪華な座組みですが、J-deite Ride LLPは2019年7月に解散したようです。今後はアミューズメントパーク向け遊戯機械の世界的メーカーである三精テクノロジーズが中心となって商品化を進めていくとのことで、アミューズメントパークで実際に搭乗できる日も近い!?またBRAVE ROBOTICS代表取締役の石田氏は「変形し、合体してこそ、ロボット」と語っており、次は合体ロボットの公開が望まれます。

 

 

 

世界最大級の搭乗型巨大ロボットLW-MONONOFU

世界最大級の搭乗型巨大ロボットがあるのは群馬県の榛東村。農業機械やアミューズメントロボットの開発、製造を手掛ける榊原機械が2017年に公開したLW-MONONOFUは、全高なんと約8.5m、体重約7.3tというとてつもないスケール感。2019年にはギネス世界記録「最大の有人搭乗型ヒューマノイドロボット|Largest humanoid vehicle」に認定されました。この巨大ロボットは時速0.6kmで足が地面から離れないすり足二足歩行を行い、腰や腕などの関節も油圧制御で自在に動かすことができ、右手は大きなクッションボールを打ち出すエアーライフルを装備しています。これらの動きはパイロットがコックピット内でモニターを使って外の様子を確認しながら操縦することが可能とのことです。後部のハッチからコックピットに搭乗するのですが、搭乗位置が高いため、ハッチからリフトが降りてきて、リフトを使って搭乗する形になります。社員の南雲氏がほぼ1人で、6年の歳月をかけて作り上げたという夢のような巨大ロボット。しかしLW-MONONOFUには大きすぎて倉庫から出せないという大きな課題があります。こうなったら倉庫をアニメに出てくるロボット基地のように改造してほしいものですね。

 

目指すはガンダム、はじめ研究所

はじめ研究所はヒューマノイドロボット(人型ロボット)開発の専門会社で、代表の坂本氏が実物大のガンダムを作ることを夢見て立ち上げました。2002年より二足歩行ロボットの開発を始めた同研究所はこれまでに50種類、200体以上のヒューマノイドロボットを開発してきて、2017年には43号機として全高4mの「コックピット内蔵型の巨大ヒューマノイドロボット」を公開しました。このロボットは胴体下部のハッチが開き、コックピットに搭乗可能で、頭部に搭載したカメラの映像を表示するディスプレイを見ながら、ジョイスティックによる操縦や、人形型コントローラーによるマスタースレーブ方式の操縦が可能とのことです。町工場と協力しながら進めているこのプロジェクト、4mの次は8mを目指し、ゆくゆくはガンダムと同じ18mの巨大ヒューマノイドロボットの実現を目指すとのことです。並々ならぬ情熱を感じるこのプロジェクト、ぜひ夢を実現させてほしいですね。



こいつ、動くぞ!ガンダム GLOBAL CHALLENGE

現実世界の巨大ロボット、と聞くとお台場のガンダム立像を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。2009年にファーストガンダムの実物大立像が初披露され、2017年からはユニコーンガンダムが展示されています。とはいえ、あくまで立像。ロボットとは呼べません。しかし、この実物大ガンダムを実際に動かそうというプロジェクトがあります。ガンダム GLOBAL CHALLENGEは2020年に実物大のガンダムを動かすというプロジェクトで、アニメ『機動戦士ガンダム』の監督で知られるアニメーション映画監督・原作者の富野 由悠季氏、ロボット研究者で早稲田大学名誉教授の橋本 周司氏、同じくロボット研究者で中京大学工学部教授のピトヨ ハルトノ氏、『踊る大捜査線』シリーズなどを手掛けた映画監督の本広 克行氏、カンヌ国際広告賞をはじめ、多数の広告賞を受賞しているライゾマティクス代表取締役の齋藤 精一氏、双腕作業機アスタコ、四脚クローラ式移動機構をはじめとする建機ロボット化の研究開発に従事してきた石井 啓範氏、クラタスやJ-deite RIDEでも使われるロボット制御システム「V-Sido」の開発者でアスラテック社のチーフロボットクリエイター吉崎 航氏、お台場のガンダム立像を手掛ける乃村工藝社の川原 正毅氏といった、そうそうたるメンバーによる正にドリームチームのようなプロジェクトです。2020年夏に山下ふ頭に誕生する「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で18mの動くガンダムが公開される以外の情報はまだあまりないですが、Youtubeのガンダムチャンネルでメイキング動画が随時公開されていくようなので、ガンダムが動くその日までこちらで気持ちを高めましょう(https://www.youtube.com/playlist?list=PLU3MW54GsPFr9grEhRtvI3h0_g-uqHBEl)。

 



まとめ

夢とロマンの詰まった巨大ロボット開発。それは人の普遍的な希望で、日本だけでなく世界中で開発が行われていますね。とは言え、多大なるコストと労力がかかるのもまた事実。ビジネス化につなげることもなかなか難しく、倒産や解散といった死屍累々の道のりとなっています。しかし、それでもやっぱり諦めきれない!ぜひ夢の実現を果たしてほしいものです。フィクションの世界では戦争の道具として描かれることの多い巨大ロボットですが、現実世界では平和の象徴として、世界中の人に夢と笑顔を与えてほしい。事例を見てみると、今まではベンチャー企業や研究所、町工場などが中心でしたが、「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」のような大規模プロジェクトも出始めているので、ぜひ大手企業も参入してほしいですね。

まだだ、まだ終わらんよ!